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奴隷傭兵、花を売る

 それからしばらく歩き続けると、ようやく州都が見えて来た。デカい城壁の割に小さい城門だ。エルの説明によれば、敵の侵入に備えるために城門はわざと小さく作ってるんだそうだ。城壁のなかにはブール・ヴァロンナ城がそびえ立っている。


「なぁ、ここまで来て言うのもなんだが。疫病が流行ってるなら普通は出入り禁止じゃねぇのか?」


「大丈夫ですよ、出れませんが入る分には問題ないですから。それにその疫病の対処法も知ってますし、しばらくすれば終息します」


 怪訝な顔をして見る俺の表情に気付いたエルは、笑ってさりげなく付け加えた。


「さっきすれ違った馬車は、権力を持っている人たちかお金を積んだ人たちですね」


「チッ、どこも腐ってんな・・・・・・」


 俺たちは街に着くとすぐに薬剤ギルドに向かった。街に入って気付いたのは人通りの少なさだ。みんな疫病を恐れてるんだろう、街は閑散としていた。さっき何台かすれ違った馬車は、逃げ出した貴族たちなのかもしれない。


 薬剤ギルドに着くと、受付に数人女性が立っていた。ここには薬や薬の材料を含め様々なものが取引されている。受付のひとりにグラディオーレを売りたいと言った途端に奥の部屋に通された。


 かごのなかのぎっしり詰まった材料をジロジロ見ながら、受付嬢は奥の部屋へと案内してくれた。重いかごを床へと下ろし、ソファに座ってしばらく待つ。やがて、部屋に入って来たのは年季の入った爺さんだった。


「ようこそ。私はここの最高責任者をやってるパオだ。君たちがグラディオーレの薬草を持って来てくれたのかい。経緯を聞かせてもらっても良いかな?」


「グラディオーレの群生地帯の場所を知ってたので、薬草として売りに来ようとしただけです」


 エルがニコニコと笑いながら、適当なことを言っている。そりゃそうだ、未来で疫病が流行ってたから来ましたなんて言ったら余計に怪しい。


 そもそもこの爺さんが知りたいのは俺たちが真っ当な方法で入手したかどうかってだけだろう。なら適当に言っておくのが一番だ。


「そうか、この街で疫病が流行っているのはご存知で?」


「はい、こちらに来る途中すれ違う人から聞きました」


 エルが自然に表情を作りながら話すお陰で、すぐに疑念は晴れたようだ。爺さんの表情が緩んだ気がする。


「ちょうどこの薬草の在庫が枯渇しててな」


「このかご一杯だといくらくらいになるんだ?」


 俺の質問に爺さんは首を振る。


「いくらなんでも、見た目で値は出せんな。少し時間を欲しい、良いかな?」


「わかりました。どれくらい必要でしょうか?」


いつも拙書を読んで頂きありがとうございます。


☆、ブックマークして頂けたら喜びます。


今後とも何卒よろしくお願い申し上げます。

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