27.『ゴールド』
『シルバー』の『11連ガチャ』を回し終えた時点での残りソウル数は83565。続けて『ゴールド』の『11連ガチャ』をタップする。
やはりガチャを回すならランクが高いものがいい。良い物が出やすいから。『ブロンズ』や『シルバー』も出てくるものは珍しいが、やはり回すなら『ゴールド』以上だろう。その分、ソウルの消費数は多くなるが。
打ち抜かれたガチャポンの中からアイテムが出現し、俺の周りにホログラム映像となって表示される。
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アイテム名:ライカットの果汁
ランク :『 N 』
説明 :
爽やかな喉ごしの果汁の飲み物。
飲むと精神が落ち着く。寝る前に飲むと寝つきがよくなる。
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アイテム名:アイリスの涙(期限付き)
ランク :『 R 』
説明 :
植物の成長速度を飛躍的にあげる宝石。
水にこの宝石を沈めることによってアイリスの加護を受ける。
その加護を受けた水を植物にやると成長が早くなる。
使用後72時間で消滅する。
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アイテム名:アストヒクの涙
ランク :『 R 』
説明 :
美の神アストヒクが流した涙とされる聖水。
飲むと肌年齢を5歳若返らせる。ただし、寿命は戻らない。
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アイテム名:サンドリアの服(女性用)
ランク :『 R 』
説明 :
サンドリアの蚕の繭から作られた服。とても上質で肌触りが良い。
軽装備用に作られた服で、機動性能特化を目的に編まれている為に露出が多い。
装備者の『素早さ』を上げる。
『素早さ』+40
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アイテム名:イケメン雑誌『モホモホ』
ランク :『 R 』
説明 :
色んな街にいるイケメン男子の情報が写真付きで載っている雑誌。
24時間ごとに更新される。
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アイテム名:クマさんハンマー
ランク :『 R 』
説明 :
巨大なクマの顔したファンシーなハンマー。
打撃を与えるクマの顔部分は、反発力の高いクッションで出来ており攻撃力は無い。
ただし、攻撃を受けた者はその反発力で吹き飛ぶ。
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アイテム名:モナークベルト
ランク :『 R 』
説明 :
装備者に飲食店での小さなサービスが受けれるベルト。
例)飲食店で料理大盛りサービス
例)飲食店で食事代値引き
例)美人なウェイトレスに給仕してもらえる
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アイテム名:ヴァルキューレの弓
ランク :『 HR 』
説明 :
戦場の女神が愛用したと言われる弓。
美しい装飾を施された弓で、特殊効果『眠り』が付加されている。
攻撃を受けた者は、確率で特殊効果が適用される。
矢は魔力で創造される為、矢筒は不要。
装備者の『素早さ』を上げる。
『素早さ』+15
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アイテム名:真実の鏡
ランク :『 HR 』
説明 :
鏡に映った対象者の心理を映し出す。
腹黒い人、要注意。
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アイテム名:ウルカの六芒星(使い捨て)
ランク :『 HR 』
説明 :
『 HR 』以下のアイテムを合成できる。
ただし、使用するのにソウルを500消費する。
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アイテム名:コニヤラのカード(使い捨て)
ランク :『 HR 』
説明 :
『 HR 』以下のアイテムを複製できる。
ただし、使用するのにソウルを1000消費する。
