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奴隷傭兵、少年の正体を知る

 俺は御者台から飛び降りざまにひとりめを斬り捨てた。雄叫びを上げながら、ふたりめも瞬時に斬り捨てる。そこで連中の雰囲気がガラッと変わった。だがもう遅い。俺を囲むように距離をじりじりと詰めるが、お構いなしに攻め立てた。


 飛び込みながらロングソードを力づくで振り下ろす。リミッターが外れた俺の筋力は、とっくに人間の域を超えていた。相手は受けた瞬間に剣ごと圧し斬られる。そして俺は何故か咆哮した。その辺りから記憶がない。


 近くの奴に飛び掛かって剣を突き立てると、あとは蜘蛛みたいに地面スレスレに這いつくばるような素早い動きで残りの連中の足を斬って回ったらしい。後からエルに聞いて再現しようとしたが、素の状態じゃ出来なかった。


 全員倒すと、荷台の上に残ったエルを見て俺は威圧する。あと一瞬声を出すのが遅かったら俺に串刺しにされてるところだったらしい。あとで平謝りだった。エルによれば、これでも俺の『引』のスキルは使えば使う程に効力が強くなってるらしい。


 ただ、俺の狂戦士への適正度が高すぎて『自我』を野獣と人の境界線辺りに維持するのが精一杯になってる。もっと本格的な訓練をしないと、とてもじゃないが傭兵稼業なんかやれないという結論になった。


「なぁ、ちょっとこのまま街に入るわけにもいかねぇから川で洗ってもいいか?」


 俺が言ったのは返り血を浴びて真っ赤になった服のことだ。


「そうですね。近くに川があるのでそこで」


 そのまま川べりまで荷馬車で行く。俺は御者台から降りると、そのまま川のなかに入って行った。血でべったりじゃ気持ち悪くて仕方がない。服を脱いで泳ぐと少し冷たかったが、それでも気持ちよかった。


「おい、エル。おまえも入れよ」


 振り返るとモジモジしながらぼーっと立ってるエルの姿があった。俺は川を上がってつかつかと寄ってった。


「おまえも臭いんだから入れっ!」


「い!?いいです、いいです!」


 かたくなに拒むから無理矢理服を剝ぎ取って脱がす。


「きぃぃぃぃぃぃぃゃぁぁぁぁぁぁああああああ!」


 「なんだ女みたいな声上げやがって」


 必死に前を隠しながらクネクネしてるエルを見ると・・・・・・無かった。なるほど、そういうことか。思わず笑いが込み上げてきた。


「なんで人を裸にしといて笑ってんですかぁぁ!!」


「だってよ、おまえ一人称がボクだなんて言ってるからよ」


 俺がバカ笑いしてるせいか、エルの羞恥心も薄らいだらしい。服で隠しつつも一緒に水浴びをする。


「自衛のためにやってるんです!僕だって女の子に転生したかったわけじゃないんだから!」


「大丈夫だよ、おまえみたいなガキに欲情すんのは変態しかいねぇ」


 そう言われてなぜか地団駄を踏んで悔しがっているエルを見るのは面白かった。


「僕だってねぇ、バーンみたいなんじゃなくてもっと頼りがいがあって僕を大事にしてくれ・・・・・・?あれ、何言ってんだぁぁ僕は!?」


「おまえ、なんだかんだ言って身も心も女になってんじゃねぇのか?」


 混乱してるエルを見ながら俺は笑い転げた。


いつも拙書を読んで頂きありがとうございます。


☆、ブックマークして頂けたら喜びます。


今後とも何卒よろしくお願い申し上げます。

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