無念を晴らすためにも
冒険者の宿のロビーに貼り出されている大きな地図…街の地図と周辺の森や山とダンジョンの位置を示す地図だ…そこには冒険者たちが様々な情報を書き入れてある。
「特に目新しい情報も、大きな事件もないね」
「まぁ、書き込む程ではないって思ってるだけかもね」
ギルド職員達に聞いても同じだった。
ならばと、現場に行ってみる。まずは占い師の婆さんからだ。
NPCと言うと誤解されそうだが、彼ら彼女らはプレイヤーではないだけで血肉の通った人間だ。原住民とか土着民とか先住民族とか言う方が……もっと誤解されるな。
「お願いします。もっと詳しく教えてください。できたら具体的に」
「そうです。なぜ僧侶でも巫女でもなく占い師に話が来たのか?」
「えっ?そっち?」
「でしょ?聖職者関係は完全にゲーム用で、他のルートがないから占い師に来たって所じゃないの?」
「いや、今は話すべきはなぜ冒険者が原因になるのかであって…」
「でも本当かな。なにかどこか、街の人と冒険者に不和を起こそうと陰謀が…」
「ところで私とフレンド登録を…」
狂茶隊が聞き込みをしていると、他の冒険者たちもやってきて大騒ぎになってしまった。
結局…
「うるさー--い!商売の邪魔するんじゃなー--い!!」
追い返されてしまった。
「「「「お前が騒ぐから お前が順番抜かすから いや、お前が怖い顔するから」」」」
「あーもう!うるさい!うるさい!!全員せいれーつ!」
シンディーは後ろをゾロゾロついてくる有象無象についにブチ気れた。ゲーム世界に来てから身に着けた特技・ラジオ体操友の会の会長(成り行き)の気合で、号令をかける。向こうも思わず従ってしまう。
「君たちは教会から話を聞いて。こっちは街中の占い師。君らは祠・聖遺物に異常はないか。君たちは農民から飢饉の兆候があるのかないのか?全員で手分けして聞き込みだ!
諸君。必ずホシを上げる!!」
「「「「はい!!……ってホシ?」」」」
「それは刑事ドラマたい」
で、全ては空振り。特に異常もなければ神託もなし。予兆も、凶獣の目撃情報もなし
「凶獣は目撃されてないだけじゃ?」
「いや、凶獣は予兆を知らせるために出現するんだ。目撃されるために出現してるようなヤツらだ」
「逆に聖なる祠じゃなくて、悪魔を封印した石を割ったとか」
「はぁ。ゲーム業界には格言があるそうだけど」
「またSF研のOB?」
「そう。曰く『石を投げると、世界の危機に当たる』」
「「………」」
「なんやそりゃ。はた迷惑や」
「ゲームが現実になってるここじゃ、笑えんと!!」
捜査は一旦振り出しに戻った。
「いや、捜査ってなんやいな」
この名言を言った人は、今アニメ骸骨騎士さまを書いているようです




