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奴隷傭兵、未来から転生した少年と出会う

「わかりません、たった今思い出したんです。でも、これだけははっきり言えます。この世界は十年後に滅びます」


「十年後に滅びる?何を根拠にそんなこと言えるんだ?」


 俺の疑問はもっともだ。誰が聞いたってそんな話信じるわけがない。


「今現在、デュラフォート州とラ・エスカローナ州が戦争中ですよね?たぶん、デュラフォート州は今から三日後にマリー・ジョルジュという城塞都市を失います」


「そんなことあり得ねぇだろ。あそこは、鉄壁の城塞だって有名だぞ」


 デュラフォートとラ・エスカローナが戦争中なのは、誰でも知ってる。同時に、デュラフォートが優勢に戦を進めていることも誰もが知る事実だった。


「そんなこと信じられねぇが・・・・・・。ガキが話す内容じゃないのも確かだな」


「あの・・・・・・お願いです。僕を連れてってくれませんか?このままここに居たら・・・・・・」


 そんな話、命からがら逃げてる身分の俺にされても困る。俺は首を横に振った。


「悪いけど、俺だって自分が生きるので精一杯だ。今日だって俺が所属する傭兵団は敗退して散り散りになってんだ。戻る場所すらあるかわからんのに、おまえの食い扶持まで稼ぐ余裕はない」


「僕、字だって読めるし書けます。色々知識もあります」


 ロクな教育を受けなかった俺は字が読めない。だが、字が読めて書けたからどうだってんだ?生きるか死ぬかの世界で何の役に立つんだ。俺は再び首を振った。


「そ、それなら僕があなたを護衛として雇います!」


 そう言われて思わず俺は笑った。十歳の子供が護衛を雇うなんて聞いたことがない。


「雇う!?金なんか持ってんのかおまえ?」


 俺の質問にその子はニコっと笑って、床下の穴を探る。ガサゴソを手で探っているようだったが、無事見つかったらしく革袋を取り出した。


 革袋の中身を月明かりが照らす床に出す。なかに入ってるのは銅貨と賤貨ばかりだったが確かに金だった。


「こいつは驚いたな」


「僕の両親が密かに貯めていたお金です」


 子供の護衛なんてやったことがない。正直、足手まといを連れていたら死ぬ確率が上がるだけだ。


 だが、ここまでされて断るなんて男が廃れるってもんだ。俺はその子の覚悟を見て承諾した。


「わかった。名前をまだ言ってなかったな、俺の名前はバーンだ」


「バーン・・・・・・。僕はエルです」


 俺とエルは今後のことについて簡単に話し合った。とりあえずこの街を出ることが先決だ。エルには両親との別れの時間を作った。


 出来れば弔ってやりたいだろうが、そんなことをする余裕はない。倒した兵士たちを家の奥に隠し、念のため他の家へ移動した。


いつも拙書を読んで頂きありがとうございます。


☆、ブックマークして頂けたら喜びます。


今後とも何卒よろしくお願い申し上げます。

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