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あぁ!それや!

この作品には 【著作権料の防御陣】(プロテクション・フロム・JASRAC)の魔法がかかっています。

 かくして、戦闘は終結した。ここからは後始末だ。

 まずは、終了の点呼だ


「全員集合。はい番号」

「一」

「二」

「三」

「四」

(以下略)


 これは俗に『兵隊集めて号令』と言う、SF界の大御所、筒井康隆先生が開発したとされる有名な手法である。そのルーツは、かの「三銃士」のアレクサンドル・デゥマであるともされる、由緒正しき手抜き法である。…あ!手抜きって言っちゃた。今の無し!


(中略)

「八十五」

「八十六」

「八十七」

「八十八 終」

「これにシンディーとFP五人。一人は街に置いてきた。で四人……一人足りません」

「「「「「あれ? 死んだヤツいないよね? 俺の周りじゃいない 突出した奴いない?いないか 何で? 誰? ついでにフレンド登録を…」」」」」

「全員、静粛に!静かにするなも」


 またしても騒ぎ出す冒険者たちを、不在であったデカ長・シンディーに代わり実質的に指揮を執っていたドラスネーが一喝する。


「ゲーム世界で戦闘時(ミッシング・イン・)行方不明(アクション)て(ブツブツ)

 メイジの君、今から街の教会に行って、誰か死んでにゃーか確認してきてちょー。

 それと、おみゃーさんトコと、おみゃーさんトコと、おみゃーさんトコの(パーティー)、ちょぉっと探してきてちょー」


 ちゃんと弁当を食った隊を指名するあたり、きちんと周りを見ている。


天馬(ペガサス)使っていいわよ」


 途中参加ではあるが、久々の大技にみんな以上に疲労困憊のシンディーだ。


「ちょうど三頭いるし」

「お疲れ様。しかし最後のはすごい飛び道具ちゃ。やっぱりMAP兵器は流石っちゃ」


 それまでとは比べ物にならないくらいな好意的なナガトだ。


「そうやん。シンディーはスゴイんや。リアル世界やと恐竜を絶滅させるくらい強力な魔法やん?」


 恋人のステッドも我が事のように嬉しそうだ。


「ん?今何て言った?」

「え?シンディーはスゴイって。いややん、そんなに褒めてほしいの?」

「いや、その次」

「リアル世界やと、恐竜が絶滅って…」

「「 あ! 」」


 二人は同時に、重大な事に思い至った。


「「そうやん。それやん!何でこんな簡単な事に気づかんだんや」」

「あーもう。誰かの流言飛語でも、どこかの陰謀でも、フランス革命的なイベントへの伏線でも、何でもないやん」

「そうやん。ただの物理的事実やったんやん」

「あのー何の話しとっと?二人だけで完結せんと説明してほしかたい」


 二人だけで盛り上がる様子を眺めながら、周りの冒険者たちはいぶかし気な目を向ける。


「ゴメン。後で説明するから。誰かー?誰か大技を使えて、MPに余裕のあるソーサラー!協力してー!」

「はいはい?私でよければ」


 パメラ・the・グレートの大姉さまが手を挙げてやって来た。栄養ドリンクのようにMP回復ポーションを飲みながら歩いてくるその姿は、ゴージャス・セレブ系美女なのに妙にオッちゃん臭い。…実際、中の人はオッちゃんだし。


★☆★☆★☆★


ドンドコドラスタ ドンドコドラスタ

ストトントントン ンッドドンッドン


「シンディーの呪文詠唱(パフォーマンス)に対抗したいんかな?」


 ソーサラーのパメラはまたしても太鼓を叩きながら、今度は歌いだした。


「フックだ! ボディーだ! テンプルだ!

 畜生やりやがったな! 倍返しだ!

♪ 私は太鼓奏者(〇〇〇ー) 〇〇〇(アウトロー)太鼓奏者(〇〇〇ー) 私が叩けば

  【嵐を招く人(ストーム・ブリンガー)】!!!」


 呪文を唱え終わると、周囲には急に冷たい風が吹き荒れ、黒雲が集まり雷鳴が轟きだした。


「一天俄かに掻き曇り、雷ピカピカ、稲妻ゴロゴロ、吹けよ風、呼べよ嵐!」

「スーちゃん、えらい楽しそうやね?」

「にして大姉(パメラ)さまスゴイ迫力たい」

デカ長(シンディー)よりもデカ長(ボス)感があるなも」


 そして始まる暴風雨。冒険者たちは慌てて雨から退避し、シンディーとステッドだけはビショ濡れになりながらも満足そうな表情を浮かべていた。


★☆★☆★☆★


「つまりね、『核の冬』とか『火山の冬』とか言うヤツやん」


 冒険者たちは、リアル世界では運動会の本部に使うような大きなテントに集まって雨宿りしながら、シンディーたちの報告を聞く。


「色んな原因で空中に巻き上げられた灰やの煙やのの微粒子が、太陽光を遮って冷害になる。植物の生育が悪くなる、で飢饉になる。ってヤツ」

「日本史やと、天明の大飢饉は浅間山の噴火が原因や、とかな」

「つまりそれは、ゴブリン恐怖症による過剰な火力が原因と言いたいのかなも?」

「見てみなさいよ。この森でのゴブリンの生態調査がほぼ無駄になったくらいの焼け野原よ。」

「それはソーサラーが原因ちゃ?」

「剣の一振りで大地を割り山を砕くような戦士もゴロゴロいましたけど?」


 ドラスネーもナガトもその部下達も、そろって明後日の方向を向いてしまう。


「まぁ、戦争はしたらかんて事だなも」

「なにキレイにまとめようとっと?今更遅か」


「それで今、舞い上がった微粒子を魔法の嵐で叩き落してる…と?」

「後はゴブリン恐怖症をなんとかしたら、過剰防衛も何とかなるやろ。なるべく自粛してもらって、嵐系の魔法を義務付けたら飢饉はなんとかなるやろ」

「義務付けるって、誰もそんな強制力ないし。お願いと自主的に努力目標としか」

「まぁその辺は追々考えるとして、街に帰ったら占い師に聞いてみよう」




感想・評価・ブクマ・☆。

とにかく何でも頂けると喜ぶ奴がいます。


「おぉ。そらワシや」   でした

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