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第7話 幼馴染

「なんだか久しぶりだな〜。1人で外を歩くの」


現在海斗は気分転換も兼ねて1人で外を歩いている。海斗が外を歩く時はジョンの散歩の時のみでブラック企業だったのもありゆっくりと外を歩くのは約4年ぶりとなる。


「どこ行こう?お金なら結構あるしなあ〜」


ダンジョン配信によって思いがけず大金を稼いだため(ふところ)に余裕のある海斗。


「時計でも買うか?あんま興味ないけど」


そんなお金の使い道についてる考えていた時のこと。海斗は久しぶりに幼馴染と再会した。


「お?祥子!久しぶり!」


その声に前方から若干(うつむ)きながら歩いてきていた女性が顔を上げる。その女性は本宮祥子。海斗の幼少期からの幼馴染。そんな祥子は海斗を見つけるとすぐに()()()()()


「海斗!久しぶりだね!何年ぶりかな?」

「俺が働き出してから会えてなかったから4年ぶりじゃないか?」

「4年か〜。 そういえば入った会社が結構なブラックだったんでしょ?大丈夫なの?」

「ああ、俺はもう大丈夫。辞めて解放されたから……それよりも祥子は」


幼馴染として昔から祥子のことをよく知っている海斗は今の祥子の異変に気が付いていた。そしてそれを問おうとした瞬間に祥子の腕を掴む男が現れた。


ガシッ


「こんなところにいたんだね探したよ祥子」

「っ!?陣……」


その男が現れたことで祥子は一瞬だが身体をビクッとさせ海斗に対して作っていた笑顔が剥がれ落ちた。垣間見えた表情には男に対しての恐怖が見えた。


「あれ?祥子?この男は誰かな?」

「…ただの幼馴染…特に仲が良いわけじゃないけど」

「……祥子……」


海斗を見ながらそう語る祥子の表情は作っていた笑顔でも垣間見えた恐怖でもなく感情を押し殺しているようの無の表情をしていた。


「ふ〜ん……まあいいや。それじゃあ行こうか。祥子」


そう言って祥子の表情が歪むほどに強く握りしめた男は祥子を引っ張って歩いていく。祥子はすれ違う海斗を見ないように顔を伏せていた。


「……」


海斗はあの男の眼を知っていた。ずっと4年間も受け続けていた怒りや蔑みを隠そうともしない他者を見下す眼。

そして祥子の様子からも男がロクでもない人物であり祥子は支配されているというのは簡単に予想ができた。


「……愛莉(あいり)ならなにか知ってるか?」


愛莉とは海斗と祥子のもう1人の幼馴染で名前を不知火愛莉。現在は人気急上昇中のアイドルとしてテレビやライブなどで活躍していたりする。


家に帰ってからもやはり気になった海斗は久しぶりに愛莉と連絡をとった。


愛莉はちょうどドラマ撮影での待ち時間だったらしく電話に出ることができたようだ。


「──っていうことがあったんだけど愛莉は何か知ってるか」


海斗は祥子のことや祥子が和馬と呼んだ男について愛莉に説明した。するとどうやら愛莉はその男のことを知っていたらしい。


『嘘でしょ?まだ縁が切れてなかったの?私には別れたって言ってたのに』

「つまり祥子の彼氏ってことか。どんな男なんだ?」

『名前は矢島陣。一言で言えば超がつくクズ男よ』


そう言う愛莉の声は電話越しでも分かるほどに嫌悪しているのが伝わる。どうやら祥子から相談を受けたことがあるらしく愛莉は矢島陣について海斗に伝えた。


『祥子があいつと出会ったのが20歳の時のバイト先。向こうからの熱烈なアプローチで付き合い出したって言ってたけど、その熱烈なアプローチは支配欲に変貌(へんぼう)したみたい』

