第26話 第八階層へ
--海斗が第七階層に挑んで数ヶ月が経過--
「「「よっしゃー!!!」」」
海斗は第六階層にて手に入れた精霊との融合という新たな力も第七階層の住宅街迷路には効果なし。どんな強力な力も迷路の前では無力であり結局は綺亜蘭が行った迷路のマップ化にて第七階層を攻略した。
「ああ~やっと出れた!本当にありがとう綺亜蘭ちゃん!」
「そうそう。綺亜蘭ちゃんの頭脳がなかったら私たちは一生第七階層を突破できなかったかも」
「バウバウ」
海斗や祥子だけでなくジョンさえも頷きで賛同する。それほどに力が通用しない第七階層という場所に辟易していた。
「そんな…私はただ正確に道を紙におこしただけですから。お二人とも言いすぎですよ」
そう否定しながらも綺亜蘭は2人に褒められてうれしそうにしている。
「うにゃ~」
綺亜蘭の腕の中にいたにゃーちゃんが第七階層を脱出し第八階層にやってくると飛び降りて身体を伸ばしジョンと戯れる。
「にゃーちゃんもやっと身体を動かせることがうれしそうよ」
「たまに息抜きで別のダンジョンに挑んでいたとはいえ第七階層の攻略には綺亜蘭ちゃんは必須だったものね」
「確かにな。悪かったなにゃーちゃん」
そう言って海斗がジョンと戯れているにゃーちゃんの頭を撫でる。
「バウバウ!バウ!」
するとジョンが”僕も僕も!”と言うように頭を海斗に押し付けてくる。海斗はそれに笑顔で答える。
「はは。わかったよジョン。これでいいのか?」
「バウバウ!」
「にゃ~」
そんな海斗に頭を撫でられるにゃーちゃんとジョンを女性陣は羨ましそうに見つめていた。
「「……いいなぁ……」」
そうぼそりとつぶやいた言葉は海斗には届かなかったがその視線には気が付いた。
「うん?どうした2人とも?」
2人は海斗の指摘にごまかすように話を第八階層へと移す。
「そ!?そんなことよりも!?今度の第八階層はどんなところなんですかね!?」
「今度はめんどくさい迷路とかないといいわね!」
「なにをそんなに慌ててるんだ?」
急な2人の態度の変化に海斗は不思議に思うもそこまで気にしなかった。それは海斗としても2人の言葉に賛同していたから。
「でも確かに。さすがに2度もめんどくさい階層にはなっていてほしくないな」
海斗は階段を上りずっと目の前に存在している建物を眺める。それは3階建てとなっており横に長くショッピングモールのような場所だった。
「なあ?ちょっと提案なんだけどさ?」
「どうしたの?」
「どうしました?」
海斗は第七階層が攻略に時間がかかったこととせっかく手に入れた強力な力も満足に発動できなかった。その鬱憤を晴らすための提案をする。
「今日は最短攻略を目指さないか?」
この言葉は海斗としても第八階層をのつもりの言葉だった。しかし第七階層にて繰り返されたトラップや魔物たちとの戦闘は本人たちが思っている以上に己を強くした。
結果的に最短攻略は第八階層にとどまらずそれ以降も続きそのまま街型ダンジョン自体を攻略してしまった。
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第八階層はショッピングモールの中で行われた。海斗たちが中へと入ると真っ暗闇となり一切なにも見えず視界を封じられながらのいくつもの魔物の襲撃。しかし第七階層のトラップにて幾度も死にかけた海斗たちは視界を奪われた程度で動じない。
「雷閃紫弓!」
パシュン!
雷の魔法陣にて紫の色をした雷の矢を放ち分裂。それは光の役割にはならずすぐに闇に消える。どうやらこの暗闇はただ暗いわけではなくいかなる光も吸収するものらしい。しかし海斗は最初からそれを望んではなったわけではなかった。
「……よし!俺が先頭を行く!俺の音についてきてくれ!」
「「はい!」」
海斗は定期的に雷閃紫弓を放つ。それは視界を良好にするためではなくなにかにぶつかった音を頼りに建物の構造や物の配置を把握。通常は慎重に移動するところを走って移動する。
当然ながら道中で魔物が襲い掛かるも気配の察知に鋭くなった面々は簡単に対処。そうして十数分ほどで第八階層は攻略された。
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第九階層は遊園地。そこでは魔物の登場はなかったが第七階層でのトラップが強化されたような殺人遊具の数々。それらすべてを乗らなければ次の階層の階段は登場しない仕組みとなっている。だが強化されたとはいえ第七階層で長くいすぎた結果トラップに強くなった面々は特に危ない場面もなく普通に遊園地を楽しんで終了。第九階層は楽しみながらわずか1時間で攻略された。
そして次は第十階層。そこは大通りであり中央には1体の白と黒からなるドラゴンが鎮座していた。それはダンジョンの頂点。それはダンジョンを最終階層まで登った者が相まみえるダンジョン最強の魔物。
―――それは魔王―――海斗の死闘が始まる―――
ちょうどいいかな?と思ったので少なめですがここで終了です。次で街ダンジョンは攻略されるのか?
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