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第8話 拷問

海斗は矢島陣のマンションの部屋に窓から乗り込んで祥子に振り下ろされようとしていた腕を掴んで止めた。


「(なんとか間に合ったか。にしてもこいつ…力の込め方が普通じゃなかった。祥子を殺すつもりだったのか)」


それを理解してさらに海斗は怒りを膨れ上がらせる。ちなみに海斗が陣の家を発見できたのは陣がダンジョン配信以外にも日常的に配信している関係で調べれば簡単に家の住所が割り出せたから。


「てめえ!?なに人の家に勝手に!?」


陣が白仮面の海斗に文句を言い終わる前に海斗は陣を祥子から遠ざけるため投げ飛ばす。


「(ここじゃあ戦えないしな)」


ブン!


「なっ!?」


海斗は火炎噴射(フレイムジェット)を腕に展開。その推進力や632レベルでの高くなった身体能力に任せて陣を窓から外へと投げ飛ばした。


「(ちょうどよくあの山に届きそうだな)」


海斗は祥子を一瞥(いちべつ)して自身の背中に火炎噴射(フレイムジェット)を展開し自身も陣を追いかける。


「…助けに…来てくれた…」


その後ろ姿を祥子は呆然と見つめる。その後ろ姿に祥子は自身がよく知る人物を思い浮かべた。

/////

ドサッ!


「くそが!?なんだって急に白仮面が!? まさか祥子と繋がりでもあんのか?」


海斗に山まで投げ飛ばされた陣であったがそこはレベル1200を超える中級ダンジョンをいくつも攻略している実力者として無事に着地した。するとそのすぐ後に海斗も到着した。


「白仮面!?てめえどういうつもりだ!?」

「……」


海斗はそれに答えない。声でバレる可能性とかそういうところを気にしてではない。ただ静かにキレていた。そして一歩一歩と海斗は陣に近づいていく。


()()は俺のもんだ!俺の()()()だ!どうしようが俺の勝手なんだよ!」


ピタッ


海斗は陣のその発言に歩みを止めた。それに陣は海斗が自身にビビったのだと解釈した。


「へっ!いまさらになってビビりやがったか!てめえが誰を相手にしてんのかわかってんのか!俺はもう3年も探索者をやってる!レベルも1000を優に超え1250!中級ダンジョンもいくつも攻略して高級ダンジョンも攻略間近!ついこの前に探索者になったてめえごときが勝てるわけねえだろ!ゴミが!」


そう愉悦(ゆえつ)に浸り(まく)し立てる陣だったが海斗は陣の発言によってわずかに残っていた理性を手放した。


「……祥子は物じゃない……」


ダッ!!


海斗は一直線に陣に突き進んだ。しかし陣と海斗の間には倍ほどのレベル差がある。1カ月と3年という経験の差もある。その行動は陣にとってあざ笑うほどの悪手に見えた。


「(馬鹿が!相手の能力がなにかも知らねえで正面から突っ込んで来やがった!)獣腕(ビーストアーム)(ベアー)】!」


ダッ!!!


陣は能力差による身体能力の差を活かして海斗よりも速いスピードで駆けながら能力を発動。陣の能力は腕を動物のそれにする獣腕(ビーストアーム)。それにより今回は両腕が熊になる。それは大きな岩さえも一撃で切り裂き持ち上げるほどに攻撃力に特化した形態。


「死にやがれー!!白仮面!!突熊(ベアースマッシュ)!!」


陣は最後の一歩で一気に海斗との距離を詰めその速度のまま海斗を熊の腕で殴ろうとした。それは陣が自慢の強力な一撃。当たれば海斗の魔法陣盾(マジックサークル)もろともその身体を切り裂いただろう。しかしここで陣はミスを犯した。油断である。それにより海斗の罠に気が付かなかった。


パシュン!


「がっ!?」


ドサッ!


陣は木々の間から放たれた海斗の雷閃弓(サンダーボウ)に気づかずに直撃。ダメージ事態は小さいもののその身体は痺れてしまい動けないでいた。


「くそがっ!?こんなもん!?」


力によって無理矢理に動こうとする陣。しかしそれを海斗が許さない。


雷閃紫弓(ボルテックスボウ)


パパパパパパシュン!!


「っ!?」


海斗は陣が再び動き出す前に大量の雷の矢を陣へ放射。それらはすべて陣へとあたりダメージもさることながら口さえも動かせない状態になった。


「……祥子は元気で明るくてみんなの憧れで太陽だった……そんな太陽に影が差していた……苦しんでいた……俺はお前を許さない……」

「っ!?」


そこで陣は白仮面の正体が昼間に出会った幼馴染であると理解するも一切動かない身体では理解しようが意味がなかった。


海斗は一歩一歩と陣に近寄っていき拳を振り下ろし続けた。


ガン!ガン!ガン!ガン!


「お前の心が折れる音がするまで殴り続ける……安心しろ。 お前が死ぬ前に回復させてやる。そうすれば一生殴り続けることができる……」

「っ!?」


そこで陣は理解した自身がとんでもない人物の逆鱗に触れてしまったのだと。


そうして海斗が殴り、死ぬ前に治療(ヒール)にて回復させ、定期的に雷閃弓(サンダーボウ)にて行動を不能にし。それを3回ほどで陣の心は完全にポッキリと折れた。時間にして1時間も経っていない。


地面に転がっている陣は目から鼻から口から下半身まですべてから液体を垂れ流し怯えた目で海斗を見ていた。


()ったね……二度と祥子に近づくなよ……」

「っ!?」


ブンブンブンブン!


しびれが緩くなってきていた陣はその海斗の言葉に必死に首を縦に振る。こうして海斗の初の対人戦にして格上の陣との戦いは海斗の戦いとも言えない拷問で終わった。

読んでくださりありがとうございます!


もし少しでも面白いと思ったら☆☆☆☆☆をつけてくれるとそれが作者の描き続ける原動力となります!よろしくお願いします!

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