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奴隷傭兵、最後の戦い3

「く、来るなぁぁ!」


 その後もミレーヌの放った岩石はことごとく斬られた。そして、ミレーヌの前まで来たバーンは独り言を言う。


「なんだよ、期待してたよりつまらねぇ奴だったな」


「バカ・・・・・・な」


 それがミレーヌの聞いた人生最期の言葉となった。バーンに肩から袈裟斬りに真っ二つにされたミレーヌの意識はそこで消えることとなった。



 エピローグ


 


 数日後、バーンたちはガリスに呼ばれていた。


「今回のことは本当に助かった。急な依頼だったが俺からも礼を言わせてくれ」


「いや、俺たちはただの傭兵団だ。ガリスのおっさんが礼を言うようなことじゃねぇよ」


「まぁ、そうかもしれんが。俺の気持ちの問題としてだ、応じてくれて感謝する」


 ガリスはそう言いながら頭を下げた。俺とエルは顔を見合わせて苦笑いするしかない。


「ガリスさん、ティアーマとはしばらく戦は無さそうですか?」


「恐らく、そうだろうな。こっちも相当な被害が出たが、向こうはそれ以上だ。こっちから攻めるなんて馬鹿なことを上が言い出さなければ、しばらくは傭兵の出番も無さそうだな」


 エルは俺たちの方を見て頷いた。エルが予見していた通りの答えをガリスが言ったのだ。これで、傭兵団としての仕事はこの辺りでは当分無いのだろう。ガリスによれば、今回の活躍で俺たちはBランクに上がる見込みらしい。


 本来ならば、ここまで早いランクアップはしないのだが、負け戦をギリギリ回避したのだ。攻め込んで勝利したわけではないから、こうした場合は衆目の目を逸らすために英雄として祭り上げる存在が必要になるとのことだった。


 ブラニオールという城塞都市を単独で奪還したことが評価されたということも当然考慮されているのだが。だが、戦が無ければ俺たちは活躍する場がない。


「僕たちは、ここを出てミラールに行こうと思います」


「そうか。名残惜しい気もするが、ここにいてもおまえら傭兵団はやることは無いしな」


「悪いな。また縁があったらどこかで会うこともあるだろう」


「バーン、おまえみたいなデタラメな奴はどこでも活躍出来るだろうよ。期待してるぜ」


 ガリスが拳を突き出して来るので俺も合わせた。俺たちはこれまでの戦いで俺自身も含めて確実に強くなった。次の戦いの場は、エルが言っていたミラールだ。


「バーン、私次こそは火と水魔法を使えるようになりたい!」


「私、次はドラゴンを妖魔兵にしたいの!」


「無茶言うなよ。てか、アニーのはまだわかるけどよ、そもそもドラゴンなんかいるのかよ?」


「探すの!」


 リアが腕を突き上げて叫ぶ。それを見て苦笑するアリシアとシャミル。レオも控えめに笑ってる。


「昔の文献には確かにドラゴンに関する記述はあったりしたんですよ。おとぎ話程度ですけどね」


「エル、おまえまで探すとか言うんじゃねぇだろうな?」


「案外、それを探すのも良いかもしれませんね」


 エルは悪戯っぽく笑いながら返した。俺は思わずため息をついた。


 同時にこんなクソみたいな世の中だが、コイツ等と一緒なら悪くねぇかもな、とも思う。


 暖かい風が仲間たちの間を吹き抜けていった。





いつも拙書を読んで頂きありがとうございます。


☆、ブックマークして頂けたら喜びます。


今後とも何卒よろしくお願い申し上げます。

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