ゴブリンのカンピンタン
遅くなってすいません
「はい、全員整列。メイジは前に出て。みんなに【身体強化】お願い」
「すいません。戦闘開始前にMP切れそうです」
「それなら私、ソーサラーが【名乗り上げ】を…」
「「「「「 それはいい!」」」」」
なぜか戦士たち全員の声がそろう。
「なんでよ?あのコンボなら、よっぽど上手く布石打って、よっぽど強力な目くらまし使わなきゃ、よっぽどの薄らボケでも気がつくって!」
「「それでも何かいやなの?」」
「まったく、誰だよ?変なコンボ流行らせやがって!」
((すいません。うちのリーダーが…))
狂茶隊の二人は思わず心の中で謝ってしまった。あくまで心の中でだけ。聞かれてトバッチリはいやだ。
「しょうがないわね。じゃあ、こっちで【軍太鼓】」
●●●●●
【軍太鼓】
この呪文を唱えると、魔法の太鼓が出現する。
その太鼓の聞こえる範囲の味方の基本戦闘力が+5%される。
同じく、敵の基本戦闘力は-5%される。
ホーン・セクションが加わると、さらに+5%(-5%)される。
●●●●●
ドンドコドラスタ ドンドコドラスタ
「まだだな。まだまだ。…よし今だ!弓隊、撃てー!!」
「「「「「オーー!!!」」」」
「次、ソーサラー隊。撃て」
「「「…はぁはぁはぁ…ぜぇぜぇぜぇ…」」」
「ん?どうした?」
「「「 ウキャーーーー【火炎地獄】【氷雪地獄】【(なんかその他いろいろ)】!」」」
「いきなりMP使いすぎだ!みんな落ち着け!」
「三人ほどがパニックってます。ゴブリン恐怖症の模様」
「あーもぅ。【眠れ】×3」
強硬手段で落ち着かせる。計画が少し狂った。
「ちょっと早いけど、ワシらも出よまい」
「よし、また競争するちゃ」
戦士二人は永遠のライバルであった。
「私も仲間に入れっと」
「ちょっとスピちゃん…」
「ステッドちゃんも来るかなも?」
「負けんとですよ」
「「よし!ついて来るなも・ちゃ」」
スピカが仲間に入った。ステッドも後について来る。
ドラスネー、ナガト、他、戦士たちは正しく無双状態でバッタバッタとゴブリンをなぎ倒していく。
「(グサッ)十二、(ザン)十三十四…ドヤ!?」
「まだまだ…おっと」
背中に目がついているかのように回避し、また切りつける。
「【火球】、【風鎌】」
「なかなかやるちゃ」
「ほーだなも。ほい次!」
スピカはベテラン戦士に認められつつあった。
◇◆◇◆◇◆◇
多勢に無勢のゴブリンの前に、冒険者たちの勢いはじょじょに削がれていく。
幸い、まだ死人はいないが、満身創痍で塹壕に追い返される者が増えてきた。
ゴブリンたちはかなり数を減らしてはいるが、まだまだ勝ちきれない。
「【太陽神の戦車】!」
見えない巨大な馬が、炎の足跡だけを残してゴブリンたちを蹂躙してゆく。
炎に、文字通りに踏み躙られたゴブリンの死体は、焼け焦げ潰されていた。
「ゴブリンのカンピンタンやん。気色悪り」
ステッドが言う。
「魔法系のほとんどがMP切れ寸前です。そろそろヤバイです」
部下の報告に、リーダー達は焦りの色をにじませる。
「ゴブリンの巣別れなら、ゴブリン・キングを倒すまで終わらんちゃ」
「よし、戦士系全員で出るぞ!」
「「「「 おーー!」」」」
「【火炎地獄】!」
「えーっと【火球】【氷槍】」
「【治癒】【治癒】【治癒】…ソーサラーがいないで面倒くさい」
そこへ空から、魔法降ってきた。
街に戻っていたシンディーたちが戻ってきたのだ。
「騎兵隊たい」
「航空戦力だなも。第二次大戦に進化したなも」
「よし、救援だ!もう一踏ん張りだ!!」
冒険者たちはにわかに活気づく。
「かしらかしら なぜかしら?…」
上空を見ると、ソーサラーがなにやら呪文詠唱をやりだした。
この世界で、MAP兵器がしなくても良い呪文詠唱を始めたのなら、周囲の人間がやる事は一つだ。
「全員退避!塹壕でもどこでも、とにかく逃げろ!!」
かくして、戦闘は終結した。
感想・評価・ブクマ・☆。
とにかく何でも頂けると喜ぶ奴がいます。
「おぉ。そらワシや」 でした




