奴隷傭兵、妖魔兵を従える
俺はそのまま手近にいた奴らを叩きのめしながら一気に距離を詰め、弓兵に剣を叩きこむ。それを見て残り少数となったホブゴブリンたちは逃げるという選択をした。あとに残ったのは二十体近くの倒れたホブゴブリンたちだ。
エルに降りて来てもらい、一匹ずつ契約の印を入れてもらう。最後にリアが木から降りて魔力を込めると全てがリアの忠実な妖魔兵となった。最後に俺がボコボコにした妖魔兵たちをエルに回復してもらう。結果的に回復が間に合わなかった妖魔もいたが、最終的には十八匹が成功した。
「どうだ、気分の方は?」
「うーん、なんかまだちょっと怖い。あんまり仲間って感じがしないの」
そりゃそうだろうな、さっきまで俺たちを殺そうと襲ってきた連中だ。リアには気の毒だが、慣れていってもらうしかない。
「この契約印で意識の一部を奪って忠実な兵士にするのが調教師なんです」
「なるほど・・・・・・。あれ、てことは調教師が倒されたら妖魔兵はどうなるんだ?」
「その場合は悲惨ですね。制御が効かなくなればただの妖魔に逆戻りなので」
街を襲撃してた調教師本人が俺に襲い掛かったのは、あの妖魔兵どもが最後だったからか。
その日はさらに三回、先ほどと同じ要領で捕獲をしたが格段に捕獲がラクになった。なんせ戦えば戦う程仲間が増えるわけだから当然だ。結局一日で六十七匹を妖魔兵として加えることに成功した。
なんといっても嬉しかったのが、野宿をするときの見張りをしなくても良いことだ。妖魔兵たちにやらせることで、俺たちはぐっすりと眠ることが出来た。調教師って便利過ぎるだろ。
この調子でさらに四日を捕獲作業に勤しんだ結果、リアの妖魔兵は二百八十匹にまで増えた。そこらへんを超えた辺りから妖魔兵のなかにはうろうろし出したり、ぼーっとしてる奴が出始める。
「リア、大丈夫ですか?」
エルが心配そうにリアに尋ねる。
「なんだろう、私の声が伝わりづらくなってきたのー」
「ああ、なるほどですね。今のところはそれがリアの限界です。隊に分けて色々練習して慣れていきましょう」
適正が高くても、いきなり全開ってわけにはいかないわけだ。俺の時も最初は筋肉痛ですぐに動けなくなってたしな。調教師も似たようなもんかもしれん。その後は、リアのために五十の妖魔兵だけを連れてひたすらゴブリン討伐をする。
俺はほとんど見物してるだけだ。当初、妖魔兵たちはなんとなく攻撃するだけだったが、次第に時間差で攻撃するなど複雑な連携が出来るようになっていった。リアが疲れたら休憩をしつつ再び狩りをする。
いつも拙書を読んで頂きありがとうございます。
☆、ブックマークして頂けたら喜びます。
今後とも何卒よろしくお願い申し上げます。