第28話 ダンジョンクリア報酬
海斗が苦戦しながらもなんとか魔王の討伐に成功した。すると海斗と魔王を囲んでいた光の壁が消え去り祥子たちを襲っていた四神も消え去った。
「ハア…ハア…。 四神が…消えた…」
「ってことは…」
「バウ!」
「「海斗!!/海斗さん!!」」
ジョンが駆け出した後に祥子と綺亜蘭も海斗の方へと向かって行く。するとそこには仮面を外し地面に座り込んだ海斗がいた。
「海斗!?大丈夫!?」
「怪我とかはないですか!?」
「バウ!」
ペロペロペロペロ!
ジョンから舐められる海斗。どうやらジョンとしても海斗を心配していたらしい。
「わっ!?ぷっ!? ジョン落ち着いてくれ!おすわり!ジョン!おすわりだ!」
「バウ!」
ジョンはその指示に従って海斗の隣でおすわり。落ち着きを取り戻して海斗が質問に答える。
「怪我は大丈夫。自分で治せるから」
「それもそうだったわね」
「最近使ってなかったので忘れてました」
「俺もだよ。途中で危ない場面もあったけどみんなのお陰でなんとか勝てたよ。 仲間でいてくれてありがとう」
そう言って海斗が笑顔で祥子と綺亜蘭のほうを向いてお礼を述べた。その笑顔に祥子はまたしても顔を赤らめる。
「っ!?(かっこいい……配信で仮面をつけてくれてよかった)」
「どんな感じでしたか?私たちはこっちも忙しくて海斗さんの戦闘を見れなかったので」
「いや~…結構苦戦したな。心も折れかけたし。 俺は精神的に弱いのかもな~」
そんな会話をしているとダンジョンのアナウンスが流れる。
【ピコン♪魔王の討伐を確認。報酬の宝箱が出現します。なお当ダンジョンは皆様が出た瞬間に消滅いたします】
ポン♪
アナウンスの後にスクランブル交差点の中央。魔王が出現した地点に初めてとなる宝箱が生み出された。
「宝箱か。これっていわゆるクリア報酬ってことか?」
「そうね。ほかのダンジョンだと道中であったりするんだけどこのダンジョンだとそんなのもなかったわね?」
「そんなことよりも早く見ましょう!最高級ダンジョン相当のダンジョンクリア報酬ですよ!特にこのダンジョンは世界的に見ても特異なダンジョンですしいったいどんなのが入ってるんでしょうか!」
ちょっと綺亜蘭がテンションが上がっている。その様子を海斗と祥子は微笑みを浮かべて綺亜蘭を先頭に宝箱に向かう。
「さてどんなものが入ってるのか」
宝箱を開けるのは海斗の役目となった。海斗としてはテンションの上がっている綺亜蘭に譲ってもよかったがそれはと拒否。海斗の家からのダンジョンだし魔王を倒したのも海斗。そのため海斗が宝箱を開ける役目に。
そして宝箱が開かれた。
パカ
「中には袋と箱?」
「わかりやすい金銀財宝じゃないね?」
「財宝よりも特殊な道具のほうが価値ありそうじゃないですか?」
海斗は袋と箱を宝箱から取り出す。
「まずは袋から開けてみるか」
海斗が袋を外から触ってみるとなんとなくの形が見えてきた。
「丸いやつが2つ?結構硬いけどなんだろう?」
海斗はそう言いながら袋を開けて出してみる。すると出てきたのは真っ黒と真っ白な手のひらサイズの球体だった。
「なんだこれ?」
「なんだか光って見えなくもない?のかな?」
海斗と祥子はその黒と白の球体を不思議そうに眺める。しかしその2つの球体に綺亜蘭が見覚えがあった。
「……その2つはおそらく宝石かと思います……」
「宝石?この2つが?」
「そっか。綺亜蘭ちゃんの家はお金持ちだから見る機会が多いんだね」
「はい。確かお母さんに見せてもらったブラックダイヤモンドとホワイトダイヤモンドだと思います。 さすがに専門家じゃないので正しいかはわかりませんが」
「まあでもとりあえずそういうこととして。 問題はこっちだな」
海斗は2つの宝石を再び袋の中にしまうと今度は箱を手に持った。その箱は長方形の箱で手のひらよりは長い。
「なにが入ってるのかなっと」
パカ
海斗が明けるとそれは金色の鍵と紙が挟まっていた。
「鍵?どこの鍵だ?」
「それに書いてるんじゃない?」
「なんて書いてるんですか?海斗さん?」
「ええっと……」
その紙には金色の鍵の使用方法が書かれていた。それに書かれていたことを黙読し海斗は震えだす。
「……噓だろ……これが本当だったら……」
「海斗?なんて書いてあったの?」
「ずるいですよ海斗さん!わたしたちにも教えてくださいよ!」
祥子と綺亜蘭が紙の内容を求める。
「これは見せたほうが早い気がする。俺も信じられないし」
その言葉によりとりあえず海斗たちはダンジョンから出ることになった。
「でもここから出るとこのダンジョンともお別れだと思うと少し寂しい気がしますね」
「そうだね。結構面白いダンジョンだったし。 でも攻略されたからってダンジョンが消えるとか聞いたことないけど?」
なんだか名残惜しそうにしている2人。そんな2人に海斗は含みを持たせた言い方をする。
「いや……この紙が正しかったら……おそらく……」
「「??」」
冷や汗を流す海斗に首をかしげる祥子と綺亜蘭。そうして一同が家に戻ってきた。
「戻ってきたけど……いい加減教えてよ海斗!」
「そうですよ!その鍵はなんなんですか?」
「……」
海斗は無言のままダンジョンにつながっていた扉を開く。しかしその先にはダンジョンは広がってはいなかった。あのアナウンス通りの結果となってしまった。
「だったら……ここで……」
海斗は箱から出した金色の鍵を元ダンジョンの扉のほうを向けて空中で鍵を開けるようにひねる。
カチャ♪
「海斗?なにをして?」
「海斗さん?」
「……」
海斗は再び扉を開けるとその先に広がっていたのは先ほど消滅したはずの街ダンジョンの中だった。
「なっ!?どうして!?」
「ダンジョンは消えたはずでは!?」
驚く祥子と綺亜蘭。それに唯一真実を知っている海斗は苦笑いで答える。
「はは。 どうやらこの鍵はダンジョンだったあの街を新たな世界として再構築して行き来ができるらしい」
「「新たな……世界……」」
海斗は新しい世界を誕生させた。
六ノ宮海斗:レベル8236。
本宮祥子:レベル4692。
笹木綺亜蘭:レベル5311。
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