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第11話 探索者の勧め

第五階層攻略に何度も失敗している海斗。20回30回と繰り返すが四方から押し寄せるあまりの魔物の多さ対応が困難となりもう数週間とチャレンジは失敗続き。今は気分転換にジョンと散歩中。


「あ〜あ〜……どうしたらいいんだろうな〜……」

「わふう」


街で散歩しても考えるのは街ダンジョン第五階層の攻略方法。


「魔法陣の同時展開にも限界があるし。多くを展開しすぎたらコントロール出来ずに子供に当たっちゃうし」

「わふう」


ジョンとしても今回の階層に関してはあまり役に立てていないと感じており落ち込んでいたりする。


「仲間……必要なのかな〜……」


探索者とはダンジョンを攻略するにあたり仲間と共にパーティーを組み挑むのが主流。特に高級ダンジョンや最高級ダンジョンに関してはソロで攻略に挑むのは自殺行為としてほとんどがパーティーで挑んでいる。


そして街中ダンジョンは海斗の配信を見て世間では最高級ダンジョン相当とランクづけされており、ここまでジョンがいたとはいえ初心者が1人と1匹で攻略できていたこと奇跡に等しい。


「はあ。 相当信頼できないと仲間なんて誘えないよな〜」

「わふう」


そんな落ち込んでいる様子で散歩している海斗とジョン。すると大通りから狭い横道に入ったところで男女の言い争う声が聞こえてきた。


「やめてください。断ったじゃないですか」

「そんな遠慮しなくていいじゃないか。俺様と一緒に遊べるなんて本当は嬉しいんだろ?」

「なんでそうなるんですか?自惚れにも程があるでしょう」

「まあいいからいいから」


そう言って男が制服姿の女の子の腕を掴み奥に連れて行こうとする。


「離して!私にはその気がないと言ってるでしょう!」


女の子は掴まれている腕を振り解こうとしているが男の力が強く引っ張られるばかり。


そんな場面に遭遇した海斗。さすがにさすがき見て見ぬ振りは出来なった。


「助けるか。 なんか覚えがある背中なんだよな?」


海斗からは男の背中しか見えずその人物の顔は見えない。しかしその背中に海斗は漠然と知っていそうな気がした。


「お〜い。それ以上無理矢理に連れて行くんなら警察呼ぶぞ?」


海斗が言葉をかけながら男の肩を掴み止める。すると男が止まり振り返る。


「うるせえな!外野はだまっ!?!?!?」


ビクッ!!


男は海斗を見て威圧しようと言葉を発していたが途中でその声は止まる。それは次第に身体が震え恐怖へと変わって行く。


「あ、お前……」


海斗はその顔を見て思い出した。この男は海斗の幼馴染である本宮祥子の元彼であり海斗がボコボコのボコボコにボコした矢島陣だった。


「な、なんだこれ……なんでこいつを見てるとこんなに……身体が震えるんだ……」


陣は得体の知れない身体の震えに理解ができていない様子。


「(そうか。あの時は白仮面だったから俺とは気付いてないのか)」


ボコされたのが海斗と気付いていない陣だったがそれでも本能が海斗を認識しており恐怖として発動している。今すぐ逃げろと告げている。


「う!?うわあ〜!?」


恐怖が限界に達した陣は叫びながら狭い道を奥へと逃げて行く。


「人の顔を見ながら叫んで逃げるとは。失礼なやつだな」


だが結果として海斗の登場によって女の子は救われた。


「助けていただいてありがとうございます」


頭を下げて女の子が海斗に感謝を伝える。


「いや〜。俺は別に声をかけただけだから。勝手にあいつが逃げてっただけで」

「それでもお兄さんがいたから今の私がいるというのが事実ですから。私の名前は笹木綺亜蘭(きあら)です」

「俺は六ノ宮海斗。 その制服ってたしか?」


海斗は綺亜蘭(きあら)の着ている制服に見覚えがあった。それは近くに存在するお金持ちが通うお嬢様学校。


「はい。私はシェーリエール女学園の2年生です。今日は初めて送迎を拒否して1人でブラブラして帰ろうとしていたんですが……」

「ああ……なるほど」


陣がどう考えていたかは定かではないが、シェーリエール女学園の制服を着たまま街を1人で歩くことは良くない考えの者に見つかると攫われることになる可能性が高い。


「(ダンジョンとかの影響で治安も良いわけではないからな〜)」


そんなことを考えていると綺亜蘭(きあら)が悔しそうな表情となっていた。


「どうしたら…海斗さんみたいに強くなれますか?」

「いやさっきのは」

「あの男は海斗さんの強者のオーラ的ななにかに怖気付いて逃げていったんです!私も海斗さんみたいな強さが欲しいんです!」


ずずいっと海斗に顔を近づける綺亜蘭(きあら)。その端正で整ったハーフの顔立ちが急激に近寄ってきた事にさすがに照れてしまう海斗。


「探索者とか良いんじゃないかな?」


綺亜蘭(きあら)から離れながらそう回答する海斗。すると綺亜蘭(きあら)も同様のことを考えていたらしい。


「やっぱりそうですよね……ありがとうございます!わたし!探索者になってみます!」


そう言って綺亜蘭(きあら)は海斗に再度お礼を言って帰っていった。


「あ……。つい探索者を勧めたけどさすがに女子高生に勧めるべきじゃなかったか?特にシェーリエール女学園だし」


懸念するところもありつつも家族が止めるだろうと。挑戦するとしても護衛がつくだろうと考え海斗はジョンとの散歩の続きをした。



読んでくださりありがとうございます!


もし少しでも面白いと思ったら☆☆☆☆☆をつけてくれるとそれが作者の描き続ける原動力となります!よろしくお願いします!

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