第29話 これから
綺亜蘭の両親の呼び方が"さん付け"と"様付け"の2種類あることが判明。"様付け"のほうを選択します。
ダンジョンを攻略し新たな世界を誕生させたのと同義な海斗たち。今後について話し合った。ちなみに場所はあの世界の喫茶店。
「ふう。 おいしいこのコーヒー。どこの豆使ってるんだろう?」
「このマフィンも美味しいですよ祥子さん。高級店にも負けません」
喫茶店にてくつろいでいる面々。祥子はコーヒーを綺亜蘭はマフィンをそれぞれ堪能している。ちなみににゃーちゃんはキャットフードをジョンはドックフードをそれぞれ食べているところ。それらは数十分の時間を費やして世界を一通り見たあとの休憩タイム。
そんな堪能している2人に対して海斗はあきれた表情。
「……順応早いな……」
「そう?ダンジョンから出る道具って特殊っていうじゃない?こういうものなんじゃないの?」
「私の家にもさすがにここまでのはないですが現代科学では原理が不明なダンジョン産の照明とかいろいろありますよ」
「俺が……遅い、のか?」
海斗の頭の中にはこの世界を回って判明した物の自動補充の光景が頭から離れない。いくらとっても在庫がなくなることはなくすべてがタダ。逆に悪いことをしている気分にさえなっている。
「まあでも、そもそもが街ダンジョンからしておかしかったからな。今更ってことか」
「そうですよ。そんなことよりも私たちが考えなくてはいけないのは……1.この先の探索者としての生き方について。 2.この世界の鍵とは別のもうひとつの報酬をどうするのか。 3.私はどうなるのか」
「1と2はわかるけど……3は?どうなるってどういうこと?」
祥子は3つ目の綺亜蘭自身がどうなるのかという問題について疑問を問う。
「私は海斗さんの仲間になって街型ダンジョンに入るために居候することになりました。でも街型ダンジョンも消えましたし仲間だからと言っていつまでも海斗さんの家に居候してもいいものかという」
「確かに。私も流れで一緒に住むことになったけど大きな要因はあのダンジョンがあったからだものね。それが消えた今となっては一緒に住む理由が少ないのかも?」
綺亜蘭と祥子が今度の住まいについて考えているとその言葉に海斗がポツリと言葉をこぼす。
「そうか……そうなるのか……」
その言葉は無意識から出た言葉であるしその表情も意識してのものではない。しかしその表情を見ていた2人は顔を見合わせて笑顔となる。
「海斗さんはどうしてほしいですか?」
「そうね。あの家は海斗の家だし一緒に住むかどうかは海斗が決めるのが普通よね」
「いや、急にそんなことを言われても。 と、とりあえずそれは置いておくとして!今後のことを決めようか!」
なんて答えるのが正しいのかわからなかった海斗はいったん問題を棚上げした。
「といっても……今度なんて外のダンジョンに挑むぐらいじゃないの?」
「まずは高級ダンジョンから行きませんか?あのダンジョンが最高級相当って言われていましたけど、ダンジョンクリアした今となってどれぐらいの差があるのかがわかるじゃないですか」
「それいいかもね。あとダンジョン以外だと……護衛依頼を請け負うとか?」
この世界はダンジョンの影響で能力による犯罪が多い。それは年々上昇傾向にあり警察だけでは手が回らずに民間にも護衛を請け負う組織が存在する。さらに言えば裏では暗殺依頼なんかも比例して上昇傾向にある。
「護衛依頼をするのでしたら雑事はお父様が手配しますが……依頼者によってはいろいろと面倒が多いと聞きますが?」
「う~ん……護衛依頼はもう少し先にするか……」
というわけでとりあえずこれからは近場のダンジョンに潜りに行くことが決まった海斗たち。そして話はこの世界の鍵とは違う黒と白の2つの宝石?の玉のほうへ。
「それに関してはお父様を経由すればIGJを紹介できるかもしれません」
「IGJを紹介か……さすが笹木家だな……」
IGJとはInternational Gem Judgementの略でありそれは日本が誇る世界最高峰の宝石鑑定機関の名前。それは通常の宝石鑑定からダンジョン産の鑑定・解析までこなしその精度が世界一。世界各国の宝石関係の企業やお金持ちが順番待ちをしているほどに位が高い場所。もちろんそんな場所にふらっと入れるわけもないがそこは笹木家のチカラを使えばどうにかなるらしい。
「でもさすがにIGJを紹介してもらうには出所を話すしかないよな?」
「そうですね……お父様は私に甘いですしお母様も私を信頼してくれていますがこればかりは。 場所が場所なので……」
なんだか申し訳なさそうな表情で綺亜蘭がそう述べる。
「綺亜蘭ちゃんはなにも気にしなくていいのよ。それが普通だもの。 それで?どうするの海斗?」
「う~ん……行くか……綺亜蘭ちゃんの家に……」
そもそもとして海斗が仮面をかぶっていたのが配信から家バレを防ぐため。そのために祥子と綺亜蘭にも仮面をかぶらせていたし時々配信を止めたりもしていた。
しかしそのダンジョン自体がなくなって当初の仮面をかぶる理由が消失した今となってはそこまで仮面に執着する必要がなくなったいうのが海斗の今回の決断にある。
こうして一同は世界的大富豪笹木家の屋敷に向かうことになる。
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