第1章:大学の魔術士(2)
2020/03/20 手直ししました
「ただいま……」
デ・ラ・ペーニャ北部に位置する沿岸都市【ボルハ】。
その場末にひっそりと佇む酒場【スコール】という場所が、アウロスの現住所だ。
宿屋になっている二階の一室を間借りしているのだが、どうせ客は殆どいないとの理由で、宿代は破格の安さ。
環境としては余り良くないが、金銭的にあまり余裕のないアウロスはヴィオロー魔術大学に勤める前日から今に到るまで、この場所を寝床としていた。
「やあ、お帰り。どうだった? その……お呼び出しの中身」
アウロスの帰宅を心配そうに出迎えたのは、この酒場 兼 宿屋のマスターであるチャオ=フルーライド。
頭皮を如何なく露出した頭と、口の周りを取り囲む濃い髭がトレードマークの男性で、強面気味な外見とは裏腹に、中身は面倒見の良いオッサンだ。
年齢は自称39歳。
だが、アウロスが働き始めた時期から現在に至るまで、その数字は一向に変化していない。
3と4の境界にそこまでこだわる価値があるのかどうか――――それは本人にしかわからない問題なので、アウロスもいちいち指摘しないようにしている。
代わりに、質問に対して簡潔に答える事にした。
「魔術士資格を剥奪された」
「魔術士資格を剥奪された!?」
謎の復唱で驚きを表すマスターを尻目に、アウロスは樽の中に入っているサイドメニューのミルクを勝手に一杯分頂戴し、一気に飲み干す。
特にミルクが好きな訳ではないが、何かを飲み干したい気分だった。
「たっ大変じゃないか! それじゃ大学は……」
「クビ」
他人事のようにしれっと述べるアウロスとは正反対に、マスターはまるで自分の不幸のように両手で顔を覆い、失望を露わにした。
「そ、そんな! それじゃこれからどうするんだい? 魔術士じゃなくなったのなら別の仕事探さないと。君のその不遜な態度じゃ社会人としてやっていけないと思うけど、頑張って探さなきゃ!」
「……今は一人になりたい気分だからもう寝る。ごちそうさん」
「ちょっ、アウロス君!? 何でその淡泊なの!?」
少し傷付いたから――――とは言わず、滲んだ血を拭うかのように親指で胸を撫でながら二階の自室に向かう。
足取りが重いのか軽いのか、自分では判断がつかなかった。
「ふぅ……」
ミルク臭い息を一つ吐き、扉を閉める。
その音が妙に耳障りで、思わず顔をしかめた。
アウロスの部屋にはベッドと机椅子、そして数冊の書物くらいしかない。
その質素な場所こそが、最も寛げる空間だからだ。
「心配されても嬉しくないってのは、不幸な事なんだろうか」
そんな癒しの空間でベッドに横たわり、心中で呟く。
アウロスは親の愛情に全く縁がないまま育ってしまった為、人の思いやりに対する応え方を知らない。
常識的な振る舞いで取り繕う事は幾らでも可能だが、本心から感謝の気持ちが芽生える事はない。
人として最悪の欠陥だと自覚しているのだが、直す術もない。
欠陥品として生きるしかない。
その上、新たに『無資格』という欠陥を背負ってしまったのは、かなりの痛手。
意図的に奥歯を噛みつつ、瞼を閉じ、今後の行動――――夢の実現についての具体案を模索する。
魔術に限らず、研究とはやたらと金がかかる活動。
時間もかかる。
その双方を自力でどうにかするのは、物理的に不可能だ。
よって、金銭的なゆとりのある人間が、知識や熱意のある人間を雇い、研究をさせるシステムが成立する。
そのシステムが更に発展し、巨大な権力と財力を有する魔術士が、研究・教育・臨戦といった分野において育成と魔術の発達を効率的且つ効果的に行える最高機関として運営するようになったのが、大学という組織だ。
魔術を研究する環境としては、大学が最も優れている。
