26.『シルバー』
立体に浮かび上がる『シルバー』の『11連ガチャ』をタップする。
現在のソウル所持数は8万を超えている為、気持ち的に余裕があり全部の項目の11連を回すつもりだ。
まぁ、こういう有頂天になっている時は禄なことがないのだが、そんなことは言ってられない。
この世界で生きていくためには『ソウルガチャ』で手に入れたアイテムで自身を強化していくしかない。ソウルに余裕がある今だからこそ、回せるときに回す。
打ち抜かれたガチャポンの中からアイテムが出現し、俺の周りにホログラム映像となって表示される。
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アイテム名:妖精の涙
ランク :『 N 』
説明 :
妖精が流した涙をコーティングし、結晶化させたピアス。
装備者の『魔力』を底上げする。
『魔力』+20
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アイテム名:中級ポーションセット(10個入)
ランク :『 N 』
説明 :
体力を回復する薬。
回復する量は、使用者の最大体力の50%分
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アイテム名:ホーク・アイ
ランク :『 N 』
説明 :
弓の補助スキル。
対象者をロックし命中度を底上げするスキル。
起動言語は『ロック』
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アイテム名:狐耳のカチューシャ
ランク :『 N 』
説明 :
狐の耳を型どったカチューシャ。
装備すると狐の尻尾が生える。
外せば消える。
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アイテム名:マンガ肉
ランク :『 N 』
説明 :
ホクホクジューシーな骨付き肉。
食べると『筋力』が上がる。
『筋力』+5
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アイテム名:ルミナの花束
ランク :『 N 』
説明 :
別名『星屑の花』と呼ばれる植物。
花言葉は『追憶』
懐かしい思い出を呼び起こす。
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アイテム名:ステルス・ケープ
ランク :『 R 』
説明 :
装備することにより気配を消すことができる特殊スキル『ステルス』が使える。
ただし、声を出すと効果が切れる。
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アイテム名:ラピスラズリ
ランク :『 R 』
説明 :
浄化の作用がある宝石。
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アイテム名:雷雲の笛(使い捨て)
ランク :『 R 』
説明 :
雨雲を呼び起こし、雨を降らす笛。
使用フィールドに魔物が複数いた場合、ランダムで1体に落雷を起こす。
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アイテム名:風の息吹(使い捨て)
ランク :『 R 』
説明 :
指定フィールドに花を咲かせる爽やかな風を起こす。
咲く花は多種多様。
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アイテム名:神酒
ランク :『 HR 』
説明 :
飲む者の味覚に合わせて最高の味に変わる酒。
一升瓶飲みすぎ注意。
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「お、魔力を底上げるアクセサリが出てきたな。というか、魔法使えないから俺が装備しても意味ないか」
ホログラム映像のアイテムを指でスナップしながら、一個ずつ確認していく。
『 N 』ランクのアイテムが半分占めているが、それでも結構使えるアイテムがチラホラとある。特にこの『マンガ肉』。現実ではありえないボリュームのお肉が骨の周りを覆っている。
一気にかぶりつきたくなってしまう。
「あ~、さっき食事したばかりなのに『マンガ肉』を見ていたら腹減ってきた。ごくり……」
『マスター、太りますよ。ぶくぶくに』
「うぐっ……」
痛いところを突かれ何も言い返せない。確かにこんなボリュームの肉を食べたら『筋力+5』どころか『脂肪+5』上がりそうだ。
「しょうがない、これはまた今度にでも食べよう」
渋々諦め、次のアイテムを確認していく。中には乙女チックなアイテムもある。『ルミナの花束』や『風の息吹』というアイテムだ。花束は普通として、この花を咲かせるアイテムは正に乙女アイテム。
うん、いらない。花を咲かせたところで一緒に見る相手がいないからだ。悲しくなんかないぞ。
『マスター、私がいますよ?』
「あー、うん、そうだね……はぁ」
『あ、酷い! なんですかその態度! 失礼しちゃいます!』
「ごめんごめん、ゴンザレスと一緒に見るのは別に嫌じゃないんだよ。ただ、世の中の恋人同士はこういったロマンチストな場所で、イチャラブしてるのかなと思ったらやるせない気持ちになっただけだ。
俺も本当だったら元の世界で学生ライフを送りながら、彼女ができる可能性があった筈なんだ。たぶん……」
そう思いたい。
『ならマスターも彼女作ればいいじゃないですか。それで解決です』
「あのな、簡単に言うがそうはいかないんだぞ? これは男女の気持ちの問題がある。付き合うってことは好きな者同士が愛し合うってことなんだ。片一方が一方的に好きだと想っていても上手くいかないもんだよ」
『そうなのですか? 『好き』という感情はどういったものなのでしょう。マスター、わかりますか?』
「そうだなー……。好きって想う気持ちはなんていうか、相手を求めるっていうのかな。一緒に居たいというか。それと、相手の幸せの為に大切にしたいって想う気持ちかな」
ゴンザレスは日々成長しているとはいえ、AIに人の感情が理解できるのだろうか。以前に1度、ゴンザレスの言葉に救われたことがあった。その時は感情を持った人間のような口調に驚いたが、今思えば気のせいだったのではないかと思う。
はは、そうだよな。そんなわけが――――。
『なら――。私がマスターを大切に……幸せにしたいというこの動機は、人間で言う『好き』という感情なのでしょうか。ふふ、そうだったら素敵ですね』
「――――……。」
最後に微笑んだゴンザレスの口調が、人間味を帯びた優しさを含んでいた。姿のないゴンザレスの笑顔がイメージとして浮かぶ。
『マスターの中の私は、そのような笑顔で笑っているのですね。ありがとうございます、マスター。いつか本当に、マスターの横にいられる日が来ればいいですね』
「あ、ああ……。そうだな」
顔が徐々に熱くなる。その一言は不意打ちだった。本当に女の子と話している感覚に陥いる。
『マスター?』
「なんでもない! さ、次は『ゴールド』を回すぞ! ゴンザレス、次はもっといいのが出るのを祈っててくれよ?」
『はい♪』
恥ずかしさを誤魔化すために、『ゴールド』の選択項目へと手を伸ばす。
いつか本当に、ゴンザレスが俺の側に立っている日が来たらいいな―――。




