正しい事をしたければ、偉くなれ
冒険者の宿のロビーに貼り出されている大きな地図…の隣に這い出された半切、判りやすく言うと書初め用の長い半紙に書かれた文字。
『冒険者飢饉 対策本部』
『ゴブリン恐怖症 相談室』
「いつも思うんだけど、この習字セットどこから持って来たのかしら」
筆墨硯紙の四種類を文房四宝と言うのだが…本当にどこから持ってきたんだか。
「この極太毛筆、現実世界でも専門店でしか売ってないわよね。誰が書いたの?」
「例のあの人。道化師ジョー傘下の書道名人」
「あぁ。でも、この『冒険者飢饉』って名前どうなの?」
「私もどうかと思うんだけど、判りやすさ優先で」
「相談室の方は?」
「そうよね。相談に乗ってくれそうな人って…
ジョーに医者仲間がいないかって聞いたら『ゲームに入ってまで、あんな奴らと付き合いたなかばい』だってさ」
「あいつ、現実世界で何があったんだろうね」
「人生の先輩。横町のご隠居。お寺の和尚さん。もちろん中の人が」
「ゲーム世界にいなさそうな人ばっかり…でもないか。最近、ご長寿ゲーマーも増えてるから」
「募集でもかけてみる?」
「そういう人限ってアバターがロリキャラだったりして」
「あー最近流行ってるよね。ロリババアとかば美肉だとか…相談する気失せるな」
と、そこへ
「デカ長!大変です!」
「誰がデカ長やん」
「そのネタ振ったの自分たい」
例によって、成り行きで対策本部長に就任させられていたシンディーであった。
がんばれシンディー、冒険者ギルドを組織改革できるのは君だけだ…多分。




