奴隷傭兵、最後の戦い1
その一言でアリシアはシャミルの言っていることを思い出した。ミレーヌが鑑定をするための資金を貸したのはシャミルだ。そのミレーヌに超レアなスキルがついたと分かったその日から、ミレーヌの態度が徐々に変わっていった。
そのスキルを活かしてDランクだった『高潔の薔薇』は、彼女の活躍のお陰で一気にCランクにのし上がった。借りていた借金をすぐに返したミレーヌは、鼻で笑いながらカネを返したのだ。なんて言ったか未だに一言一句思い出せるわ。
「ほら、この通り金は返す。今まで世話になったよ。ああ、そうだ。おまえたちも私の下で働かないか?奴隷傭兵として使ってやらないでもない。ククッ」
それまでシャミルやアリシアに対して、誠実で真摯な態度で接していた彼女の姿はもうない。彼女のスキルは噂になり、彼女は一躍時の人となっていた。この時、彼女の下には噂を聞きつけた千人以上の傭兵が、すでについていた。
このやり取りをわざわざ部下たち全員の前で行ったのだ。その後も事あるごとに嫌がらせ行為を受け続けて来た。シャミルは困ってる人を見かけたらほっとけない性格。
それに付け込んでお金まで借りておきながら、自分が強いとわかった途端に態度を豹変させる。そういう女だったというだけ。それでもシャミルは温厚だから関わらないようにしようってしてきたのに、終いには私たちを奴隷傭兵にするためにデュアルまで仕掛けられそうになった。だから、追い詰められた私までバーンたちに迷惑を掛けてしまった。それもこれも・・・・・・この女は!
「貴様、いい度胸だな!そんなに死にたいなら貴様から殺してやる」
ミレーヌは馬の方向を変えると全力でシャミルに向かって駆け始めた。
「私は何度もあんたを助けた!それをあんたは仇で返したんだ!」
「戦場に出れば力が全てだよ!カネも返したろうがっ!おまえみたいなゴミに恩着せがましい態度でいつまでもいられちゃ困るんだよ!」
「それが理由か!」
「今は敵同士だ、ここで殺せて清々する!死ねっ!」
ミレーヌが右手を挙げて振りかぶる。アリシアが思わず叫んだ。
「エル!」
「間に合った」
「え?」
アリシアがもう一度ミレーヌの方を見ると、まさに投げようとした刹那ミレーヌから見て右方向から巨大な棍棒がぶっ飛んで来ていた。
「は!?」
慌ててミレーヌは狙う先をシャミルから自分目掛けて飛んで来る棍棒に変えて小石を投げた。小石は一瞬で巨大化し巨岩となって棍棒と衝突する。衝突音が響き渡ると、巨岩とバカでかい棍棒が地面に落下して大地を揺らした。濛々と土煙が上がり、視界が塞がれてからしばらくすると巨大なオークの姿が土煙のなかから現れたのだった。
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