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奴隷傭兵、仇討ちに動く

「か、身体が・・・・・・!?」


 いつの間にか、汗が蒸気のように噴き出していた。無意識のうちに狂戦士化していたらしい。下手すりゃコイツを殺すところだった。俺はロランの襟首をパッと放して話を続けた。


「悪ぃな、危うく自我を制御出来なくなるところだったわ」


「君は、いったい・・・・・・」


 俺にはロランの質問に答えるような余裕はなかった。


「んなことより、フィルの仇討ちだ。やるのかやらねぇのかどっちだ?」


 ロランは一瞬、俺から目線を外したが、すぐに向き直って言った。


「やるよ。僕だってこのままじゃ引き下がれない!」


「よく言った。と言っても、敵を目の前にしてあいつらも敵に回すのは出来ねぇ。こういうことはあいつの領分だな」


 そのままエルたちにも来てもらい、ロランから事の経緯を説明してらった。


「そ、そんな・・・・・・。フィルお姉ちゃんが・・・・・・・」


「フィルさん・・・・・・」


 エルも驚いていたが、それ以上にアニーとリアはショックが大きかったようだ。泣き崩れるリアと、フィルから貰ったペンダントをただただ茫然と握りしめるアニー。やがて、アニーが呟いた。


「私・・・・・・許さない、絶対に許さない・・・・・・」


 アニーが呟いた直後、俺はエルに尋ねた。


「エル、俺はフィルの仇を討つ。たとえおまえが何と言おうが——」


「討ちましょう」


 エルの目は静かな怒りに燃えているようだった。


「ただし、まずは目の前の敵を撃破してからです。それと、ロランさん。僕の指揮下に入ってもらえますか?」


「コイツはな、俺らの軍師だ。いざってときは頼りになるはずだ」


 俺の補足を聞いてロランは頷いた。


「アニー、リア。おまえらふたりともそれでいいか?」


 まだ、目に涙を浮かべたままのふたりも黙って頷く。


「エル、作戦はどうすんだ?」


「作戦は・・・・・・今のところありません」


 エルは首を横に振るだけだった。


「無いって、おまえ・・・・・・」


「今のところは、と言いました。全軍の指揮権も無いのに作戦の立てようもないですよ。ブノワールの動きと考えが読めるまでは大人しく従うしかないです。あとは走りながら考えます」


 左翼には俺たち『ブラックシープ』と『田園の騎士』の二部隊しかいない。いざってなりゃ左翼だけで何とかするしかないってことか・・・・・・。


「それにしても、おまえ走りながら考えるとか出来るのか?」


「違いますって!そういう意味では・・・・・・いえ。文字通り本当にそういうことになるかもしれません」


 エルが俺たちに共有してくれた情報では、敵軍のローグレーという部隊長は特に目立った特徴はないが、敢えて言えば慎重なタイプらしい。今までの戦でもコツコツと攻めるべきは攻め、守るべきは守るという堅実な用兵をするそうだ。


いつも拙書を読んで頂きありがとうございます。


☆、ブックマークして頂けたら喜びます。


今後とも何卒よろしくお願い申し上げます。

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