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第1話 ダンジョン

今より約10年前。突如として世界中のあらゆる場所に扉が出現した。見覚えのないその扉を開けるとその先に広がっていた風景は洞窟や森や海などその場所ではありえない風景だった。


そして人々が扉の先に足を踏み入ると不可思議な能力を付与され・人々を襲う魔物が出現し・階層があり・宝箱が存在する。それはまさしく人々が想像する迷宮=ダンジョンそのものだった。


そんなダンジョンに挑む者を世間では探索者と呼び、その中でもダンジョンの機能の一部であるダンジョン探索の模様を配信するものを配信者と呼ぶ。そしてここにまた1人、配信者になろうとするものが現れた。

/////

バン!!


「今日限りで辞めさせてもらいます!!」


彼の名前は六ノ宮海斗(23歳)。今日高卒から約4年ほど勤めた会社を辞めることにした。


「待て六ノ宮!そんな簡単に辞められるとでも!」


海斗の上司が辞める宣言をして退職届を叩きつけた海斗に対して大声で怒鳴りちらす。そうすればいつもの海斗ならば恐怖をし言うことに従うと理解しているため。しかしこの日の海斗は限界を超え覚悟を決めたいつもの海斗ではなかった。


「うるせえんだよバーカ!!」

「なっ!?」


その海斗からの予想外の返答に上司の男は驚愕で固まる。大人しく何を言われても身を小さくして謝罪ばかりだった海斗しか知らないために上司の男も周囲の人間も驚愕。そんな言葉も出ない様子の元上司を無視して海斗は足早にそのブラック会社からの脱走に成功した。会社を出るといまは陽も高い昼間。海斗が昼間から太陽を浴びるのは数年以来。


「これで……これでもう18時間100連勤をしなくて済む……会社に定住しなくて済む……」


海斗は空を見上げながら今までのことが走馬灯(そうまとう)のように脳内を流れていく。自然と涙も流れ拳を突き上げ全力で叫ぶ。


「いよっしゃああああああああ!!!!!!!」


こうして海斗はブラック企業を辞めて晴れてニートになることができた。でもまさかこの時は思いもしなかっただろう。自身が最強の探索者の証である【神域者(ディアファイド)】に至れるなんて。

/////

海斗はスーパーで軽く買い物を済ませて帰宅した。ちなみに海斗の家は亡くなった両親が海斗が中学生の時に購入した一軒家をそのまま1人となってからも継続して住んでいる。


「ぷはー!まさか昼間から酒を飲むことができるなんて!もっと早くにこうすればよかったな!」


幸いとして海斗には4年働いて稼いだ手付かずの貯金と両親からの遺産も相当あるためしばらくは働かなくても生きていける。


「でもな~……なにかで稼がないと一生は持たないし……探索者になるっていうのも悪くないか?なあ?どう思う?ジョン?」

「バウバウ!」


海斗は愛犬ジョンを撫でまわす。高校を卒業してから忙しすぎたためにこうして撫でてあげることもなくなってしまっていた海斗。そのためジョンもどこか嬉しそうに尻尾を振っている。

そんな感じでこれからについて考えながらジョンと(たわむ)れながら酒を飲んでテレビを見ていた。そしてふと酔っていたというのと久しぶりに流れたゆっくりとした時間に海斗のテンションは変な方向へと向きなぜか家の探索を始めた。


「よーし!未来の探索者が家を探索してやるぜ!」

「バウバウ!」


お風呂やトイレも含めた家にある扉という扉をジョンと共に開けていく海斗。


「ここはなんだ!和室だったー!それじゃあこっちはなんだ!」


バン!


そこは壁しか存在しない家の裏側にあるガラス戸。普段は雨戸(あまど)を閉めているのだがそれさえも開けて"壁しかねー!"と言って爆笑……の流れだったのだが、


「壁しかね、えええええ!?」

「バウ?」


壁しかないはずのそこに広がっていたのは()だった。それにはあまりにも予想外だったために驚愕し酔いも完全に覚めてしまった海斗。


「ガラス戸を開けたら街だった……これってまさか……」


海斗は呆然としながらそのガラス戸の先に一歩踏み出した。すると、


ピコン♪


【能力が発現しました。あなたの能力は魔法陣です】


これで確定した。なぜか海斗の家の裏側にあるガラス戸がいつのまにかダンジョンの扉に代わっていたらしい。


「……探索者……目指すか……」


こうして海斗は探索者となり自分だけが知る世にも珍しい街型ダンジョンを配信する配信者となった。

読んでくださりありがとうございます!


もし少しでも面白いと思ったら☆☆☆☆☆をつけてくれるとそれが作者の描き続ける原動力となります!よろしくお願いします!

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