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奴隷傭兵、窮地に陥る

 俺の頭ではゴズの言ってることが正しいのか間違ってるのかなんてわからなかった。ただ、もうあいつの元に帰ることはないんじゃないかと漠然と感じていた。狭い路地に入り近寄って来た敵兵を斬り倒していく。


 一緒にいた傭兵連中は、俺が戦ってるにも関わらず分が悪いとみるとどんどん逃げ出していった。倒しても倒してもゴキブリみてぇに沸いてきやがるし、逃げる暇もない。バタバタと残った連中が倒されていく。


 そのうち俺の周りにいる傭兵仲間は数人しかいなくなっていた。仲間が不安そうに俺に呟く。


「なぁ、バーン。団長はどうなった?敵を引き連れて逃げてるんだよな?」


 そう言われて、ようやく俺のバカな頭でも理解出来た。


「くそっ、ゴズの野郎、俺が敵を引き付けるとか偉そうに言いやがって。敵を引き付けてんのは俺らじゃねぇか!」


 言いながら周囲を素早く確認する。狭い路地裏には木箱が置いてあって道が塞がれてた。そこを乗り越えて屋根伝いに逃げれるか?残ってるのは俺を含めて五人。戦いながら小声で指示を出す。


「今から俺の言うことを聞け、後ろの木箱が見えるな。あれを登って屋根伝いに逃げる。登った後はバラバラに逃げろ」


 四人は黙って頷く。前からジリジリと迫ってくる敵兵に、思い切り剣を振り下ろした。ギィィィン!という金属の激しい音とともに、防御した敵兵のバランスが崩れる。間髪入れず蹴りで吹き飛ばすと、後ろに控えていた兵士を巻き込んで倒れ込んだ。


「今だっ!」


 俺たちは一斉に後ろを振り返って、木箱から屋根伝いに登って行った。そこからはバラバラに逃げる。途中何度も敵に遭遇し、斬り倒しては逃げ、捕まりそうになっては逃げまくった。どこをどう逃げたかもわからない。


 街の外に出るのは無理だと判断した俺は、家の窓から侵入してなかに逃げ込んだ。なかに入ると、室内は血の匂いで充満している。テーブルや椅子がひっくり返って、そこらじゅうの物が散乱していた。恐らく敵兵がすでに物色した後なんだろう。


 暗がりの部屋を進んで行くと、キッチンの横には男と女の死体が転がっていた。その傍にひとりの子供が俺の姿を虚ろな目で見ている。十歳くらいの子供だろうか、そこの男女の遺体はきっとその子の両親だったのだろう。


 俺を見て恐怖に怯えている子供を落ち着かせるために声を掛けた。ここで大声でも出されたら一巻の終わりだ。


「驚かせて悪ぃ、俺はおまえの敵じゃない」


 その子の反応は無かった。無理もない、目の前で両親を殺されたのだから。俺はなるべく優しくその子に話しかけた。


いつも拙書を読んで頂きありがとうございます。


☆、ブックマークして頂けたら喜びます。


今後とも何卒よろしくお願い申し上げます。

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