しかし、魔術士の資格を失ったアウロスがその場所にいる事は許されない。
それでも、研究出来る場所は必ずある筈。
今はそう信じて動くしかない。
最も現実的なのは、欠員のある研究所を調査し、そこに入らせて貰うという選択肢。
研究所は個人で営む所も多く、無資格の魔術士でも雇用するケースはある。
確率は低いし、まともな労働環境とは限らない難点もあるが、背に腹は変えられない――――
「アウロス君! アウロス君! いる!? いるよね!? 今帰ったばっかりだもんね!」
思考が遮断される。
扉越しにマスターの声が雑味のある音となって、アウロスの聴覚をせっついた。
「あれ!? た、大変だ! 全然返事がないよ! まさかショックのあまり心臓麻痺で死んだ!? ねえ死んだ!?」
「そこまで脆くはないし、その問いかけはおかしい」
アウロスは必要最低限の言語で否定し、ベッドから立ち上がった。
近寄るべきか否かを一瞬迷い、結局その場で錯乱気味なマスターをジト目で睨む。
扉は既に開いていたが、何に遠慮してか半開きだった。
「何なの一体」
「何なのって……職を失ったんだろう? 一大事じゃないか。相談してくれよ。ボクを頼ってくれよ」
「心配してくれるのはありがたくないんで放っておいてくれ。一人でなんとかするから」
「何て言い草!? ボクは君の為を思って言ってるんだよッ!? 本当に君は社交性に欠けているというか、協調性がないというか……将来が心配だよボクは」
実にわざとらしくハンカチーフで目尻を覆っているが、こういう時の彼は本当に泣いている。
日々の生活でそれを理解していたアウロスは頭を掻きつつ、バツの悪そうな、そうでもないような微妙な表情を作り、半開きのままの扉へと歩み寄った。
「……悪かったよ。こんな性格で申し訳ないと思ってる。でも今は一人にしてくれ」
「一人じゃ何もできないよ! さあ相談! 相談! さっさと相談!」
「一人にしてくれって言葉の意味くらいわかって欲しいんだけど……もしかして認知機能が経年劣化で朽ち果てたのか?」
「そこまで老いてないよ! っていうかボクまだ30代だよ! 中年階段に足を掛けたばかりだよ!」
「まだそんな事言ってるのか。いつか言おう言おうと思ってたが、今日こそ言わせて貰う。あんたはな……」
明らかな年齢詐称に対し、アウロスがとうとう鋭いメスを入れようとした、まさにその時――――
「随分と荒れてますね」
二人の言い争いをなだめる様に、低音の声が狭い廊下に響く。
つい先程と同じような構図。
そして、声も全く同じだった。
「あ、言い忘れてたけどお客さん来てるよ。アウロス君に」
「何故忘れる……どう考えても最初に言うべき事だろ」
呆れつつ部屋を出る。
廊下に立っていたのは、ついさっき出会って別れたばかりの男だった。
「先程はどうも」
「ああ。随分早い再会になったものだ」
穏やかなやり取りの中に潜む、微かな疲労感と高揚感。
マスターは双方の顔を見比べ、アウロスの方で視線を止めた。
「知り合いかい?」
「さっき知り合ったばっかだけどな。確かウェンブリー魔術学院大学の助教授だったか」
「え? そんなお偉いさんがどうしてまた、こんな辺鄙な所に……?」
マスターの問い掛けに対し、ミストは薄い笑みを浮かべる。
そして、自己の薄い眉をなぞる様に触れ、指の隙間から半眼のアウロスへと視線を注いだ。
その一連の仕草に意味があるのかどうかは判断しかねたが、アウロスは何となく今後の展開を予感し、口元を引き締める。
目の前の男に対してではなく、自分自身への戒めとして。
「多少の予感はあったが、あの時の君が目的の少年だったとはな。運命は信じない性質なのだが、一時的に撤廃しても良い気分だ」
独り言のようにそう呟いたのち、ミストはアウロスを見下ろした。
これからの関係性を象徴するかのように。
