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好きこそ物の上手なれ 〜音痴がバンドのボーカルに⁉︎〜  作者: しいらしゆう
第1章 素人バンド
7/112

7話 熱愛報道

 SONICのPVを見終わった俺は、ある種の感動を覚えていた。4人組の若いバンドが奏でるその曲「ローディング」は、メロディーが素敵なだけではなく、歌詞が特に素晴らしいと思えた。言葉の選び方が秀逸で、そして大いに共感できるその内容は、まるで一本の映画を見終わったぐらいの満足感があった。

 俺はもはや彼らの虜だった。動画サイトに上がっている曲を次々に再生していた俺は、1時間近くそうしていたことに全く気が付かなかった。


「ん?」


 SONICの曲を10曲ほど聞いた俺はまだ飽き足りず、動画サイトを探し回っていた。そしてそこに、目を引かれる動画のタイトルがあった。俺はスクロールしていた指を止めた。


【大スクープ!人気急上昇バンドSONICのボーカル・Masaに熱愛報道】


 有名人とはいえ、完全にプライベートな情報を全国に晒される気持ちは耐え難いものだろう。俺はこんなスクープを出したそこらの週刊誌の記者に激しい嫌悪感を抱きながらも、自分の興味を抑えることはできなかった。俺は次の瞬間には画面をタップしていた。

 昨日投稿されたばかりの動画だったが、すでに数万の視聴回数を稼いでいた。人気者のスキャンダルばかりあって、コメント欄にも書き込みが多くあった。あんな素敵な歌を作る人は、どんな人を好きになるんだろうか。俺はますますその内容に興味が湧いて、その2分少々の動画を再生した。

 

【皆さんこんにちは!スキャンダルンルンです!】


 音はなく、画面の下から文字がゆっくりと上がってくるスタイルの動画だ。最初は動画主の簡単な自己紹介が入り、すぐに内容は本題に入った。


【3月19日土曜日の夜10時ごろ、自宅に歩いて帰るMasaの姿を週刊誌はとらえた。そして彼はスラリとしたスタイルの女性と腕を絡めて歩いていたのだ!!】


 へえ、やっぱりバンドマンはモテるんだな。並べられら文字だけを見てもその姿は簡単に想像がつく。


【そして、これがその証拠写真だ!】


 そんな煽り文句と共に、数枚の隠し撮り写真が画面に表示された。腕を絡めて仲良さそうに歩く姿、信号待ちで見つめ合う姿、最後は手を繋いでマンションに入る姿だ。


「……ん?」


 と、その証拠写真を見た俺は、妙な違和感を覚えた。どこか既視感があるような、それでいて強烈な嫌悪感を抱いた。

 俺は動画を10秒戻し、先ほどの写真をもう一度画面に映し、一旦その動画を止めた。帽子を深く被り、マスクをつけているが、その男性は明らかにSONICのボーカルで間違いない。そして彼と手を組む女性は一般人なのか、顔にモザイクがかかっていて誰かわからなくなっている……はずだった。


「……!?」


 俺はその女性が誰か、すぐに見当がついた。その背格好、服装、その全てに見覚えがある。顔がハッキリと見えないとは言え、もはや確信に近いものがあった。

 

「……梨沙!?」

小説を読んでいただいてありがとうございます!!


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