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奴隷傭兵、決着をつける

 にもかかわらず、剣で受ければひしゃげる、盾で受ければ吹き飛ばされる。それぐらいバーンの膂力は異常だった。この一年でバーンの武器は幅広で重く分厚いグレートロングソードに変えている。


 妖魔兵たちはその剣の前に斬られ、あるいは叩き潰されていった。俺は街の中心に向かいながら再度咆哮をする。どうやら俺の咆哮は妖魔どもには相当怒りを誘うものがあるらしい。


 周辺にいた妖魔兵たちが次々と俺に突っ込んできた。そうやって殲滅を繰り返しながら街の中心まで進むと少女の叫ぶ声が響いてくる。走ってその場まで行くと血だらけになった老婆が倒れていた。


 そこには一匹の妖魔兵が老婆の上に片足を乗せながら、下卑た笑いを浮かべている。咆哮を上げながらそいつの注意を引き一刀の元に斬り伏せた。


「大丈夫か?」


 老婆の傍にはふたりの少女が身を寄せ合って泣いていた。


「お、おばあちゃんが・・・・・・」


 俺はすぐに倒れている老婆の生死を確認したが、既にこと切れていた。俺が首を振るとふたりは絶望したような表情でお互いを見つめ合う。エルでも死んだ人間を生き返らせるなんて芸当は出来ない。


「残念ながら間に合わなかったようだ。他に身寄りはいないのか?」


「ううん、おばあちゃんだけなの」


 歳はエルと同じか少し上ぐらいの彼女らは双子の姉妹だという。ふたりとも可愛らしい姉妹だが双子の割に顔はそっくりという感じではなかった。姉の名前がアニー、妹がリアだという。このままなら戦災孤児として運が良ければ孤児院暮らし。


 悪けりゃ野垂れ死にだろう。俺が彼女たちと話していると、残りの妖魔兵五匹まとめて突っ込んできた。その後ろに槍を持ってる人間まで付いてくる。ああ違うな、ついて来てるんじゃなくて使役してんのか。


 妖魔兵を盾にして槍で俺を突くってか。俺は妖魔兵に向かって咆哮を上げると真正面から突っ込んだ。突っ込みながら一閃すると、妖魔兵の身体を突き破って槍の穂先が出る。


 そいつを掴むと刺さった妖魔兵の身体を蹴り飛ばした。妖魔兵の身体は槍に貫かれたまま調教師に当たり、すっころんだ直後、そいつの喉元に刃を押し当てる。


「てめぇが調教師だな。妖魔兵はこれで全部だな?」


「ぐっ、貴様に教えることなど何もない!」


「そうかよ」


 そいつにとどめを刺そうとした瞬間、後ろから俺の名前を叫ばれた。


「バーン、待って!殺さないで」


 俺が振り返ると、エルが走って来ていた。


「なんでだ?妖魔兵の親玉だぞコイツ。後々殺したほうがラクだろうが」


「縛って捕虜として突き出したほうが賞金が高いし、評価も上がるんですよ」


 よくわからんが、そういうもんなのかね。



いつも拙書を読んで頂きありがとうございます。


☆、ブックマークして頂けたら喜びます。


今後とも何卒よろしくお願い申し上げます。

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