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奴隷傭兵、アニーの魔法に驚く

「どう?」


「おう、かなり練習したんだな!」


 俺にそう言われて嬉しそうにするアニー。


「実はまだとっておきもあるんだ」


「おー、なんだそりゃ?」



「まだヒミツ~!」


 アニーは人差し指を口に持って来て、ニヤニヤしながら杖をフリフリしている。適正が最高クラスとはいえ、ここまで習得が早いもんなのだろうか。


 俺がぼんやりそんなことを考えていたらエルも同じく驚いていた。普通はここまで習得するには半年ぐらいはかかるらしい。これでエルの気が変わったようだ。少し早いが東の州モントールに行きたいと言い出した。


「ここは、おまえの故郷みたいなもんだろ。ここじゃダメなのか?」


「ダメなんですよ。ここの領主ではダメなんです」


 エルはそう言うとため息をつきながら首を振った。よっぽど嫌なことでもあったのかもしれない。


「モントールならいいのか?」


「良い・・・・・・というより、僕たちにとって良いんです。モントールは北の州との戦争が激化してます。だからいくらでも活躍のチャンスがあるんです」


 傭兵団にもランクがあり、最高ランクはSだ。戦場での活躍度に応じてランクが決定される。ランクの高い傭兵団を味方に付ければその州が戦で有利に立てるというわけだ。


 エルは未来の顛末を少し俺たちに話してくれた。エルが軍師として所属していたラ・エスカローナ州は大陸の半分を占有することに成功する。しかし、有能な領主が高齢で死去し息子に代替わりすると風向きが変わった。その息子ってのが女と酒食に耽るとんでもないダメ人間だったらしい。


 代わりに台頭して一気にもう半分の州を制圧したのが、北東ミラール州の若き領主リザ・シェラールである。


 アニーとリアは最初ポカンとしていた。無理もない、こんな話誰だって信じろってほうがおかしい。と、思ってたらすんなり信じてた・・・・・・。素直な奴らだな。


「そういうわけで、僕としては最終的にはリザの味方をしたいんです」


「なるほどな。んじゃ、最後はおまえがそのリザにとっての壁になっちまったってわけだな」


 エルは俺の問いに複雑な表情で黙って頷いた。思うところはあったんだろうが、父から受けた恩を愚息だからといって裏切れなかったということかもな。


「モントールは最終的にはラ・エスカローナ州に飲み込まれることになります。少しでも風向きを変えたいってのもあるんですよ」


「でも、それならどうして私たちの街は助けてくれたの?」


 アニーが言ってるのは当然だ。レラの街を救うのはこの州にとってプラスのはずだからな。

いつも拙書を読んで頂きありがとうございます。


☆、ブックマークして頂けたら喜びます。


今後とも何卒よろしくお願い申し上げます。

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