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奴隷傭兵、決断をする

「安心しろ、俺が死ぬ前におまえらは盾として使ってやるからよぉ」


 団長は良い奴だったが、ドミニクはクソみてぇな野郎だった。


 団長と話した次の日には、俺たちは村の西側に配置された。敵軍は千ほどで、俺たちが一時的に組み込まれた「黒曜」という傭兵団は左翼に配置されている。西側と南側はぐるっと山に囲まれており、俺たちのいる東側にレラの街がある。


 ここはラ・エスカローナ州北部の二番目の交易拠点になっており、ここが落とされると経済的に手痛い打撃を被ることになる。敵軍は北側から攻めて来てこちらに向けて横陣を敷いた。


 やがて、角笛の音が鳴り互いの軍が前進する。俺たちは遊軍のような扱いで左翼脇で進軍していたのだが、いるはずの妖魔兵が一向に見当たらなかった。


「エル、気付いてるか?」


「わかってます。普通なら真っ先に出てくるのが妖魔兵ですから。それが出てこないということは・・・・・・」


 エルは移動しながら周囲を見渡す。敵軍の正面はもちろん、中央、右翼側にも見当たらない。


「考えられるとしたら山のなか、ですね」


「でもよ、山んなかは妖魔どもの巣窟だろうよ。無事じゃすまねぇだろ」


 俺の疑問にエルは山を凝視したまま答えた。


「いや、それは人間だけで構成された部隊の場合の話です。妖魔兵なら問題ない」


 言われてみりゃ確かにその通りだ。調教師も一緒なんだろうが、妖魔兵どもに守られて移動するなら問題は無いのだろう。


「敵はどう動くかわかるか?」


「僕たちが通り過ぎた背後を狙うか、あるいは・・・・・・」


 エルは後方のレラの街を振り返って見る。


「街をそのまま狙うってのか!?」


「効果的ですよ。街から煙でも上がれば前線は間違いなく混乱して崩れる。そこを突かれれば相当の損害が出ますからね」


 退きながら戦うってのは一番損害が出る。そんなの俺でも知ってることだ。慌てて戻って妖魔兵どもを全滅させたとして、妖魔兵なんぞ使い捨てみたいなもんだ。痛くも痒くもないだろう。


「エル、なんとかなんねぇのか!?」


「残念ながら、この立場では得られる情報量が圧倒的に足りない。背後を突かれるか街を襲われるかの判断がつかない以上は・・・・・・」


 エルにわかんねぇもんが俺にわかるわけがねぇ・・・・・・。クソっ。どうすればいい!?


「バーン、判断がつかない以上考えても仕方ない。バーンはどうしたいんですか?」


 俺なら・・・・・・。もし背後を突かれたとしても、こいつらはまだ戦える。だけど、街の連中はどうだ?襲われたら・・・・・・。



いつも拙書を読んで頂きありがとうございます。


☆、ブックマークして頂けたら喜びます。


今後とも何卒よろしくお願い申し上げます。

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