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序章
東風吹かば にほいおこせよ 梅の花
主なしとて 春なわすれそ
菅原道真
時は今1560年(永禄3年)
応仁の乱以降100年近く続いている戦乱の世
故郷の筑前国を後にして、一人の若者が堺の町を目指して交易船に乗り込んだ。
かつて都を追われ、太宰府に左遷された菅原道真の末裔=東風双葉は大志を胸に秘め、戦乱の世を生き抜いていく決意と共に。
知り合いの伝手もなく、己の才覚のみでいったいどれほどの事が成せるだろうか?
不安も多いがそれ以上に期待が大きい。
双葉の長い物語が今始まろうとしている。