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奴隷傭兵、実戦へ

 五回目の検証は失敗、六回目、七回目の検証でまた止まる。つまりある程度自我が残っているということだ。エルによれば、これは俺の『引』のスキルのお陰かもしれないとのことだった。


 つまり、己のなかに自我を引き寄せてるらしい。これがコントロール出来れば自我を保ちつつ狂戦士化できるかもしれない。それにしても狂戦士化すると全身の筋肉がヤバい。


 人としてのリミッターを外すとか神殿長が言ってたが、いったいどういう身体の使い方したらここまで筋肉痛になるんだ。そのたびにエルの治癒術で癒してもらえるから大丈夫だったものの、それが無かったら数日は動けなかっただろう。


 この検証は、というより猛獣の調教みたいなもんだが、結局数十回に至るまで続いた。それと並行して傭兵ギルドにも登録をする。傭兵団の名前はブラックシープとなった。俺は興味が無かったが、なんでその名前にすんのかと聞いたら『厄介者』という意味らしい。言い得て妙だと思った。


 エルが金策のために商業ギルドにも登録する。エルは移動しながら交易も考えているようだ。街で荷馬車も購入をした。それを終えて俺たちは晴れて州都ブール・ヴァロンナを出る。


 途中の村でさつまいもと小麦を大量に買い込むと、北の街シャティヨンを目指した。村を出てから二日目、街道沿いを荷馬車の上でぼーっとしながら移動する。天気も良いし、気温も穏やか。草木が揺れるとなんとも気持ちの良い風が吹いてくる。半分寝ながら移動をしていると、向こうから十人ほどの集団がやって来た。


 大声で話しながら談笑しちゃあいるが、全員武器を装備している。傭兵崩れの連中だろう。すれ違いざまに男たちはジロジロと荷馬車と俺たちを交互に見た。そして一番先頭を歩いていた男が通り過ぎたとき、声を掛けて来た。


「よう、おまえらふたりだけか?」


 あからさま過ぎて笑える質問だ。俺はそう考えながら覚悟を決めて、荷台にいるエルに目配せをする。いざとなったらやるしかねぇ。


「だったらなんだ?」


 俺の不躾な返答にニヤニヤしながら、荷台に遠慮なく近寄って来る。


「ふたりじゃ大変だな、景気はどうだ?積み荷は・・・・・・」


「触るんじゃねぇ!」


 俺の怒声も虚しく取り囲むようにして男たちは、がっしりと荷台をつかんだ。


「てめぇら、近づくと斬るぞ」


「おお、怖ぇなぁ!」


 誰かがそう茶化すと一斉に男たちは笑った。俺が剣を抜いて威嚇してもまったく効果なしだ。


「運ぶの重そうだから軽くしてやるよ。おまえら、いや、この荷台のガキはもらってやる。おまえはいらんがな」


「おまえ、そのガキ何に使うんだよ?」


 下品なやり取りを聞かされるだけでウンザリしてくる。と、同時に怒りが湧いてきた。


「エル、悪ぃけど、ヤバくなった場合は頼む」


 エルは黙って頷いた。


いつも拙書を読んで頂きありがとうございます。


☆、ブックマークして頂けたら喜びます。


今後とも何卒よろしくお願い申し上げます。

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