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「あ、『アイリスの涙』だ。ノアル村で使った時は、村の皆に感謝されたっけ。ダルクさん達、元気かなぁ……」
霧が出現した時ノアル村のある方角だったので心配したが、翠竜・ラファーガル討伐後ゴンザレスの索敵機能で無事だと分かった時は安堵した。ラファーガルが出現した場所は俺がこの世界に転移した森だった。
その森の中にリリィの故郷があったらしい。今頃、リリィはどうしているだろうか。家族を失う悲しみは相当なはずだ。俺ではリリィに何もしてあげられない。だが、それでも何かしてあげたいと思ってしまう。
「……明日、ギルドへ行けば皆に会えるかな。いや、マッドが後日挨拶しに来るって言ってたし、宿で大人しくしてれば会えるか」
昼間のリリィの泣き顔を思い出すと、有頂天でガチャを回している自分がバカバカしく思えてきた。今この時間、彼女は悲しみに暮れているのだろう。そんな中、自分は何をしているのか。
他人なんだからそんなことを考えるのはおかしいと思われるかも知れない。だが、性格なのかどうしても同調してしまう。
「ゴンザレス、ガチャをやる気分じゃなくなってきたな。もう、寝るか」
スマホウォッチで時間を確認すると、夜9時を過ぎている。この世界の住人たちが寝静まる時間帯だ。
表示されているアイテムを『アイテム収納』へと収納する。
『あ、お待ちくださいマスター。寝る前に今手に入れた『ライカットの果汁』をお飲みください。少しは気持ちが休まるかと思います』
「ああ、そうするよ。すまん」
『ライカットの果汁』を具現化させると、透明なグラスに乳白色の液体が入っている。グラスに口を付ける際、果汁の甘い香りが鼻腔をくすぐる。
そのまま一気に飲み、喉を潤す。爽やかな甘みが口の中に広がり幾分か気持ちが落ち着いてくる。飲み終えるとグラスは光の粒子となって砕け消失した。
部屋のランプを消しそのままベットに潜り込み、目を閉じると段々と眠気が襲ってきた。
『―――これが人を大切に想う心の感情なのでしょうか……。切なくて暖かいです……このような感情をされるマスターはお優しいのですね』
薄れゆく意識の中でゴンザレスの声が聞こえてきたような気がした。
◇
「ん……」
ねぼけまなこで起きる。既に日は昇り、窓から差し込む太陽の光りが部屋の中を明るく照らしている。どうやらもう朝のようだ。
スマホウォッチで時間を確認すると朝7時を過ぎている。
『おはようございますマスター。今日もいい天気ですよ』
「ああ、おはようゴンザレス」
ベットから起き上がり窓の外を眺めると空は快晴である。窓を開けると少し冷たい風が頬を撫で、頭が徐々に冴えていく。
「ん~~~~……ふぅ。さてと飯でも食いに行くか」
背伸びをし、身支度をしているとドアがノックされる。
「205号室のお客さん。あんたに来客だよ」
扉越しに宿屋の店主の不機嫌な声が聞こえてくる。
こんな朝っぱらから俺に客?
部屋の扉を開けると宿屋の店主が立っていて、その後ろにはマッド達がいた。
「おはようシノ。朝からすまんな。先日挨拶に向かうと言った手前、入れ違いになると困るから早めに来たぞ」
「ご店主、案内ありがとうございます。これ受け取ってください」
ミーナが店主に銅貨を数枚手渡している。チップなのだろう。気分を良くした店主は、ニコニコした顔で下の階へと向かっていった。
「シノッチ、部屋に上がってもいい? って、この人数じゃ狭いわね。下の酒場フロアへ向かう?」
「ええ、じゃー先に下で待っていてください。準備してから向かい―――」
ボナの後ろにいたリリィと目が合う。
「や、シノ。おはよう」
「おはようリリィ」
挨拶はしたものの、なんて声をかければいいのか分からずギクシャクしてしまう。ただ、リリィの姿は昨日とは違って随分と落ち着いた雰囲気だった。
「ではシノ。わしら先に下で待っておるな」
「ええ、直ぐに準備して向かいます」
扉を締め部屋の中に戻る。服は防具屋の主人にサービスで2着貰っているので交互で着こなしているが、やはり2着だけでは足りない。
今度服を何着か買い出しに行くかと考えながら服を着替え、身支度を整えた。
下のフロアに降りるとマッドたちは隅っこの丸テーブルの席に付いていた。テーブルに向かう前にカウンターで飲み物を人数分頼み、受け取ってからマッド達の元へと向かう。
「お待たせ。はい、これホットミルク。冷めないうちにどうぞ」
「え!? わざわざ飲み物持ってきてくれたのですか!? シノさんすみません、私たちお礼しに参ったのに逆にシノさんに気を使わせてしまうなんて」
