38/438
第3章:臨戦者の道理(6)
少年は苦しんでいた。
その苦痛は、身体的な痛点を脅かすばかりか、神経にまで及んだ。
身体が熱い。
そして冷たい。
その繰り返し。
そこに報酬や見返りはなく、ただ上流から流れる川の水のように、一方通行であり続けている。
熱。
冷。
苦。
熱。
冷。
苦。
熱。
苦。
冷。
苦。
苦。
苦――――
自律神経はまともな働きをとうに止め、活動を脳の保護に集中させている。
景色が淡い。
音がない。
まるで静止画を水に浸したように、揺蕩う世界。
それは、少年の意識だった。
安定しない世界の色は、いずれ剥がれて消える。
闇の藻屑となり、溶けてしまう。
それが必然。
そして理。
繋ぎ止めるには、相応の代価が必要となる。
少年は知らない。
何をどうすれば自分が死なずに済むか、少年は全く知らない。
波のように寄せては返す痛みに耐える事。
それだけを繰り返す。
暑い?
それとも寒い?
辛い?
それとも息苦しい?
悲しい?
寂しい?
怖い?
恐ろしい?
ここは何処?
自分は何者?
――――それすらもわからず、生き続ける。
理由は一つしかなかった。
がんばる事。
ただそれだけを胸に――――




