重戦士ステッドは泣く
初回拡大版SP 三本立ての第二話だよ
「ヒャーーーー!!」
思わず変な声を出してヒョイと避ける。
ガッシャー――ン!!!
ヒゲ面大男は勢い余ってガラスに突っ込む。きれいな人型に穴があき、一瞬遅れてガラス片が降り注ぐ。
「何時代のアメリカ・アニメやねん!」
思わずツッコむ。
「ヒドいやん。それに言う事はそっち?」
体中にガラスの破片が突き刺さり、血をビュービュー吹き出しながら重力を無視した動きでピョコタンと起き上がった大男が女っぽくぼやく。
「ごめーん、スーちゃん。熊が襲ってきたかと思った」
そう、このヒゲ面大男が指輪を渡す相手スーちゃん…もちろん中の人の事であってLGBT的な話では全然ない。
「でもほら、もうケガは治ったやん?ガラスもそっとよそ見してるうちに…ほら直っとる」
「本当や。これって絶対安全領域?つまり、“始まりの街”アムレーハルクスって事?」
「FFFFのすべての始まり。完全初心者対応。街内のケガは一瞬で治り、外でのケガも一晩寝れば完全回復」
「いや、そういう事言いたいんじゃなくてぇ!(怒)いきなり変な所に放り出されてぇ(泣)やっと知った顔を見つけた(喜)のに…この扱いやん(悲)」
シンディーとは同郷の三重県人で、やはり『ヤンヤン』言う。ヒゲに覆われて目と鼻しか見えないが、人間の喜怒哀楽の全部入った複雑な顔をしてるのが解る。
「不安やったしぃ悲しかったしぃどーしょーか思っとったやにぃ。それやのにそれやのに ウッウッウワーーン!!!」
とうとう泣き出してしまった。いくら中の人が愛しいスーちゃんとはいえ、ヒゲ面大男のギャン泣きされても扱いに困る。あまりしたくはないがハグをしてヒゲ面に頬ずりをする。
「泣かないで泣かないで。ほら、落ち着いて。俺はいつでもそばにいるから」
◇◇◇◇◇
重戦士ステッド。あだ名は中の人と同じくスーちゃん。パーティーの守りの要。LVはカンスト、技能もコンプリート。遠距離恋愛なんで、離れていても共通の事していよう、line替わりにもなるし。と言う訳でFFFFを二人で始める。
ちなみにヒゲに隠れた顔は、新堂雅人…つまり恋人の顔。身長は184センチの新堂をさらに115%にした211センチ。(ちなみにに、B5→A4に拡大コピーするのが115%。)
◇◇◇◇◇
「どう?落ち着いた?」
「うん。少し」
道の真ん中で泣き出したヒゲ面大男と、それを慰める美女(一見)に周りの好奇の目が集中する。耐え切れずに移動する。
「にしても、この世界って何なんやろ?」
「やっぱり、ゲームの世界?」
「それだと、□グ・ホラかSA〇かで話が変わってくるなぁ」
「あんまり伏字になってないなぁ。それに、そんなに違うかいな?それほどでもないんちゃう?」
「大違いよ。死んでも生き返るか、死んだら終わりかで身の振り方が全然違うわよ」
一応外見に合わせて言葉遣いに気を使ってみた。
「ケガもガラスも一瞬で治る…やっぱりバーチャルな世界ってのが一番有りえるかな?たまに、ナノマシーンとかってマンガもあるけど…」
「ナノマシーンはまだまだ未開発なテクノロジーだ。それだとしたら数百年後の世界になってるよ」
スーちゃんの中の人は優秀な理系女子である。ずっと六か国語の科学雑誌を定期購読している才媛でスレンダーでスタイル抜群な美人でもある。
「宇宙人のテクノロジーってのも、肝心の宇宙人が来てる可能性は限りなく低いからね。あんがい本当の異世界かもな。治るのも魔法の力だ」
「理系ジョとは思えないセリフね」
「理系ジョだから科学の限界が見えるんだ。それに、『科学で出来ない事は魔法でやる』ってのはマーベル・コミックがよくやってる事だ」
アメコミも読んでいるらしい。
「んで、どこに向かってるんだ?」
「あぁ。情報取集とそれから休憩したいから”冒険者の宿”にでも」
「…」
「?どーしたの」
「キャー!バカ!スケベ!変態!この非常時に何考えてるのよ(ボカスカ)」
「チョッちょっと!痛いやめてワ~ゴフ!ゲフ」
何か行き違いがあったようである。
第二話いかがだったでしょうか?
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「おぉ!そらワシや!!」 でした