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奴隷傭兵、リアの怪我に動揺する

 俺は叫びながらそのままそいつに向かって突進する。幸い奴はリアを追わずに俺をそのまま睨みつけている。距離を詰め剣を上段から思い切り振り下ろす。が、紙一重で横にかわした直後に体勢を変えて蹴りが来る。


 人狼が蹴りをするとは思ってなかったが、剣の軌道をずらして衝撃を緩和した。奴は俺が反応出来ると思っていなかったらしく一瞬驚いたように目を見開く。俺もてめぇが蹴り入れて来るとは予想してなかった。


 間髪入れずに剣で打ち上げ、突く。これもかわされるが、相手が前足で振りかぶって来た所を横に薙いでカウンターを当てた。爪は鋭いが俺の剣の重さと剣圧は奴のそれを上回る。


 ガチっという爪の感触に続き、肉を斬り裂く手応えがあった。鮮血が舞い散り、思わず吠えたかと思うと一瞬で距離を取られる。


 なんだ、何か雰囲気が・・・・・・。この感覚・・・・・・、なんだ!?妙な感覚を覚えていると、奴は突然爪で目の前の木を切り裂いた。木の破片が奴の目の前で舞い散る。


 そしてそのまま大音量で咆哮した。ヤバイっなんか来る!本能的な何かが俺の脳に警告を発する。その瞬間、大量に舞った破片が弾丸のように俺に襲い掛かった。咄嗟に分厚い剣を盾替わりにして身を守るが、いくつかの破片は身体に食い込んだ。


「ンの野郎、舐めた真似してくれんじゃねぇか!」


 いつの間にか俺の身体からは全身の汗が蒸気のように噴き出していた。再度、奴は爪で木を切り裂いて俺に向けて咆哮する。先ほどと同じように気の破片が弾丸のように俺のいた場所を襲ったが、一度見せられたものを二度も食らうほど俺はバカじゃない。


 咆哮の瞬間に身体を捻って避けると、一気に剣の間合いまで詰めた。奴は咄嗟に木の陰に身体を隠す。が、俺は奴とその木をまとめて真っ二つに切断した。


「エル!どうだ!?」


 振り返ってエルとリアの様子を見る。リアは腕と肩から出血していた。特に腕の肉が抉れてしまい、痛々しい。


「咄嗟に腕で庇ったんだと思います。大丈夫、これならなんとかなります」


 エルのその言葉を聞いて俺とアニーはホッとした。どうやらリアはワーウルフに弾き飛ばされた衝撃で木に激突した際、気を失ったらしい。リアを動かすわけにもいかず、俺たちはその場で野宿の準備をする。


 夜になる頃にようやくリアが目を覚ました。


「リア、大丈夫ですか?」


 エルの問いに目をぱちくりしていたリアだったが、やがて思い出したように呟く。


「あれ?私、おっきな狼に襲われて・・・・・・その後どうしたんだっけ?」


「その様子なら大丈夫そうだな!」


 リアのとぼけた様子に思わず笑いが込み上げてきた。


いつも拙書を読んで頂きありがとうございます。


☆、ブックマークして頂けたら喜びます。


今後とも何卒よろしくお願い申し上げます。

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