「本題から述べよう。アウロス=エルガーデン、君をスカウトに来た。私の研究室に来て欲しい」
「ええっ!?」
驚愕の声を上げる。
マスターが。
一方、当の本人であるアウロスは無表情でミストの言葉を聞いていた。
「立場は特別研究員。生活に困らないだけの給与を約束しよう。住まいも提供する。君が以前いた研究室よりも優れた環境で研究を続けられる。どうかね?」
「……」
「破格の条件じゃない! 迷う必要ないよアウロス君! ホラ、早く二つ返事で受けなきゃ! 媚びた笑みを浮かべなきゃ!」
「マスター。退場」
「……はい」
居候の命令に従い、マスターは一階に消えた。
空気を読めていない自覚はあったらしい。
「入ってもいいかね? 立ち話は健康には良いかもしれないが、余り慣れていないものでね」
「これは気が利かず申し訳ない。どうぞ」
アウロスは自分の部屋に一つだけある椅子にミストを誘導し、自身は早々にベッドに腰掛ける。
客人を部屋に招く経験はほぼ皆無。
目上の他人と接する機会も大学以外では滅多にない。
ミストはそんな背景を瞬時に理解し、一切の指摘はせず椅子に浅く腰を下ろした。
「先程の男性、随分と君を心配してくれているようだね」
「物好きな人だからな。ロクに感謝も出来ないようなダメ人間を、何かと気にかけてくれる」
「その恩を返さず、ここを離れたくない……という訳ではなさそうだが、二つ返事で来てくれそうな雰囲気でもないな」
ミストは微笑みながら、品定め――――若しくは威嚇に近い視線でアウロスを射抜いた。
駆け引きは既に始まっている。
「生憎、俺は魔術士の資格を剥奪されてる。大学の研究室には入れない」
「知っているよ」
その言葉は、アウロスにとって想定内だった。
しかし礼儀として、眉をひそめ訝しがる表情を作る。
「当然だろう。スカウトするにあたって、君の事はそれなりに調査している。君が先程まで所属していたヴィオロー魔術大学を解雇された事も、その理由も、ね」
「解雇されたのはついさっきなんだが」
「近い将来そうなる予想はしていた。余りに出来過ぎたタイミングだったが、おかげで裏を取る手間が省けたよ」
「……」
アウロスは表情を変えなかった――――が、それはある意味過剰反応でもあった。
「魔力量の詐称疑惑。そして再検査の結果、大学で研究を続ける水準に達していない……と説明を受けたが、『魔術士の規定水準に達していない』とは言われなかった。中々に小癪な説明だな。君もそうは言われていないのだろう」
「……ああ」
大学で研究する魔術士の水準に達していない、とは言われた。
だがミストの言うように、規定に達していなかったとは言われていない。
魔術士資格剥奪についても、その理由は『128Sに届いていない』ではなく『再検査によって不正が明らかになった』というもの。
例えば再検査の本当の結果が129Sだったとしても、131Sだったとしても、申告していた130Sではないため詐称と言えば詐称。
そもそも再検査の数字など幾らでも操作出来る。
「事情も容易に想像出来る。発端は君を先程罵っていた男の策略かもしれないが、元々大学側に君を守る意思はなかった。君の魔力量が水準以上か以下かなど関係ない。あの教授は、君が出世の役に立たないと判断した。だから切った」
理不尽極まりない現実。
だが、アウロスに怒りはない。
最初からわかっている事だった。
自分があの大学に煙たがられている事など。
「君はそれで納得出来るのか?」
「……仕方がない」
規則は規則。
そう言われれば、アウロスに抗う術はない。
そもそも、大学と戦ったところで、夢を実現させるなど到底叶わないし、寧ろ遠のく一方だ。
「では、私がその規則を変える……そう言ったら、君は信じるか?」
――――部屋の扉が微かに開いた。