ミーナは凄く恐縮してしまっている。
「いやいや、気にしないで。俺が飲みたかったから人数分用意しただけで」
「ふふ、さりげなくフォローするシノッチ。素敵よ……パチン」
ボナのウインクで背筋が凍る。早くホットミルクで体を温めなくては。
「ありがとうシノ。ありがたくいただくわ。……はふ、おいしい」
ホットミルクを飲むリリィの隣の席に着き、俺もホットミルクに口を付ける。寝起きの朝にホットミルクを飲むと心が落ち着いてくるから不思議だ。
まったりしたところでマッドが背筋を伸ばしてこちらに顔を向けてきた。
「ごほんっ。シノ、偵察クエストの件ではお前に命を救われた。皆を代表して礼を言わせてもらう。ありがとう」
マッドは深々とテーブルに額が付きそうなほどに頭を下げる。
「いやいや、皆が無事で良かったです……と言ってもいいのかどうか」
ちらりとリリィの横顔を盗み見る。冒険者の皆は助かったが、霧の発生地点にあったという村は全滅している。しかもその村はリリィの生まれ故郷。なんて言えばいいのか困ってしまう。
「実はな、その……リリィの件でシノに話があるんだ」
「待って、マッド。その件に関しては私の口から話すわ」
リリィは真っ直ぐに俺の目を見つめてくる。その顔は真剣だ。
「シノ、昨日は助けてくれてありがとう。あの霧が発生した場所はね、私の生まれ故郷があった場所なんだ。私の村は『元素の宝玉』という秘宝を昔から守護してきた村なの。
霧が発生した時、村のある方角だから凄く心配してしまって、マッド達にわがままを言って偵察クエストに参加したの。今思えば浅はかだったと思うわ。仲間を危険な目に合わせてしまったもの」
「何言ってるのリリッチ。仲間の為だもの。後悔はしないわ。それにシノッチのお陰で今生きている」
「アハハ……ありがとうボナ。うん、そうだね」
「なぁ、リリィ。『元素の宝玉』って一体何なんだ? 昨日、ラファーガルの死体の上に出現していた緑色の玉が俺に吸収された時、凄く驚いていたよな?」
「うん……私たちが守ってきた『元素の宝玉』はね、別名『風の玉』と呼ばれていているの。宝玉は4つあってね、神秘の力と伝えられているわ。お父様から聞いたんだけど、残りの3つは他の種族が守ってるらしいの」
ウェイバーが言っていた内容とほぼ同じだ。やはり、この世界は今現在異常が起きようとしているのだろう。
「その宝玉を人間が吸収するなんてありえない。だから驚いたの」
「そうか。そんな凄い宝玉が俺の中に吸収され、この左手の人差し指にルーンが刻まれたのか」
「ねぇ、シノ……。貴方は一体何者なの? Lv1にも関わらずドラゴンをも倒してしまう力。神話に出てくるような凄い力を持った武器。そして宝玉を取り込む能力……」
「…………」
リリィだけじゃなく、マッド達も俺を真剣に見つめてきている。
「私はね、シノ。『風の玉』を守る巫女になるはずだった。巫女になる者は宝玉の力に当てられ寿命が短くなるの。だから巫女になる前にせめてもと、お父様がつかの間の時間をくれたの。
巫女になる前に思う存分世界を見てこいと」
「リリィ……」
「だから……オルテガの民最後の一族としての使命を果たさなきゃならないの。私は『風の玉』の巫女として、貴方が吸収した宝玉の行く末を見届けたい。
無理を承知でお願いしているのは分かっている。シノの旅に私を連れて行ってほしい。何故『元素の宝玉』からドラゴンが出現したのか。真実を知りたいの」
「シノ、わしらからもお願いだ。昨日の晩皆と話し合ったんだが、リリィの決意が固くてな。リリィをお前の仲間に入れてやってほしい」
突然リリィを仲間に入れて欲しいと言われ頭が混乱してきた。そもそも、俺も真実を知りたい。なんでこうなったのか。それに元の世界に戻る目標はあっても宛のない旅だ。どうしようもない。
『マスター。この方たちには本当の事を話したほうがよろしいのではないでしょうか。特にリリィは真剣なようです』
(ゴンザレス、お前まで……。はぁ、しょうがないか)
「わかりました。今から話すことは俺の身の上話になります。その上で俺に付いてくるかどうかは、その話の後でもう一度考えてください。ただ、ここでは言えない話しだから部屋を借りてきます」
席から立ち上がりカウンターへと向かう。店主にまだ人が入っていない大部屋の宿泊費を払い鍵を預かる。
席に戻るとマッドたちは頭を下げていた。
「ありがとうシノ」
「その前に話を聞いた後で判断してくれってリリィ。部屋借りたんで行こうか」
皆で3階の大部屋へと向かっていった。




