奴隷傭兵、ブラニオール奪取戦5
「おい、おまえ!アンドレを呼んで来い」
「は、はい!」
それから間もなくしてアンドレがやって来ると、明らかにミレーヌ団長はイライラしていた。
「ミレーヌ、おまえらしくもないじゃないか」
「何がだ?」
その様子にアンドレが溜め息をつくとミレーヌはさらに苛立ちを強めたようだ。顔が引きつっている。
「常に冷静でいろって、いつも言ってるおまえらしくないってことだよ」
そう言われて、舌打ちをしただけでミレーヌは言い返さない。彼女もわかっていた。だが、あれだけの妖魔兵の大軍が現れてブラニオールは沈黙してるようだ。この時、さらにミレーヌを混乱させた理由はもうひとつある。
旗はガスパール将軍とティアーマの旗のままだったからだ。これはエルの指示によるものだ。もう少し近づけば様子もわかるんだが、ここからだと判別出来ないし、今はそんな余裕もない。
「これだけ異様な状況だ。議論してる時間はないから指示だけ出す。前方に炎陣を敷いてくれ」
「いいのか?ブラニオールから援軍が来れば挟み撃ちに出来るんだぞ」
「おかしいんだよ、あれだけの妖魔兵がなんで敵城を前にして私たちの部隊に攻めて来れる?」
「なるほど、わかった。なら柴を前方に回して欲しい」
ミレーヌが頷きながら「もうやってる」と答えると、アンドレは笑いながら「さすがだ」と言いながら準備にかかった。アンドレの詠唱を始めると味方の前方に火柱が上がった。
そしてその火柱はチロチロと炎の舌を出しながら横へと器用に延焼範囲を広げていく。その間に兵士たちは横一列に芝を並べていった。これで炎の壁が『ブラックシープ』と『高潔の薔薇』の間に出来ると、ミレーヌは弓部隊を前衛に押し出して一斉に矢の雨を降らせる。
妖魔兵の先頭集団は矢の雨に降られると一斉に盾を頭上に掲げながら停止した。盾を持ってない妖魔兵はそのまま矢の餌食となっていく。
「『高潔の薔薇』の団長はミレーヌでしたっけ?」
エルが尋ねると、シャミルは憎々しげに答える。
「ミレーヌだよ」
「どうやら頭はキレるようですね、安易に突っ込んで来てくれたらラクだったのですが。少し対処を変えます。アニーを呼んでください」
俺たちの突撃は炎の壁に阻まれて完全に停止せざるを得なかった。その間も矢がひっきりなしに飛んで来る。
「なぁ、犠牲が出てるし、少し軍を下げたほうがいいんじゃねぇか?」
「いえ、このままここで待機します」
エルが考えることなんで、俺としては文句はないが・・・・・・。エルの奴、どうするかって細かいこと言わないんで信頼が無いと不安になるな。俺やアニー、リアは大丈夫だろうが・・・・・・。
それとなく見るとシャミルやアリシア、レオの表情は不安そうだ。特にアリシアは不安が顔に出るようで、ちらちらとエルの方を見ている。しばらくすると、後方から強烈な風が吹き始める。後ろを振り向くとアニーが詠唱をし終わったところだった。。
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