表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/102

奴隷傭兵、怒る

 なんとか俺は引き抜こうとするが、深く刺さってしまって抜けない。それを見て兵士は剣を上段に構えて走り出す。まずい、まずい、スゴクまずい!俺は剣を引っこ抜くのを諦め、イチかバチか瞬時に兵士に向かって無手で突っ込んだ。


 こんな狭い部屋で剣を上段に構えてる時点で振り回せない、かもしれない。自信はねぇが今経験したばっかりだからな。経験者は語るって奴だ。幸運にも、キッチンの上に色々吊るしてあった調理器具やらなんやらがガシャンガシャンとぶつかって邪魔してくれた。


 おかげで剣の切っ先が当たったが傷は浅い。単に鈍らだったのかもしれんが、とにかく助かった。その後は敵兵と取っ組み合いになる。上になり下になりの殴り合いだ。そのうち、敵兵が落ちてたナイフを拾って俺の首筋に振り下ろそうとする。


 俺は咄嗟に相手の両手首を右手で掴んで、力づくで切っ先を左に逸らした。左耳をかすめて床に刺さる。相手の顔が近づいたところで思い切り頭突きを入れて、ひるんだ隙にそのナイフで男の胸を貫いた。


 はぁはぁはぁ・・・・・・。


 そのままそこに寝っ転がる。息が苦しい。身体も痛いが、とりあえずまだ生きてる。息が落ち着いてくると、無性に腹が立ってきた。


 あのガキのせいでこんなピンチに陥ったんだ。むくっと起き上がって、剣を引っこ抜くとつかつかとさっき俺たちが隠れていたテーブルに近づく。


「おいっ、おまえどういうつもりだ!?」


「ぁ・・・ご、ごめんなさい」


 家のなかで死闘を演じたおかげか、ようやく俺の声にまともに反応した。コイツのせいで危うくふたりとも殺されるところだ。


「さっきの状況で叫ぶとかあり得ないだろ、自殺願望でもあんのか?」


「あ、あの・・・・・・ごめんなさい」


 さっきと、同じ答えしか返ってこない。少し落ち着いてきたので、別の質問をしてみることにした。


「おまえ、さっき思い出したとか言ってたよな?」


 その質問に対してビクッと反応を見せた。口が開いては閉じを繰り返す。喋るのを躊躇っているようだった。その様子を見て、また少し怒りが湧いてくる。


「なぁ、おまえのせいで俺は死ぬ目にあったんだ。質問ぐらい答えてくれたっていいだろ」


 俺の言い方で察したのか観念したようだった。その子は俺の目を見据えると言った。


「わ、僕、未来の世界から来たんです」


「・・・・・・は?」


 思わず素っ頓狂な反応になった俺に構わず続ける。


「あの、前世の記憶があるというか。でもなんで死んだのに過去に転生したんでしょうか?」


「そんなこと俺に聞かれても知らねぇよ。てか、そもそもそんなことあり得るのか?」


 俺の問いにその子は首を振る。両親を目の前で亡くしておかしくなっちまったのか?


いつも拙書を読んで頂きありがとうございます。


☆、ブックマークして頂けたら喜びます。


今後とも何卒よろしくお願い申し上げます。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