奴隷傭兵、誘いを受ける
「なんかごめん、フィルが迷惑かけちゃって」
ロランが申し訳なさそうに俺たちに謝る姿を見て、俺はエルの頭をポンポンと叩きながら返した。
「いやいや、野郎だと女の子の扱いなんてわかんねぇから、ちょうどあいつらにも気晴らしになって助かるぜ。なぁ、エル?」
「っ・・・・・・、そ、そうですね」
エルは俺を睨みながら複雑そうな表情で返事をする。結局コイツはどっちに思われたいんだ?
その後、俺たちは妖魔兵たちの糧食も含めて買い込んだ。これもかなりの出費になる。それでも同じ人数の人間で構成されてる傭兵団に比べれば賃金を払ってないだけかなりマシだ。
ロランの隊は百人ほどだから、その辺も考えると色々切り詰めてるに違いない。そうこうしているうちにフィルたちがアニーとリアを連れて帰って来た。
「バーン、エル!フィル姉ちゃんに買ってもらったのー!」
リアが小さなクマのぬいぐるみを手にしている。アニーは小さなペンダントを買ってもらったようでご機嫌だった。
「フィル、あいつらのためにありがとな」
「ううん、いいのよ。私にもこれぐらいの妹たちがいて、なんだか他人と思えなくって」
エルも一応女の子なんだけどな、という突っ込みは一旦置いて俺は礼を言った。
「その妹たちを養うために傭兵なんてやってんのか?」
「うちは村が戦争で焼かれた時にお父さんが亡くなって。畑とかもやってみたんだけど、治安が悪くなってすぐに荒らされてしまったの」
よくある話だ。戦争で割を食うのはいつだって子供たちだ。
「ロランがその時自警団をやってたんだけど、その流れから傭兵団を結成して稼ぐって話になってね。私もそこに乗っかったって感じかな」
「妹たちはどうしたんだ?」
「母が別の街にいる親戚を頼って、妹たちを連れてったんだ。だから、私は少しでも稼いであの子たちをラクにしてあげたいなって思って」
俺は黙って頷いた。傭兵やってる連中なんて全員ワケ有りなんだろうが、聞いてみれば誰も似たような理由になってくる。
「バーンはどうして傭兵なんてやってるの?」
フィルに聞かれた俺は今までのいきさつを話した。彼女は元来優しい性格なんだろう。俺の話を親身になって聞いてくれた挙句、時に涙まで流して聞いていた。
「バーン、この戦が終わったら食事に行かない?私が奢るからさ」
「なんで、今の話の流れでそんなことになるんだ?」
俺の質問に彼女は照れながら笑って答えた。
「へへっ、なんでかな。なんかもっと話を聞きたくなった!」
「そうかよ。お涙頂戴したくて話したわけじゃねぇんだがな」
「楽しみにしてるよ!」
それが、俺とフィルとの最後の会話となった。
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