第6話 約1ヶ月後
第一階層を攻略してから約1ヶ月ほどが経過。そこで探索者としての基本中の基本を今になって思い出した海斗。
「ダンジョンに潜り初めて1ヶ月後に登録者とかDコインを初めて確認するやつなんていないだろうなぁ」
登録者とは海斗のダンジョン配信を登録している人たちのこと。それは海斗の配信を面白いと感じた人たちの人数であり人気のバロメーターとなる。
そしてDコイン。これは探索者の最大の収入源である配信へお金を払ってコメントするスーパーチャット=スパチャで得られるダンジョンの通貨のこと。これは現金に変えることも可能でだったりそのままDコインとして使用できる店も存在する。
配信している探索者のほぼ全員がこの登録者やDコインを獲得するためにより危険な配信をしたり・より面白い配信をしたり・より勉強になる配信をしたり試行錯誤している。
「ええっと…今の俺の登録者がっと……1282万人?はあ?確か1000万人を超えたらトップ配信者ってやつじゃなかったか?Dコインも3643万?……いったい何が起こったんだよ……」
登録者は1000万を超えたらトップ配信者と呼ばれそこまで到達する者は当然ながらごく限られている。にも関わらずわずか1ヶ月足らずでトップまで行き3000万円を超える収入を得た。
そのことに海斗は困惑しスパチャを確認して原因を探る。そしてそれはすぐにわかることになる。
「"その街型ダンジョンはどこにありますか?""ダンジョン初挑戦っていうのは本当ですか?""初心者で最高級ダンジョン攻略はスリルがある!頑張ってください!"白仮面さんなら日本初のレベル9999!【神域者】も夢じゃない!”ジョンくんをモフりたいのでください"」
送られてきているスパチャを適当に読む海斗。それによって海斗はここまでの評価を受けている要因を理解した。
「……なんでジョンについてのコメントが一番高いんだ……」
海斗は現実逃避していた。それは高すぎる登録者やDコインのことではなく自身の家に存在する街型ダンジョンが最も難易度の高い最高級ダンジョンと定められているため。それを聞き今になり恐怖が再燃した。
「ふう…いったん落ち着こう。 最高級ダンジョンって言っても今は第二階層も攻略して第三階層も攻略中。危険な目にも合ってきたけど理不尽なほどの強さは感じなかった。なんかコメントも俺の能力は凄いっぽいし俺ならいける!…かも…」
最後が情けない感じとなったがこれまでの約1ヶ月を振り返りコメントも読んで過度に恐怖をするのではなく自信を持とうと感じていた。
「これからも頑張ろうな!ジョン!」
「わふん?」
気合いの入った海斗は食事中のジョンにそう語りかけるもジョンは首を傾げるのみ。
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海斗は第一階層を攻略してから数日の休憩をはさみ階段を上り第二階層へと挑戦した。
「おお……駅前の街の次は商店街か……」
第二階層に広がっていたのは魚屋だったり八百屋だったり肉屋だったり服屋だったりといろいろな種類のお店が乱立している商店街。ここではそんな様々なお店からこのダンジョン固有の魔物が存在した。
「どわー!?魚が空中を泳いでるー!?」
「んな!?なんか肉の塊が豪速球で飛んでくるんだが!?」
「ぐへっ!?キャベツに絞め殺される!?」
「服が戦術的に動くなよ!?」
魚が宙を浮き・肉が豪速球で飛んで・野菜に足止めされ・服が人型を取り集団で戦術的に動き・コーヒー屋が回復を務め・巨大化した家具に押しつぶされそうになりets。
「人型がいるんならちょうどいい!試させてもらうぞ!俺の魔法陣の応用を!」
海斗は数日間の休憩時に今まで放つのみだった火・水・雷の魔法陣を工夫することで新たな戦法を生み出せないか思考した。その結果として一番応用が活かされたのは火の魔法陣。
「火炎噴射!」
ブン!
背中から後ろに向けて火炎放射を展開。その際に魔法陣を小さくすることで噴射力を強化。その結果として高速での移動が可能となった。
「おらあ!はあ!」
その火炎噴射は背中以外でも腕や脚に展開することでパンチやキックがより高威力で繰り出せるように。
「う~ん…接近戦をもっと鍛えたほうがいいか?」
ほかの水や雷は地面を凍らせて転かしたりバラけている雷の矢をできる限り中心に束ねて大きな1本の矢に見立てたり。しかし一番応用を効かせたのはやはり火の魔法陣だった。
そんなこんなで第二階層の多種多様で変わった動きに第一階層以上に苦戦を強いられ攻略するのに数週間の期間を費やした。
そうして第二階層を攻略し現在攻略中の第三階層のテーマは、
「今度は地下鉄か。どんなところなんだろう?」
海斗が出たのは地下鉄のホーム。駅名には0の数字があるのみでホームから出ることはできない。
「うん?移動できる範囲が狭いな。気になるのは数字の書かれた駅名か。魔物がいないのも気になるけど」
そうしてもう少しくまなく探すかと考えていると魔物が出現しはじめた。
「あ、魔物が出て…………はい?」
ゾロゾロゾロゾロ
それはゾンビだった。動きは遅く1体1体の実力も第一階層・第二階層と比べても大したことはない。しかし数が問題だった。
「くそっ!?多すぎだろ!?どうなってんだよ!?」
それはまるで無尽蔵とも思うほどに何十何百と倒しても一向にゾンビは減らない。それどころかその数が増して言っている気さえしていた。
のちに気づくことになるがこの第三階層は地下鉄の狭いホームにて電車が来るまで無尽蔵に出現し続けるゾンビに耐え続けやってきた電車に乗り込んで逃走する必要がある。そして次の数字が書かれた駅に到着すると自然にホームにはじき出され待っているのは無尽蔵に出現する若干強力になったゾンビども。それを海斗は連続で行い続ける必要があるらしい。
ちなみに電車の移動中にダンジョンからの帰還が可能となっている。そうして第三階層攻略中の海斗の現在のレベルは632。わずか1ヶ月足らずでレベルが500を超えていることを知った視聴者はコメントで驚愕の嵐だった。
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