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奴隷傭兵、傭兵稼業再開する2

「噂ってのはどんな噂だ?」


「ゴブリン狩り専門にやってるペアで、熟練だって話だったが。こんな若い奴らだと思わんかったな」


 俺とエルは一年のほとんどを森のなかで生活していたから、噂だけが独り歩きしていた節もあるのかもしれない。


「おまえらが来てくれてちょうど良かった。今回の敵のなかに調教師がいるみたいでな、だいぶ苦戦してるって話だ」


「相手はホブゴブリンですか?」


 エルが尋ねると、団長は頷きながら地図を見せた。


「特に注意が必要なのが村の西側だな。この辺りに妖魔兵がいるって話だ」


「ではこの辺りに調教師もいる可能性が高いですね」


「ならちょうど俺たちが適任だろうな」


 俺が口を挟むと団長は続けて説明した。


「妖魔兵の数は百ぐらいだが、そいつらを囮にして敵軍が連動して動いてくるのが定石だ。そいつが厄介でな。出来れば少数での引き付け役を探してたが・・・・・・大変な役回りだがやってくれたらありがたい」


 エルは俺に同意を求めるように見上げて来たので頷いた。ハッキリ言って今までの延長みたいなもんだ。


「わかった。こっちの数は何人くらいだ?」


「悪いがそっちに割けるのは五十が限度だ。いけるか?」


 俺は笑って了解した。そんだけいればお釣りが来るほどだ。その後に妖魔兵討伐隊の部隊長にも挨拶をしに行く。部隊長の天幕に入ると酒の匂いで充満していた。余程の酒好きなんだろう。


「あの、僕たちブラックシープ傭兵団です。今回はお世話になります」


 エルが天幕のなかにいる男に挨拶をする。男は椅子から半分ずり落ちそうな格好で酒を煽っていたが、俺たちを見て立ち上がった。


「部隊長のドミニクだ。ったく、おまえらみたいなガキを押し付けられたほうは迷惑なんだよなぁ」


「んだと、てめぇ!」


 エルはドミニクに掴みかかろうとした俺を必死に止める。それを見てドミニクはせせら笑った。


「おまえらふたりで傭兵団って、舐めてんのか?それともあれか、ガキが傭兵ごっこでもしてんのか!?」


「ンの野郎っ!」


 キレて今度こそ、この酔っ払いの息の根を止めてやろうとする俺にエルが囁いた。


「バーン、待って。僕らが来たのはこんな小物を相手にするためじゃない」


 どういうわけか、その一言で俺も冷静になった。もしかして「冷静さ」まで『引』のスキルの対象ってことなのか?ただし一言言っておかなきゃ気が済まないのが俺の性質タチだ。


「飲んだくれのオッサン、一言だけ言っておくぜ。てめぇが明日死のうが知ったこっちゃないが、俺らに迷惑だけはかけんなよ」


 それを聞いたドミニクは大笑いした。


いつも拙書を読んで頂きありがとうございます。


☆、ブックマークして頂けたら喜びます。


今後とも何卒よろしくお願い申し上げます。

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