人の気配はないし、風が吹く条件もない。
しかし、確かに開いた。
「……それがあんたの目的なのか?」
「否。私の目的は魔術士の台頭だ」
アウロスは目を細める。
個人ではなく包括的なその願望は、一個の助教授の野望としては、余りに広大だった。
「アウロス=エルガーデン。君は世界の人々から魔術士がどう呼ばれているか、知っているか」
「戦乱の時代は『騎士の助手』。今は『学者の助手』」
「良く勉強しているな。その通りだ」
涼しげな物言いとは裏腹に、表情に微かな憤りが混じる。
それは、魔術士としての矜持。
「私はその蔑称がどうしても我慢出来ない。魔術士は決して、騎士や学者の下僕ではないのだからな」
「後方支援という魔術士のイメージを根本から覆したい、って訳か」
「その通りだ。私の前衛術科では、魔術士が先頭に立って戦う為の魔術を研究している。剣を携え、鎧をまとった騎士に対し、一対一で勝つ……そのような魔術をな」
ミストは拳を握り締め、力説した。
演説の口調に近いそれは、これまで彼が見せてきた佇まいとは対極にあるものだ。
その緩急を駆使したパフォーマンスは、彼がアウロスを本気で欲しがっている事の表れでもあった。
「君をスカウトしたい理由を単刀直入に述べよう」
そして、畳み掛けるように宣言する。
「君と君の論文を、私の野心の為に利用したい。本質的な部分では君を切ったあの教授と変わらないが、私なら君を生かす事も出来る」
口説き文句としては、余りにエゴに満ちた不適切な発言。
しかしこれは、アウロスの性格を見抜いた、実に的確な誘い文句だった。
利害関係こそが最純の信頼――――少年が決して短くない年月の果てに見つけた、一つの結論である。
「相当なやり手だね」
猜疑心の充足を得たアウロスは、その発言を境に、継続していた警戒心を取り除いた。
「それだけ君を欲しいという一心だ。理由がわかるか?」
「……俺の抱える論文が、あんたの研究テーマに極めて重大な影響をもたらすから」
「影響どころではない。君の研究が実戦に適用出来ると証明されれば、魔術の世界に革命を起こす事になるだろう」
「殆どのお偉いさんは鼻で笑っていたけどね」
過去の上司の顔を思い返し、アウロスは思わず口の端を吊り上げる。
残念ながら、皮肉ではなく。
「君の論文概要を見るだけでは、それも仕方がないだろうな。基本とするところの理論がこれまでの規定観念から余りに逸脱している。しかし私はそこに惹かれた」
野心が先行した荒削りなものなのか、画期的でありながら確信に満ちたものなのか――――ある程度魔術の知識に富んでいる人間であれば、殆どの論文は概要を見るだけで判断出来る。
そして、ヴィオロー魔術大学でアウロスの研究に下されていた評価は、総じて前者だった。
それ故に、彼は大学の殆どの教授・助教授から疎んじられ、他の研究員からは影で笑われていた。
「加えて、君の立場や過去の生い立ちは、私にとっていずれ優位に働くとの算段もある……と言っておこう」
ミストの言葉には、そういった背景までも含まれている。
しかし、アウロスは更にそれ以上のもの――――より深い考察を感じ取り、思わず苦笑した。
「確かによく調べてるな」
どの世界においても情報は重視されるが、研究施設のような専門的かつ閉鎖的、加えて権威主義な機関においては、特に大きな力となる。
よって、助教授クラスであれば大抵は優良な情報網を所有している。
ミストはその中にあっても、特に情報を重要と見なす人間だった。
「君が得るメリットは多い。今のままでは論文の完成はおろか、実験すらままならないだろう。何より……」
僅かに開いた扉の隙間から、風の音が漏れ聞こえて来る。
吹き荒ぶでもなく、押し潰すでもなく、ただ軽やかに、そして滑らかに。
「君を魔術士に出来るのは私だけだ」
