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奴隷傭兵、突撃する

「止まってください!弓構えて、、、射て!」


 敵軍の手前で止まった妖魔兵たちは弓を一斉に射る。事前にアニーが仕掛けた『ワイドレンジゲイル』が強烈な追い風となり矢は通常より遠くへ飛ぶ。百本の矢が放物線を描き敵軍に突き刺さる。


 ロングボウは一分間に六~九発射ることが出来る。すぐに二の矢をつがえて射る。敵軍も慌ててこちらが第三射目に取り掛かる際に矢を射るが、アニーのおかげで敵の矢は逆風に阻まれ、ことごとく地面に落ちた。


 俺たちが追い付く頃には四回斉射することが出来た。弓兵は近接装備に切り替え、再び俺たちと合流する。


 一方その頃中央のローグレー陣営はざわついていた。両軍とも横陣を敷き睨み合っていたら、敵軍がバラバラに突撃してきた。そして、なぜか敵軍右翼だけが異様に突出して来ているのだ。しかも、弓で一方的に射られているとあっては落ち着かない。


「ローグレーさま、敵の右翼部隊だけ小勢の割にやたら突っ込んで来てます。我々も行って挟撃しましょうか?」


「いや、我が軍の右翼だけでもまだ数で勝ってる。それより気になるのは敵の中央と左翼だ。我々が救援に行ったら逆に挟撃される」


 ローグレーとしては救援に行きたくても敵軍の中央と左翼の動きが遅く、行けない状況に陥っていた。これこそエルの狙っていた展開である。左翼は今度は弓兵を後ろへ下がらせバーンやワーウルフを先頭に突撃した。


 このひとりと一匹の突破力は凄まじいものがある。狂戦士化したバーンは兵士を手当たり次第に大剣で吹き飛ばすようにしてまとめて数人ずつを斬っていく。バーンの身体からは蒸気と化した汗が立ち昇り、咆哮しながら突っ込んでくるのである。


 もはや人間とは思えないその一撃は凄まじく、バーンの一撃を受けた兵士は槍ごとへし折られ真っ二つに斬り裂かれた。バーンの行くところまさに血の雨が降り、返り血で大剣も皮鎧も真っ赤に染まっていく。


 ワーウルフの戦闘力も桁外れである。爪で引っ搔くだけで身体から内臓が引きずり出されるのだ。バーンの鋭い剣裁きを避けたワーウルフにとって、一般兵のそれなど児戯に等しい。軽く避けては首を刎ね飛ばし、数人まとめて切り裂いていった。


 そして何と言ってもワーウルフの咆哮は人間にとって恐怖の対象でしかない。その後ろから妖魔兵とロラン率いる『田園の騎士』が突っ込むと、敵軍右翼の兵には恐怖と混乱が瞬く間に伝播していった。


 結果として敵軍右翼部隊は、矢の雨で混乱し数を減らされたところにズタズタに引き裂かれることになる。中央部隊率いるローグレーも、無傷の敵軍が眼前で足踏みしている状況では救援を出すことが出来なかった。孤立無援のまま敵軍右翼は引き裂かれ、部隊長も討たれると指揮官を失った兵たちは統制を失い敗走し始める。

いつも拙書を読んで頂きありがとうございます。


☆、ブックマークして頂けたら喜びます。


今後とも何卒よろしくお願い申し上げます。

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