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とりあえず色々試してみる (それしかないだろ)

30分ほど休みました


気が向きました 


再開します

♪ チャンチャーカチャンチャンチャンチャン チャンチャーカチャンチャンチャンチャン

♪ チャンカチャンカチャンカチャンカ チャンチャンチャンチャンチャン

「腕を前から上にあげて、背伸びの運動から~」


 早朝、公園から街にシンディー・マーチンの声とステッドのトイ・ピアノの音が響き渡る。

 様々種族が入り混じった数十名が、整列してラジオ体操をしていた。

 人型の種族はともかく、ケンタウロス族は足の曲げ伸ばしに苦戦していた。


「はいでは次。安全確認。お互い向かい合って…ヘルメットよいか?」

「「 よーし! 」」

「鎧よいか?」

「「 よーし! 」」


 色々相互確認した後。最後には


「きょうも一日安全冒険でがんばろう」

「「 おーーー! 」」


 何でこんなことになったかというと

 時は一カ月ほど前に遡る。数千人のプレイヤーがゲームの世界に転移した大事件の後、冒険者たちが本格的に活動し始めた頃だ。


 去年の朝ドラ女優の顔を持つ美・男の娘シンディー・マーチンは魔法少女のステッキを竹刀代わりに素振りをしながら考えていた。

「なんかシックリこないな」

 理由は分る。リアル世界の体は今とは似ても似つかない184センチの大男だ。背も手足の長さも全然違うから当然だ。もっとも、魔法使いシンディーとしては必要のない鍛え方ではあったのだが。

 相棒兼恋人の重戦士ステッドも真逆の違和感を感じていた。力も運動神経も過ぎて、特には鍛えていない理系女な中の人は自分に振り回されっぱなしだ。

 もう一人の仲間、妹系アイドル顔の魔法美少女スピカ・D・ワンダ…といってもシンディーとは違い肉体強化で戦場を駆け回り【火球(ファイアー・ボール)】や【雷撃(サンダーボルト)】をぶっ放すタイプで、中の人は空手・柔道ともに黒帯という強さなのだが、それだけに違和感が深刻だ。


「とにかく体を動かしまくって慣れる事かな」

「それしかなかか」

「とりあえずラジオ体操でも」

「10何年やってないから覚えてなか」

「ピアノだったら弾けるけどなぁ。中学まで習ってたから」

「私、覚えてるよ。朝一で現場とか工場とかに営業に行って、みんなに付き合ってやってたら覚えた」

「じゃ、シンディー前に立って。お願い」

「えぇ!しかたない、じゃスーちゃんピアノないから…口でして(ハート)」

「なんか下ネタぽくてヤダな ♪ チャンチャーカチャンチャンチャンチャン~」

「なんか、みんな見とっとたい」

「気にしたら負けやん、気にすんな」


 最初は好奇の目さらされていたが数日後には一人増え二人増え…最終的には数十人規模にまで増えていた。

 後に、このラジオ体操から続く横の繋がりが、たった三人の狂茶(マッド・ティー)(・パーティー)が様々な事件の中心になった行くことを、今はまだ誰も知らない。


◇◆◇◆◇◆◇◆


「容姿も変わらないわよね」


シンディーは妙な事を話し出した。


「なぁに姉兄さま、急に」

「何ね。特別なイベント以外では、服を変えるのは課金でしょ?」

「温泉とか海水浴場とかね」


 他にないのか?


「ほら、ちょっと見てて」


 そう言うと、髪飾り・耳飾りを外し、キャラ立ちアイテムの魔法のバトンとまとめると遠くまで放り投げた。地面につくと同時にシュルシュルと音を立ててシンディーの髪と耳と手に戻ってくる。


「ほらね」

「あらら」


「私もヒゲ剃りたい。最近暑苦しくなってきたし」

「できるかな?」     

「ヒゲ剃るとシンディーの中の人なんでしょ?見たい見たい」

「じゃあ、やってみるか(ジョリジョリ)」


  ボン!!


「イタタ」


 爆発音と共にヒゲが生える


「「痛いの?」」

「作用と反作用、相手がチクチクするぶん、根元の自分もチクチクするの。男なのに分からない?」

「いや、私たち伸ばした事ない。社会人だし、細めに手入れしてる」

「スーちゃんこそ、女なのにヒゲの事分かるの」

「だってビキニライン………ゲフンゲフン」

「「???」」


 ふつうは咳き込んでいるうちに顔が赤くなるものだが、なぜか顔が真っ赤になってから咳き込んでいた。


◇◆◇◆◇◆◇◆


 …と言う訳で、ラジオ体操と並行して、とある実験をしてみることにした。


 シンディーとスピカは学生時代のように素振りと型と筋トレを始める。ステッドは反対にご飯を二倍づつ、スイーツも食べ放題。それぞれに体形が変わるかどうか試してみた。


「ふー、きつい。こんなの学生時代以来やよ。剣道部辞めたらとたんに腕が二回り細くなってたもんな」

「その分お腹が一回りww」

「スーちゃん、いらん事言わんでよろし」


…そして一か月後…

「「毎日毎日、筋肉痛。一か月もやってりゃ少しは慣れるはずなのに。腕も脚も太さは変わらない。なんか、全ての努力が無駄に終わったみたいな気分」」

「こっちも、体形に変化なし。食っちゃ寝食っちゃ寝だったけどね。女の子には朗報かな。ただし、もう少し美味しいスイーツか流行のスイーツがあればねもっと良いんだけど」

「「それ体形の感想じゃないよ」」

「三人とも、体形に変化無し。血圧・コレステロール値も同様。あんだけやってれば少しは変化があるはずなんだがなぁ」

「ありがと、ジョー。俺たちの実験に巻き込んで悪かったね」

「気にしないで。たまには医学生らしい事もしなきゃね」


 シンディーはこれで益々確信した。この世界はデジタルな空間の中だと。

渾身の大ボケのつもりでしたが、よくよく考えたらリアルタイムじゃないと何にも意味がないのでは


       (チャンチャン♪)


しかも、そんな熱心な読者さまはまだ0人ぽいし (号泣)


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