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奴隷傭兵、仇討ちする4

 バオは退却の合図を無視して弓部隊と弓部隊の間に挟まってる歩兵部隊に突進を開始した。バオを先頭に第二陣は退くどころか逆に突撃する。それを見てニヤッとして前に出たのは誰あろうバーンだった。やれやれ、やーっと来やがった。


「バーン、前に出すぎです!槍で固めて来てるんですから下がってください!」


「るせー、こっちゃ見てるばっかで暇すぎて死にそうだったんだ。最初の露払いぐらいやらせろって」


 エルはため息をついてバーンを止めるのを諦めた。バーンの全身から蒸気のように汗が噴き出してる。もうああなったバーンは誰にも止められない。


「うおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!」


 バーンの咆哮がビリビリと戦場一帯を威圧するように響き渡る。歴史書によれば狂戦士の咆哮は「死の咆哮」と呼ばれて恐れられたそうだ。敵も味方も皆殺しにする圧倒的な個の戦闘力、狂戦士を懐柔しようとして過去何人もの有力者が手を尽くしたがことごとく失敗したという。


 その狂戦士が今、目の前で咆哮をしているのだ。


「なんだありゃ?人間、あれも妖魔兵か?」


 バオが思わず呟くほどの野獣や妖魔に近い咆哮は、無意識的にバオ部隊の突撃速度を遅くする。バーンは大剣を地面に突き立て、敵が近づくと大剣ごと蹴って土煙を上げた。


「ぶっ、土が目に入った!」


「おい、土煙で見えねぇ!どうなってる!?」


 刹那、土煙のなかから、ぬっと大剣が現れたかと思うと異様な風切り音を発しながら次々と兵士たちを真っ二つにしていく。重い鉄塊のような大剣を翻すと再度横に薙ぐ。それだけで兵士数人が絶命していった。あっという間に土煙は血煙へと変わり、辺りには血の匂いが充満し始める。


「おい、てめぇら!ビビってんじゃねぇぞ!」


 バオがそう言った瞬間である。


「てめぇブノワールと一緒にいた奴だな、おまえもフィルを穢したのか!?」


「ああ!?なんだ、誰かと思やあんときのクソガキかっ。俺が誰と何しようがてめぇには関係の無ぇことだろうが!」


 それを聞いてバーンは地面に唾を吐いた。


「そうかい、答えはYESと受け取っておくぜ」


 言うなりバーンは大剣を持ち上げるとおもむろに振り下ろした。ガキィィィィィンという金属のぶつかり合う音が響く。


「お、俺をそこら、へんの、雑兵と、一緒にするんじゃねぇ・・・・・・!」


「随分苦しそうだがな、オラもういっちょ!」


 今度は振り下ろした大剣を今度は横に薙ぐ。今度はガシュッという音がして剣が折れ飛び、バオの胸当てごと斬り裂かれ鮮血が飛び散った。バオは胸を抉られ地面に叩きつけられた衝撃で息が出来なくなったところに、バーンがもう一度尋ねる。


「正直に言えば見逃してやる。フィルを穢したのはどいつだ?」


「ぐ・・・・・・はぁはぁ。わ、わかった。話す。団長とグレッグだ」


「それとおまえもだな?正直に言えよ?」


 バオは、一瞬の間を於いて頷いた。

いつも拙書を読んで頂きありがとうございます。


☆、ブックマークして頂けたら喜びます。


今後とも何卒よろしくお願い申し上げます。

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