奴隷傭兵、圧勝する
「みんなだいぶ疲れた顔してんな」
「そりゃ、そうでしょう。今回は想定外のことが多すぎましたから」
周りを見回してみても、とても圧勝した部隊って感じじゃないな。そもそもこの戦い自体、なんの得にもならねぇ戦いだ。フィルの弔い合戦とはいえ、恨みを晴らしても心が晴れるのは一時的だ。あとは延々と続く現実が待ってる。
「バーン、前回はふたつの傭兵団合わせて百五十ほどの死者を出しましたが、今回は損害四ですね」
「四!?そんなことあり得んのか!?」
俺がそう聞くとエルは少し得意気に続ける。相手はほぼ壊滅、対してこちらはほぼ損害無しだから気持ちはわかるが・・・・・・。
「この戦術はある意味最強です。そもそも近接戦闘をほとんどしませんでしたから、こういう結果になるのは当然なんですよ」
「なんつぅか・・・・・・おまえを敵に回したら怖いってことだけはよくわかったわ」
俺とエルが話をしていると『田園の騎士』の団長であるロランがこちらへ手を振りながらやって来た。
「ふたりとも、なんと言っていいか。ありがとう。おかげでフィルの仇を取ることが出来た」
「何言ってんだ、礼なんか言われる筋合いは全くない。俺たちにとってもフィルは良い友人だったぜ。今回のことはおまえのためにやったんじゃない」
「そうか。でも、それでも礼を言わせてくれ。僕たちだけじゃ仇を取るという行動すら取れなかった」
ロランは一礼すると仲間たちのところへ戻って行った。
「なぁエル。あいつらは未来ではどうなるんだろうな?」
エルは俺の質問には答えずに「さあ、戻ろう」とだけ言った。俺にはエルが知っていて答えなかったのか知らなくて答えなかったのかの判別はつかなかったが、そのエルの一言で気持ちは切り替わる。気付くとアニーとリアも傍に寄って来ていた。
「アニー、リア。おまえたちもよく頑張ったな!」
「当然です!ってか、奥の手出す前に終わっちゃったから残念だなぁ」
アニーが言ってるのは、多分俺に向かって使わなかった風魔法のとっておきというやつだろう。
「リアお腹すいたのー。とりあえずこの子たち森に返して早く州都に帰りたいのー」
リアは相変わらずの超マイペースさだ。州都へ帰る前にすぐ傍の西の森に入ると妖魔兵を解放する。ある程度の行動の自由を許可しておいた後に州都へ帰ると、俺たちはそのまま傭兵ギルドに今回の件をロランたちと一緒に報告した。
報告の内容が内容だけにフィルの件と『紅蓮の狼』との抗争の件は、後日改めてギルド長であるガリスも交えて報告という運びになる。とりあえずローグレーを捕縛したことは、今回の戦では大金星であると評価された。
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