奴隷傭兵、ブノワール団長に会う
次の日になって『紅蓮の狼』の連中が到着した。俺たちは前回と同じようにブラニオールの外で野営している『紅蓮の狼』の団長に挨拶に行く。『紅蓮の狼』の数は三千ほどだが、これでも傭兵団としては中規模のカテゴリーにギリギリ入るぐらいだ。
俺たちが奴らの団長がいるという天幕に行くと、天幕の外の見張りが小馬鹿にしたように俺たちをなかへと案内した。
なかに入ると酒と香が入り混じったような、むせ返るような匂いが漂う。ひでぇ匂いだ・・・・・・。なかに三人の男たちが談笑しながら酒を飲みながら話している。あれか。
一番奥に座っているのが団長だろうことはすぐにわかった。俺たちが天幕のなかに入ると、そいつらの談笑が止まると、奴らが俺たちをジロジロと値踏みするような目で見ているのを感じる。
「あの、すみません。僕たちは『ブラックシープ』傭兵団です。団長にご挨拶に——」
エルが話してる途中で、デカい笑い声で嘲笑された。
「おいおい、ガキが戦争に来たぜ!」
「おい、見ろよ。かわいい嬢ちゃんがふたりも揃ってらぁ。おい、おまえらふたり!こっち来て酒注げや!」
ガラが悪いとは聞いてたが、ここまで腐ってるとはな。
「おぅ、てめぇら!俺たちは挨拶に来てんだよ。てめぇらの汚ねぇ酒の席に付き合う義理なんかねぇよ!」
「んだとコラァ!?クソガキはすっこんでろ!」
俺が反応したことで一触即発の状態になる。だが、傭兵は舐められたら終わりだ、こういうのは俺の役目だ。
「まぁ、落ち着けって。ボウズ、おまえ名前は?」
禿げ頭で図体のデカいおっさんが周りを諫める。恐らく団長だろう。
「他人の名前尋ねる前に自分から名乗れ」
「ハハッ、それもそうだな。俺はブノワールだ、ここの団長をやってる。それから俺の隣にいるのが副団長のグレッグとバオだ。ほれ、名乗ったぞ」
ブノワールという男は他の連中をなだめながら余裕を持って対応する。俺の経験上、こういう手合いが実は一番厄介なケースが多い。
「バーンだ」
「なぁバーンよ。悪かったな、お互い仲良くやろうや。俺らに課された任務は北に陣取った敵の撃破だ。ちょうどいい、おまえらは左翼を担当しろ」
ニタついたブノワールの表情に引っかかりつつも、俺たちは了承するしかなかった。Fランクに裁量権が無いというのは痛いということを翌々日になって知ることになる。
その日からエルが駆けずり回って集めた情報によれば、ティアーマの将軍ガスパールの下に三人の腹心がいるということ。そのうちのふたりがこちらのブラニオールに攻め寄せている。
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