「…支配欲…」

『ええ。 あいつは祥子が少しでも男と喋るだけで怒りを露わにして暴力を振るうような支配欲が強い男だった。私が会った時は外からじゃ見えない服の下はアザだらけで、逆らうとすぐに叩かれたり・殴られたり・蹴られたり。酷い時には1日以上縛られたこともあるって言ってたわ』

「…酷いな…」


話を聞く海斗の表情は徐々に険しくなっていく。


『しかもその男は中級ダンジョンをいくつも攻略していてレベルも1200を超えてるらしくて。 それも祥子が逆らえなくなってる要因みたい』

「探索者だったのか」


レベルが1200を超えているということは現在の海斗のレベルが632なので大体2倍ほどの差が存在する。海斗にとって格上の相手。


そんな相手から暴力を振るわれていたら簡単に殺される恐怖に中々逆らう気力も無くなってくるだろう。


『私は勇気を持って離れることを提案したんだけど……』

「……祥子は身も心も支配された状態ってことか……」

『教えてくれてありがとう海斗!私から祥子に連絡してみる!』

「ああ。任せた」


そうして電話を切った海斗。そして現状を理解した海斗は服を着替え白い仮面を被り外に出る。海斗のダンジョン外での初めての戦いは頂点に達した怒りによって拷問へと変わる。

/////

そこは矢島陣の家。自身の家に祥子を強制的に連れ込み陣はベッドに祥子を投げ飛ばす。


ドン


「きゃっ!?」


陣は不機嫌そうに祥子を詰問(きつもん)する。


「なんだよあの男?俺知らねぇんだけど?」

「…ごめんなさい…」


ベッドに倒れ込む祥子は陣から視線も身体も()らす。しかしその行為がまた陣に怒りを起こさせる。


「はあ?なんだよその態度?」


ガシッ!


陣は祥子の髪の毛を掴み上げ睨みつける。


「なあ?祥子。お前はなんだ?」

「……私は和馬の奴隷です……」

「それじゃあ俺は誰だ?」

「……私のご主人様です……」

「だったら逆らってんじゃねえよ!」


ガン!


「きゃあ!?」


陣は祥子を怒りのままに頬を引っ叩く。そして倒れ込む祥子。これまでであれば陣に対して心も支配されている祥子は陣に土下座して謝罪を繰り返していたところ。しかし海斗と4年ぶりに再会したことで祥子の心に変化が起こった。


かつて幼少の頃から好きだった・想い続けていた人。結局は自身の思いを伝える勇気も持てずに祥子の恋は終わった。だが今回海斗と出会ったことでその青春の日々が甦り祥子の心を縛る鎖は断ち切れる。


「今からその身体にお前のご主人様が誰かってのを思い知らせてやるよ」


そう言って陣はいやらしい笑みを浮かべ祥子の身体に手を伸ばす。


パシン!


「触んないで!」


祥子は陣の手をはたき初めての反抗を見せる。そのまさかの反抗に陣は一瞬呆ける。


「……は?」

「私はあんたの奴隷じゃない!所有物でもない!あんたなんかに支配はされない!」


祥子は愛莉の言葉通りに勇気を出してそう宣言した。しかしその祥子の腕はいまだ震えており、祥子は必死に勇気を振り絞り陣からの恐怖と戦っていた。

しかし支配欲の高い陣にとってその行為は怒りを頂点に向かわせる行いであり、祥子は陣によって殺されようとしていた。


「奴隷が!俺に!逆らってんじゃねぇよ!」


陣が大きく振りかぶった腕はしかし祥子に当たることはなかった。


パリンッ!ガシッ!


突如として窓ガラスが割れたかと思うと陣の腕が掴まれた。


「てめえは!?白仮面!?」

「…どうして…」

「……」


白仮面状態の海斗が祥子の窮地に現れた。

読んでくださりありがとうございます!


もし少しでも面白いと思ったら☆☆☆☆☆をつけてくれるとそれが作者の描き続ける原動力となります!よろしくお願いします!

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