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奴隷傭兵、胡椒で儲ける

「あの、失礼ですがリザさまというのは、もしかしてリザ・シェラールさまのことですか?」


「え?はい。あの、どちらさまですか?」


 少女は明らかに警戒している様子でエルと俺たちを見ている。


「ああ、すみません。僕はエルといいます。僕たちは『ブラックシープ』という傭兵団をやっているのですが、ちょうどレ・ドールから来たのです」


 それを聞いて少女の顔色が変わった。


「あの、もしかして赤胡椒持ってたりしませんか?」


「はい、元々こちらへはその赤胡椒を売るつもりで来たのです」


「売ってくれませんか?あ、いえ、失礼しました。私ロクサーヌといいます」


 ロクサーヌは俺たちが赤胡椒を持っていると分かった途端、食いついてきた。現金な奴というか単純な奴というか・・・・・・。


「あの、もしよろしければ場所を変えてお話させて頂けませんか?」


 ロクサーヌの申し出で俺たちは、商館の建物内に置かれてる椅子に座り彼女の話を聞いた。ロクサーヌが言ったリザとは、やはりミラール州の領主の娘リザ・シェラールで間違いないようだ。


 よくそれだけでエルが気付いたもんだ。そのことを突っ込んだら、リザが赤胡椒好きなのは有名だったらしい。赤胡椒は高級食材であり、それを求める者など貴族や大金持ちしかいない。そのことと、その知識が繋がりひょっとしてと思ったらしい。


「リザさまのために赤胡椒を求めていたんですが、戦続きで交易路が潰されてしまってて」


「当たり前ですが、ギルドを通せば売値は買取価格より上乗せされますからね。品薄とあれば相当の値上げをする商会もありそうですね」


 エルの言葉に思い当たる節があるのか、ロクサーヌは顔をしかめた。


「あの、もしよろしければこちらで全て買取させていただけませんか?」


 エルは俺たちを振り返る。俺たちはそもそもエルの知識で交易をやってるに過ぎない。反対する理由も無いので当然頷いた。


「わかりました。それではロクサーヌさんに我々の赤胡椒をお売りします」


 ロクサーヌは、そのエルの言葉を聞いてぱぁっと顔色が明るくなる。よほど困ってたんだろうな。すぐにその場で証文を交わして売買契約は成立した。相場の買取価格より色を付けてくれたのでこちらとしても大助かりだ。


 向こうは赤胡椒、こちらは二千二百万ディナールという金額を手に入れる。五百万から二千二百万ならかなり良い方だろう。


「ありがとうございます。ところで、どうしてリザさまのことをご存知だったのですか?」


 その質問にエルは適当に誤魔化して無難な答えをしていた。


「いずれミラール州にも行くつもりなのです。そのときに我が傭兵団『ブラックシープ』も活躍の場を与えてもらいたいと思ってまして」


いつも拙書を読んで頂きありがとうございます。


☆、ブックマークして頂けたら喜びます。


今後とも何卒よろしくお願い申し上げます。

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