「……」
「私は魔力量による規制など、百害あって一利なしと考える。いずれ完全撤廃する事になるだろう。それまで君は基準値スレスレの魔術士として私の元にいれば良い」
魔力量測定は通常、厳格な審査を必要とはしない。
アカデミー入学時や就職の際に証明書を一枚出せば、それ以降に再検査をするケースなど殆どない。
そこに悪意や奸智がない限り。
「無論、すぐに返事しろとは言わない。熟考の後……」
「いや、今返答する。10秒くれ」
「……ほう」
感嘆の声は、自分のスカウト能力に対するものではなく、相手の決断力に対する評価だった。
暫時の後、アウロスは視線を上げる。
決意は――――静かに。
「……条件が三つある。一つでも呑めなければ縁がなかったと思って欲しい」
「まずは条件を聞こうか」
「一つ。俺の研究の方針に関しては一切、口を挟むな。その代わり、論文の中身は常にオープンにしておく。見切りを付けるのは何時でも構わない」
「あくまで外様として扱えと。身の振り方を心得ているな。いいだろう」
「……一つ。あんたの所持してる情報網を使用させろ。制限付きで結構だ」
情報収集は、情報の取り扱いを専門にしている情報屋を介して行う。
ある程度の身分にある人間は、分野毎に特化された専属の情報屋を独自のネットワークで囲い、常に内外の動きに対して精査を行っている。
一般人では決して触れられない世界に耳を傾ける事で、見聞は途方もなく広がって行く。
研究に関しても、それ以外に関しても。
「許可しよう。ただし情報の管理は徹底するように」
「了解した。最後の一つは……」
アウロスは意図的に間を空けつつ、少々声の音量を落とし、言葉を紡いだ。
「俺を魔術士にしない事」
「……」
努めて朗らかにしていたミストの表情に変化は――――ない。
まるで鉄仮面のように微動だにしない顔は、その意外性を通り越してあり得ない要求に対し、余りに奇妙な反応と言える。
「冗談……ではないようだな」
「当然」
魔術士でなければ、魔術に関する論文になど何の意味もない。
そこには、それなりに先を見越した意図が潜んでいた。
だが、理由は述べない。
これから主従関係を結ぶ人間に対し、肝心の初対面時に底を見せる訳にはいかなかった。
一方、ミストもその理由について追求はしなかった。
アウロスの意図を測りかねている現状では、ミストには不利な戦いとなる。
ここで深追いして失敗した場合、アウロスの中のミストの心象に影が落ちる。
利用する側の人間が嘗められるのは最悪の事態。
それは避けなければならない。
ミストはそう心中で納得してみるが、最大の殺し文句を封じられた格好になった事実に変わりはなく、結果的には痛手を負う格好となった。
恩人としての度合いが半減するだけでなく、警戒心すら引き出されている。
ミストは、たった一言で立場が逆転しているこの現状に、微かな不安を覚えた。
自分の野心を扶助すべき存在が、果たして正常に機能するのか――――
「……良いだろう。その条件を全て呑む。私の元へ来い」
それでも尚、答えは一つだった。
「判断が早いな」
「お前ほどではないがな」
緊張が緩和する。
そんな二人の表情とは裏腹に、心の内でかいた汗の量は、双方中々のものだった。
「では、私も幾つか要求しよう。重要事項は正式な手続きを踏まえた後に文書にでもして渡すとして……まずは一つ。最低限のケジメは付けて貰おう」
「心得ています、ミスト助教授」
「……フッ」
恭しく一礼するアウロスに、ミストは満足気に微笑む。
それと同時に、半開きだった扉がゆっくりと外の景色を招き入れた。
――――斯くして。
ここに、【ウェンブリー魔術学院大学】の研究員アウロス=エルガーデンが誕生した。
第1章 " Speller in Cage "




