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ロスト=ストーリーは斯く綴れり  作者: 馬面
ウェンブリー編
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第3章:臨戦者の道理(6)

 少年は苦しんでいた。

 その苦痛は、身体的な痛点を脅かすばかりか、神経にまで及んだ。

 身体が熱い。

 そして冷たい。

 その繰り返し。

 そこに報酬や見返りはなく、ただ上流から流れる川の水のように、一方通行であり続けている。


 熱。


 冷。


 苦。


 熱。


 冷。


 苦。


 熱。


 苦。


 冷。


 苦。


 苦。


 苦――――


 自律神経はまともな働きをとうに止め、活動を脳の保護に集中させている。

 景色が淡い。

 音がない。

 まるで静止画を水に浸したように、揺蕩う世界。

 それは、少年の意識だった。

 安定しない世界の色は、いずれ剥がれて消える。

 闇の藻屑となり、溶けてしまう。

 それが必然。

 そして理。

 繋ぎ止めるには、相応の代価が必要となる。

 少年は知らない。

 何をどうすれば自分が死なずに済むか、少年は全く知らない。

 波のように寄せては返す痛みに耐える事。

 それだけを繰り返す。

 暑い?

 それとも寒い?

 辛い?

 それとも息苦しい?

 悲しい?

 寂しい?

 怖い?

 恐ろしい?

 ここは何処?

 自分は何者?

 

 ――――それすらもわからず、生き続ける。

 

 理由は一つしかなかった。


 がんばる事。


 ただそれだけを胸に――――

 

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