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奴隷傭兵、キングオークと対峙する2

デカい棍棒を振り回すだけの単純な戦い方だが、威力と速度が桁外れだ。絶対に真っ向から戦ってはいけないと言われる妖魔のカテゴリーに入るのは、さすがに俺でも聞いたことがあった。ただ、エルが俺に任すと言ったからには加減しながらでも俺が勝つと見込んでるということだろう。


 俺は奴の懐に飛び込んでいく。足の健を斬り飛ばすつもりだったが、瞬時に反応され上から棍棒が振り下ろされた。横っ飛びに避けると「ズドォォォォン」という地響きと共に濛々と煙が上がる。奴が振り下ろした棍棒の下は地面が深く抉れていた。野郎、笑ってやがる。


 舐めやがって!直後に大剣を思い切り袈裟斬りに振り下ろす。そこにも奴は反応し、棍棒で合わせて来ると凄まじい衝撃が双方に伝わった。だが、体重の軽さで俺のほうが押し切られ吹き飛ばされる。


 投げた球が打ち返されるようにして大木に激突した。その衝撃で大木が真っ二つに折れ飛び、次の大木が衝撃で半分へし折られる。そこで俺の背骨も粉砕されたかのように感じた。同時に頭を強く打ったようで、目の前の視界が歪み暗転する。


「「「バーン!」」」


 誰かが叫んでいる。


「弓、出来るだけ速射してください!包囲体勢を取りつつ徐々に後退!同時にバーンの援護に——」


 しばらく意識が飛んでいた。普通の奴ならこれで木に叩きつけられて一巻の終わりだろう。だがそこは、狂戦士の特性が作用して驚異的な自然治癒力が発動する。ハハッ、こいつぁ楽しいじゃねぇか!


 俺は意識が半分飛んだ状態で『引』のスキルを本能的に緩めていた。途端に汗が蒸気のように噴き出し、咆哮をする。そのまま木の幹を飛びながらキングオークにあらゆる角度から攻撃を仕掛けた。


 キングオークも俺に対応する動きをするが、徐々についていけなくなる。タノシイ・・・・・・。足の甲に剣を突き立て、抜きながら脛も斬る。奴の棍棒が上から振り下ろされるところをワザと受ける。凄まじい衝撃が身体を伝わるが大剣で受けきった。ハハハ、タノシイ・・・・・・。ここでヤツの顔に怯えが見え始める。そのまま棍棒を駆け登ってヤツの腕を斬り落とす。タノシイ・・・・・・。そして、奴の足も斬り落として行動不能にする。ナンテ タノシインダ・・・・・・。コレデ オシマイ・・・・・・。


「・・・・・・。・・・―ン!バーン!!!止まってください!」


 そこで俺はハッと我に返った。俺はキングオークの首を斬り落としかかっていた大剣を引っ込め、代わりに剣の腹で奴の頭を思い切り殴った。ゴィィィィィィン!という見事な鐘の音が鳴り響くと奴は気を失った。


「悪ぃ・・・・・・。狂戦士の本能に吞まれちまったみたいだ」


「大丈夫ですか?」


「わりぃわりぃ!ちっとばかし意識が飛びかけてたわ!」


 エルの不安そうな顔を払拭するべく俺は敢えて明るく振る舞った。狂戦士の力を引き出そうとすればするほど、リスクが高まる。もっと『引』のスキルを使いこなせるようにならないといざって時に仲間まで皆殺しにしちまうかもしれん。今回はちょっとヤバかったな。


いつも拙書を読んで頂きありがとうございます。


☆、ブックマークして頂けたら喜びます。


今後とも何卒よろしくお願い申し上げます。

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