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奴隷傭兵、絶望する

 「『引』というくらいですから、何かを引き寄せるスキルなのかもしれません」

俺もエルも彼の言葉を聞いて黙り込む。それ以上は彼の口から有益な情報を得られることは無かった。


 神殿から宿に帰ると、当然さっきの話の続きになる。帰り道俺たちは終始無言だった。まぁ、主に俺が話す気にもなれなかったからだが。エルがスキルについて考察したことを俺に話して聞かせた。


「バーン、僕の考えではその『引』というスキルの謎を解くことが出来れば凄い武器になるんじゃないかと思ってます」


 俺は思わずため息をついた。


「おまえなぁ、さっきの爺さんの話聞いてたか?いくらそのスキルが使えるやつだったとしても、俺の適正のせいで全て帳消しになっちまうだろうが」


「それはそうかもしれないけど・・・・・・。バーン、試しにちょっとそこの椅子を「引き寄せて」もらっていいですか?もちろん、手を使わないで」


 エルは宿の食堂のなかの椅子のひとつを嬉しそうに指を差す。


「やり方もわかんねぇのに・・・・・・」


「取り敢えず手を伸ばして念じてみてください」


 不承不承俺はエルに言われた通りに手を椅子のほうに伸ばして念じてみる。だが、椅子はピクリとも動かない。何度かやり方を変えて試してみたが、全く動かなかった。それなのに、横で見てるエルは納得したように何度も頷いている。なんなんだいったい・・・・・・。


「やっぱり!物理的に『引』ってスキルは物理的に何かを引き寄せるわけじゃないんですよ!」


 興奮したようにエルは叫ぶ。


「じゃあ、何を引き寄せるってんだ?」


「推測の域を出ませんが・・・・・・」


 そう前置きをして、エルは持論を展開する。


「恐らくもっと抽象的なものを引き寄せるんだと思います。例えば、運とか運命、あるいは人脈なんかもあるかもしれません」


「なんかあんまりパッとしねぇな・・・・・・」


 テンションの低そうな俺の顔を見てエルは苦笑いする。戦うしか能がねぇ俺としては、今後どうやって食っていくかのほうがよっぽど深刻な問題だ。


「そういえば、おまえのほうはどうだったんだ?」


 俺は唐突にエルの適正について何も聞いてなかったことを思い出した。


「僕は治癒士の適正がありました」


「治癒士だと!?」


 治癒士なんて滅多にいないって聞いてる。適正度はともかく、適正があるだけでも相当優遇されるはずだ。


「適正度はどのくらいなんだ?」


「Sでした」


 俺は思わず声を失った。治癒士なんて俺の周りにはひとりもいないし、会ったことも無い。国でも要所の守りにひとりいれば良いほうだって聞く。適正度Sの治癒士なんかいたら国宝扱いなんじゃないだろうか。


いつも拙書を読んで頂きありがとうございます。


☆、ブックマークして頂けたら喜びます。


今後とも何卒よろしくお願い申し上げます。

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