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裏の裏のお話

 トリトンは酷い頭痛とともに目を覚ました。トリトンの手足はきつく縄で縛られている。


「やぁ、どうだい?自分の睡眠薬で眠らせられた気分は」


「な!?そんな!だってあんたは!」


 トリトンが声のした方向に視線を向けると、そこには焼け死んだはずのジートンの姿があった。


「睡眠薬と焼死体の事が気になるのかい?それなら簡単な事さ、僕は薬を飲んでいない。死体は単なる人形で、僕はずっと地下室に避難していたんだ」


「人形……だと?」


「そう、モノトンが銃を造れるように。トリトン、君が薬を作り出せるように。僕もまた精巧な人形を作れるのさ」


 そう言うとジートンは懐から一体の人形を取り出す。

 それは手のひらサイズのジートン自身をモチーフにした人形。

 しかしその質感は小さなジートンがそこに実在しているかのようで、今にも動き出しそうなほどに良くできた物だった。


「君は自分が薬学に精通している事を人に知られていないと思っていたようだけどね、そんなの僕は知ってたんだよ」


「で?どうする気だよ」


「君を殺すさ」


「あんたはもうすでに死んだ事になっている。あんたが生きていける場所は無いぞ?」


「あるさ、ここ(、、)に」


 そう言いつつジートンはトリトンの額に拳銃を突きつけた。

 ガチャンと撃鉄を起こす音が冷たく響く。


「君はまだ生きていて、幸運な事に僕たち三兄弟は似ている。なら入れ替わればいい。こんなに素晴らしい家をありがとうね」


「まっ……」


 ズドン


 硝煙と生々しい鉄の匂いが立ち込める。


「あー、モノトンの銃でトリトンを殺したから復讐成功になるのかなこれ、まぁ別にいいけど」


 ジートンはトリトンの死体を暖炉に放り投げる。

 死体はパチパチと音をたてて燃え、やがて残ったのは灰と骨だけとなった。

 ジートンはその骨を粉々に砕くと灰と一緒に庭へばらまいた。


「さぁ、後は血溜まりを綺麗にしてトリトンの服に着替えれば完成っと」


 ジートンはトリトンの血を綺麗に洗い流すと、トリトンのクローゼットの中にあった服に着替えた。

 ジートンが服を着替え終わるとほぼ同時にトリトンの家の扉がノックされる。


「誰だい?」


「トリトン?お母さんです、少し聞きたいことがあるのだけど」


 ジートンは扉についていた覗き窓から様子を窺う。そこにはいつものやわらかな笑顔を浮かべたお母さんがいた。


「どうしたんだい?お母さん」


 ジートンは扉を開けた。

 自らをトリトンと偽って。

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