97.王都アルス
アムールを出発してから10日目。ようやく俺たちはアルス王国の都についた。
もう少し早く着く予定だったが、立ち寄る村で人助けしていた為に到着予定が遅れたのだ。
王国騎士であるソフィは困っている人がいたら頬っておけない性質らしい。基本的に魔物に対しての相談事が多く、討伐や防衛対策を行っていた。
相談事の中にはソフィの力ではどうにもならないこともあったが、その時は俺の『ソウルガチャ』で入手したアイテムが活躍した。
ある村では、旦那が大事にしていた皿を割ってしまったという婦人の悩みに対して――。
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アイテム名: 『巻き戻しの懐中時計』
ランク :『 R 』
説明 :
経年劣化・壊れた物を新品同様に戻す。
ただし、生物には不可。
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『巻き戻しの懐中時計』を使用。
泣きながら感謝され、お礼に婦人特性の果実パイを貰った。
そして果実パイはゴンザレスの胃袋へ。
とある村では、娘が失恋して引きこもりになって困ってるという村長の相談に対して――。
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アイテム名:『癒しの塗り薬』(タイプ:精神)
ランク :『 HR 』
説明 :
心に傷を負っている者を癒す塗り薬。
嫌な記憶を消すことはできないが、それを乗り越える作用がある。
塗る患部は胸。
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アイテム名:『ビューティフルアワー』
ランク :『 R 』
説明 :
誰でも簡単にプロ級のヘアースタイルを決められる魔法の美容師セット(シザー、セニング、シャンプー、カラー、ドライヤー)
かっこよく、可愛くヘアースタイルを決めて好きな人にアピールしよう。
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『癒しの塗り薬』・『ビューティフルアワー』を使用。
流石に俺が塗ってあげる訳にはいかないのでソフィにお願いし、その後に可愛くヘアースタイルをセット。
村娘は自信を取り戻し、次の恋は前向きに頑張ると涙を流しながら笑顔を見せた。
そんな女の子に共感したリリィが「シノっ! お願いっ!!」と言ってきたので、追加であるアイテムを取り出す――。
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アイテム名:『魔法の裁縫箱』
ランク :『 R 』
説明 :
裁縫が得意な妖精が宿った箱。
箱の中に洋服のイラストを入れて一晩経過すると、イラスト通りの洋服が出来上がる。
生地は最高級の物で作られる為、肌触りがよい。
サイズを書いた紙も一緒に入れておくと、そのサイズで仕上がってくる。
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王都で流行っている衣装のイラストをソフィにいくつか描いてもらうと、殆どがドレス系だったので俺もそれ以外のデザインを用意する。
と言っても、あまり詳しくはないので俺の記憶を持っているゴンザレスに読み取れる服装を描いてもらったら、殆どがエロ可愛い服装だった。
漫画やラノベで着ていそうなものばかり。だが本人は可愛いと言って喜んでくれてたので結果オーライというところだろう。
元気になった娘の姿に村長は大変感謝し、お礼に村の特産物の高級果実を頂いた。そして特産物はゴンザレスの胃袋へ。
さらに道中では木の根元で寄り添いながらぐったりとしている獣人族の少年少女に出会う。どうやら腹を空かせて動けないようだった。
とりあえず肉の食べ物系がいいだろうと判断し、先日手に入れたアイテムを取り出す。
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アイテム名:『フライドチキンハンマー』
ランク :『 R 』
説明 :
1メートルを超す熱々な骨付きチキン。
スパイシーな鳥皮からはトロトロな肉汁が滴り落ちる。
食用後に残った骨は『ボーン・ハンマー』へと変わる。
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「ほれ、食べていいぞ」
「――っ!!」
『フライドチキンハンマー』を目の前に置くと、二人は一心不乱に喰らいつく。尻尾を振りながら一生懸命に食べている姿になんだか可愛いなと思っていると、隣にいたゴンザレスが指を咥えながら羨ましそうな顔をしていた。
ゴンザレス、お前……。
あっという間に肉は無くなり、二人は満足そうな顔をしていた。
どうやら二人は兄妹で故郷であるアベル地方に向かっている途中に路銀どこかに落としてしまい、空腹で倒れていたとのこと。
金がないんじゃまた空腹で倒れるだろうと思い、俺は金貨5枚を渡すと二人はすっごい驚いた顔を向けてきた。
あたふたしている兄妹に、「大人になってまた会ったらご飯御馳走してくれればいいよ」と伝えると二人はぽけーっとした表情をした後――。
「あ、兄貴って呼んでもいい!?」
「お、お兄様と呼んでも……!!」
目を輝かせていた。
王都へと再出発する際、兄妹は両手と尻尾をブンブンと振りながら見送ってくれていた。
「ふふ、シノノメ君って優しいわね」
風で靡く髪を片手で梳きながらソフィは獣人族の兄妹へ視線を向ける。その横顔は何だが上機嫌だった。
兄妹という言葉に通じるものがあるのだろう。
なんだか気恥ずかしかったので「そうか?」とだけ返しておいた。
道中他にも色々あったが、やっと王都に辿り着いたのだ。
馬車から降り城門を見上げると、太陽の光が目に差し込んでくる。
目を細めていると――。
「お待ちしておりました。シノノメ殿」
いつの間にか目の前にはアリゲルとジークが立っていた。
「よっ。やっときたかシノノメ」
「ちょっと兄さんっ! 言葉遣い!」
「いだだだだ! 頬をひゅねるな! ほひょを!」
ソフィがジークの頬をつねった後離れる。
「お見苦しいところを見せて申し訳ない」
「いや、全然。大丈夫大丈夫」
この兄妹はいつもこんな感じなんだろう。
「そうですか? シノノメ殿がそうおっしゃるのなら。こほん、改めて……。王都アルスへようこそお越しくださりましたシノノメ殿。我々は貴方様のお越しを歓迎いたします」
アリゲルが敬礼すると、左右にいたジークフリート兄妹も敬礼をする。アリゲルは顔を緩め城門へと右手を促した。
ジークとソフィも顔を緩める。
「さ、どうぞこちらへ」
「ああ。ありがとう」
俺は気を引き締め城門をくぐっていく。
『元素の宝玉』について有益な情報が得られることを祈って――。




