久遠の僕と永遠なる君 4話
「着きました」先生が指を指したその先には、僕が未だかつて見たことのないほどの美しさを持った自然が広がっていた。色とりどりの草花。そして、目の前の大きな湖。その水は透き通って底が見えるくらい綺麗だった。この湖を見た僕は元いた場所のことを思い浮かべた。離れてから少ししか経っていないのに、不思議と懐かしさを感じていた。感動したこの気持ちを共有したくなった僕は先生に話した。「先生!!すごい!すごいです!!こんな場所見たこともありませんでした、この景色は僕の一生ものの宝物です」先生は「そうですか」とまた冷たい答えを返してきた。僕は少し寂しい気持ちになった。でも先生は前に感情があまりよくわからないと言っていたし、だから僕のこの気持ちも伝わりにくかったのかもしれない。でも、今日はピクニック!しんみりしちゃうよりは、沢山お話をして、先生と心を通わせれる様になって、先生の感情を引き出すんだ!僕はピクニックの準備を始め、先生をシートの上に座らせた。直に準備も終わり、僕も座って先生と話し始めた。
先生とのピクニックが始まってかなりの時間が経った。相変らず先生は僕との話の中で、自分の気持ちについて話すことは全くなかった。ついには話が尽きて、しばらく無言の時が増え始めていた。僕は持ってきていたサンドイッチを無言で食べ始める。その間にも先生はずっと本を読んでいた。先生はシートの上に座ってからずっとこうだ。僕は黙って色んなことを考えながらサンドイッチを食べている間に気になることが出てきた。僕は先生にそれを聞いてみることにした。「先生、どうして僕に魔法を教えてくれるんですか?」ずっと不思議だと思っていた。縁もゆかりもない僕にどうして魔法を教えてくれるのかと。先生は「特に断る理由がないからです」と言った。僕は不意にドキッとしてしまった。先生は行動こそは優しいものの、言葉が全然優しくないからだ。僕は思い上がっていたのかもしれない。ピクニックについてきてくれるから、てっきり少しは仲良くなれていたのかもと勘違いをしていた。僕は先生に途中で捨てられてしまう最悪の妄想が浮かんだ。怖くなってきてしまった。僕は先生に「先生、僕に最後まで魔法…教えてくれますよね」とめんどくさいことを聞いてしまった。これから返ってくるはずの先生の言葉が怖くて、聞きたくないような気持ちもあった。が、僕の好奇心がそれを許すはずもなかった。先生は「いいですよ、貴方が知りたいことを全て教えましょう」と言ってくれた。先生の表情こそは変わらないものの、僕にとっては嬉しい、優しい言葉だった。僕はこの言葉を聞いて、仲良くなれていたのは勘違いではなかったのかもしれない!とすごく思い上がってしまった。とても嬉しい…この暖かい気持ちをじんわり胸で感じながら、今日のピクニックは終了した。