そこまで人のせいにする?
「かしらかしら なぜかしら?
米軍がイラクで大量破壊兵器を見つけられなかったのはなぜかしら?
それはね 可愛いシンディーちゃんは FFFF内に転生したからよ
【流星攻撃】」
盛大に舞い上がるキノコ雲を眺めながら、はからずもその場に居合わせた全員も心の声はハモっていた。
「「「「「なんちゅう呪文詠唱だよ」」」」」
□◇□◇□◇□◇□
「最近、ゴブリン恐怖症が増えてなぁ」
ここは冒険者の宿。ギルマス(NPC)の呼びかけに応じたのは、人の話を聞いてくれるような公共心のある隊だけだった。解りやすく言うと、学校とかで面倒な係を押し付けられるようなタイプたちだ。並の冒険者に公共心なんて期待できない。0人でないだけマシな方だ。
でもまぁ大人になると、その辺の義務も解ってくるし、田舎に住んでるとねぇ、暗黙の強制で青年団だの消防団だのに入らなきゃいけないんだよ。辛いなぁ。
「なんか、妙な愚痴が聞こえてくるんですが」
とにかく、狂茶隊の三人も会議に出席していた。
「明らかに人間じゃないのに、中途半端に人間ぽいし」
「立ち上がったカエルみたいなものか?」
「暗闇でカサコソ蠢いて」
「ゴキブリみたいなものか?」
「大量にワサワサ集まって」
「大群恐怖症?ネズミの群れみたいな」
「不潔な環境で押し合いへし合い」
「ウジ虫だな」
「「「「「………………ウゲー…聞いてるだけで気色悪くなってきた…」」」」」
「あーー。オッホン。とにかく、できたら相談に乗ってやってほしい。それから、この人だ」
そういうと、前の方にとある老婆(NPC)を呼んだ。
「この占い師の婆さんが言うには、冒険者が原因で飢饉が迫っているらしいのだ。」
「「「「「えー?!何で俺たちのせいに?」」」」」
「解らん。全く解らんがとにかくそういう占い結果が出たんだ。何か心当たりのあるものはいないか?
妙な噂が広まったら、冒険者たちと住人たちとの間に不和が起こるだろう。それは誰も望まんだろ?」
「「「「 そんな事言われても 原因が分からないなら そもそもその占い当たるのか 」」」
ザワザワ
「はーい。やっぱりあれですか。誰かが知らずに豊穣の女神の祠を壊しちゃった…とかですか?」
「ふむ。まだ何とも言えんが、その手の話があったら教えたほしい。じゃあ、今日のところはこの辺で」
今日の会議はこれで解散となった。そして、三々五々、パーティー同士で集まって今の会議についての会議を始める。
「しかしまぁ、冒険者ギルドに強制権が無さすぎるってのも問題じゃない?」
「あぁ、ジョー達も全然来なかったしね」
「ゲーム的には依頼を集める係で充分だったけどね。本格的に自治会的な組織に…」
「やりたいの?言い出しっぺで全部押し付けられるよ」
「絶対やだ」
総論賛成・各論反対。組織改革はなかなか進まないものである。
てか、単に政治家向きの性格とか、権力志向のプレイヤーは転移してないらしい。そんな奴そもそも冒険者にはならないし。
「でもさぁ、『世界の秘密を解き明かす』って私たちのコンセプト的にNPCを使っての運営側からの働きかけって、美味しくない?」
依頼とも言えない問いかけに興味を示した冒険者は多くなかった。




