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元アラフォーの俺、公爵家嫡男に転生する~何故かいつの間にかハーレムに~  作者: おとら@9シリーズ商業化


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とあるメイドの独白

 ふむ、やはり私の考えは間違ってなかったですかね?


「まだ、なんとも言えないですけど」


 朝から様子がおかしかったので、校内にこっそり忍び込んで様子を見ていますが……。


「ご主人様は顔つきが変わりましたね。それに、行動なんかも。いや、こちらが本来の姿ということでしょうか?」


 ちなみに今は、木の上から午後の授業を受けてるご主人様を観察しています。

 ふふふ、私の精霊術は遠視なんかもできるので優秀なのです。

 異端とはいえ、私もエルフの端くれではあるので。


「そういえば、私が引き取られてから……もう八年くらい経つんですね」


 あの日のことは、今でも忘れていない。




 ◇


 物心ついた頃、私はすでに一人ぼっちだった。


 朧げな記憶は、親らしき人に捨てられたこと。


 そして、すぐに生まれた里を追い出されたことくらい。


 まあ、 別に恨んではいません。


 幸いにしてエルフはほとんど食事を必要としませんし、赤ん坊の時に捨てられなかっただけ良しとしました。


 今は幸せですし、何より殺されなかっただけマシですから。


 ただ、それでも……当時は辛かった。


 生まれた里を追い出された私は、数年の間は国のあちこちを転々としていた。


 しかし何処に行っても、出て行けと言われる始末。


 エルフは排他的な種族ですし、縄張り意識が強いから仕方ありませんが。


 そして、私が行き着いたのが……遠く離れた場所にある、大きな砦だった。


 その砦はずっと気にはなっていた。


 ただ、そこに行くには妖魔や獣と出会う確率が高かった。


 何より人族は恐ろしいと聞いていたから、近づかないようにしてたんだけど……。


 噂ではエルフは奴隷にされて、酷い目に遭わされるとか。


 ただ、ずっと寂しかったから。


 誰でも良いから、私とお話をして欲しかった。


 なんでも良いから、誰かに必要とされたかっただけ。








 そして何とか砦にたどり着いた私は、そこで力尽き……次に目を覚ました時、見たこともない場所にいた。


 ふかふかのお布団に、広い部屋……そして、目の前にはあの方がいた。


「あっ、目が覚めた? ごめんね、僕のベットで」


「あ……え……」


 当時の私は言葉は知っていたが、誰かとまともに話した経験がなかった。

 だから、びっくりして中々声が出ませんでした。

 そんな私に、あの方は優しく微笑み……。


「ゆっくりで良いよ。えっと、エルフさんは水と果物を食べるんだよね? とりあえず、果物食べようか?」


「……はぐ……美味しい」


 何もわからず、差し出されたリンゴを食べた。

 その時のことは忘れていない……初めて、まともな味がしたから。


「良かった、ひとまず食べられそうだね」


「あ、え……わたし……ここ……は?」


「えっと、ここは人族が住むアルカディア王国だよ。君は国境の砦付近で倒れてて、それを見つけたうちの父親が引き取ったみたいだね。ここは、その父親の本宅で、僕はその息子ってわけ」


 たどたどしく話す私に、あの方はゆっくり優しく説明してくれた。

 わかったのは、私はここに住んで良いこと、衣食住の保障をしてくれると。

 もう……独りぼっちではないということ。


「い、良いんですか? 私、銀髪だしエルフだし……」


「気にしない気にしない。さっきも言ったけど、うちで引き取ることにしたから」


「……ほんとですか?」


「うん、もちろん。それと銀髪に関しては気にしなくて良いよ。まったく、こんな綺麗な銀髪なのに……まあ、ここにはうるさいこと言う奴もいないから(をしてね」)脱字してます。


 気がつくと、私は涙を流していた。

 捨てられた時も、追放された時も泣かなかったのに。

 ただ、嬉しかったんだと思う……ずっと気持ち悪いって言われてきた銀髪を褒められたから。


「あれ? 何か変なこと言ったかな?」


「ァァァ! うわぁぁーん!」


「わわっ!? ……よしよし」


 あの方は私が泣き止むまでずっと、抱きしめて背中をポンポンとしてくれたっけ。


 その時に嗅いだ優しい匂いと温かみは、今でも鮮明に覚えている。



 ◇


 ……早いもので、あれから八年ですか。


 拾ってくださった旦那様には、もちろん感謝していますが……。


 実際に世話を焼いて、私の相手になってくれたのは御主人様です。


 言葉を教え、温もりも教え、愛すること、そして家族を教えてくれた。


 だから、私はあの方の力になると決めた。


「といっても、本人がやる気なさそうだったんで、私も適当に過ごしてたんですけどねー」


 それはそれで楽しく、毎日が充実していましたし。

 可愛いマリアお嬢様と、セバスさんと、ご主人様とのんびりと過ごして。

 その生活に私は満足してたんですけど……ご主人様のことはわからない。


「本人的には、どうだったんですかね? よく、俺はダラダラするのが仕事とか言ってましたけど」


 それが本音かはわからないですが、あの方の立場ならそうなるでしょう。

 優しい性格ですから、争いなどを好まないでしょうし。


「うーん……まあ、良いですか」


 解放された今、ご主人様がこれから何をするかはわからない。

 でも私のすることはただ一つ、あの方の望みを叶えること。

 私の全て望みを叶えてくれたから。


「おっと、いけない。まだ叶えてない望みがありましたねー」


 それは……ふふ、どうなることやら。


 二人の女性に挟まれるご主人様を見ながら、私はニヤニヤするのでした。

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