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奴隷傭兵、売り飛ばされる

 さて、金目のものは・・・・・・っと。戦闘が終わったら使えそうなものはなんでも拾う。戦場に落ちてる剣はほとんどなまくらばっかりだが、たまに使える物も落ちてる。俺が金目の物を探していると、向こうからひとりの傭兵がやってきて声を掛けた。


「バーン、あっちでゴズ団長がおまえのこと呼んでたぞ」


「もうちっと後にしてもらいたかったんだけどな・・・・・・」


 男は急げとばかりに身振りで催促する。仕方なくお宝拾いを中断して俺は団長の元へ向かった。



 血生臭い戦場に兵士の死体。折れた剣や槍がそこら中に転がってる。もうこの光景にも慣れた。傭兵団に入ってからもう何回戦場に出ただろう。俺の親父とおふくろが戦争で殺されちまってから、親戚をたらい回しにされた挙句ここにぶち込まれた。


 結局のところ、俺は体よく奴隷みたいな扱いで売り飛ばされたらしい。まぁ、奴隷と似たような扱いだが自分で食い扶持が稼げるだけマシかもしれん。十歳でここに入れられたが、ハッキリ言ってそんなガキ戦場じゃ何の役にも立たない。


 だから、ひたすらテントの設営や食事の準備、雑用をやらされた。ここじゃ戦えない奴はゴキブリ扱いだったから、俺はひたすら見よう見まねで剣の練習をしたってわけだ。弱い奴は死ぬ。最初、俺に良くしてくれたパットって奴が居た。俺は彼について行って色々と仕事を覚えた。


 彼も俺と同じような身分で、いわゆる戦争孤児って奴だ。そんな境遇のやつはゴロゴロいる。俺が十一歳で初陣に出る前だから、もう三年も前になるのか。ある日を境にそいつが帰って来ることは無かった。


 幸い、戦場に困ることは無い。しょっちゅうその辺で戦争ばっかりやってるからだ。俺たち傭兵団みたいな連中にはありがたいって話になるんだろう。俺はガキだからよくわからなかったが、周りの大人たちが言うには、国の中枢が腐っちまってるらしい。


 それが原因で統制が取れず、州がバラバラに動き出してあっちこっちで衝突を繰り返すようになったとのことだ。だけど、一番ヤバいのは北の魔族だと誰かが言ってた。北にはでっかい氷の壁があって、簡単に出入り出来ないらしい。戦争があったのはもう二百年以上も前らしいから今さら、なんだって笑われてたが。



「バーン、景気のほうはどうだ?」


 団長は髭面の汚いオッサンだが腕は確かだ。だが、俺はコイツのやり方は心底嫌いだった。ケガをした仲間を見捨てて平気で盾や捨て駒にするような奴だ。俺は何度もその光景を見てる。

いつも拙書を読んで頂きありがとうございます。


☆、ブックマークして頂けたら喜びます。


今後とも何卒よろしくお願い申し上げます。

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